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カフェのチェーン展開

 甘い物に関しては勤勉な私は、旅行前に「地球の歩き方・ボストン」のカフェ&スイーツの頁を丹念に読み込み、地図にもしっかり○印をつけた。美味しそうだけれどちょっと離れた所にある店は、残念ながら×印をつける。しかし、その準備の多くはある意味無駄であった。

 最初に気づいたのは、Faneuil Hallの近く。朝、ホテルの部屋でコーヒーを飲んだだけで、外で朝食を調達しようと歩いていたら、「Panera Bready Bakery」という看板が目に飛び込んできた。どこかで聞いた名前と思いながら入ると、なかなか美味しそうなラインナップ。オーソドックスにベーグル&クリームチーズとフレンチバニラフレーバーのコーヒーを買って、広場で食べながらガイドブックをめくったら、遠くて行けないと思って×印をつけた店だった。この観光中心地にちゃんと支店を出していたのだ。得をしたような拍子抜けしたような。Paneraの店は、その後そこ以外にも何店舗も見かけた。見かけるたび、有難味が薄れていった。
 同じことが、メキシカンのファストフード(蛇足だが、昔はファーストフード、と言っていたのに、いつの間に「ファスト」と詰めるようになったのだろう)チェーンのBolocoでも起こった。ガイドブックによるとホテルのすぐ近くというので、ラッキーと思っていたら、あそこにもここにもある。「チェーン」というからにはあちこちにあるのは当然だが、なんだか損した気分になる。
 かくして、ガイドブックに麗々しく書かれているわりには「結局どこにでもあるやん」ということで私の中で希少性を失った店は、「ボストン一美味しいコーヒーが飲める」Thinking Cup、「ボリュームたっぷりのブリトーが楽しめる」Chipotle、「創業以来の味が守られている」Legal Sea Foods(写真)など。ちなみに昔日本にもあったDUNKIN’ DONUTSに至っては、NYでもBostonでもそれこそ1ブロックごとにあるんじゃないかと思うくらいそこらじゅうにある。a0165235_954844.jpg

 この手の小売業は知名度がものを言うから、積極出店が常套手というのはわかる。しかしやはり、徒歩で歩き回れるエリア内に何店も、というのはいかがなものか。いかにもアメリカ的大量生産大量消費型資本主義の権化のようで、なんとなく興醒めである。
 そういえば、クアラルンプールやソウルに行ったときも、地場のローカルフードに混じってMcDonald・KFC・Pizza Hutといったアメリカ資本のチェーン店ががんがん進出しているのを見て、なんとなく暗澹たる気持ちになった。
 こうやって、「その地でしか食べられないもの」は影をひそめ、世界中どこに行っても均一な品質の没個性的メニューが様々な民族の腹を満たすようになる。
 スケジュールの詰まった短期出張なら、予想可能な安定した味を手っ取り早く摂取できるグローバルチェーンの存在は心強いだろうが、異国情緒を楽しみたい旅行者にとって、STARBUCKSやDUNKIN’ DONUTSのロゴを見てもあまり心躍らない。

 その点、Bostonのイタリア人街にあるMike’s Pastryなどは立派である。あれだけ繁盛しているのに、どこにも支店を出していない。典型的なイタリアのファミリービジネスである。世界広しといえども「BostonのNorth Endに行かないと食べられない」というほうが一消費者にとっては余程嬉しい。だから私は、6泊7日の滞在中に3回足を運び、5種類のスイーツを買い求めた。
 念のため、と思ってMike’s PastryのHPを見てみたら、支店こそ出していないけれど、Online shopが開設されていた。あのCannoliを冷凍にして、Fedexで東京まで送り届けてくれるのだろうか。
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by miltlumi | 2014-09-24 09:02 | NY after 8 years | Comments(0)

ボストンのイタリア街

 アメリカ人のヘルシー志向と対照的だったのは、Bostonのイタリア人街である。
「地球の歩き方」を予習しているとき、North Endというエリアにどうやら美味しいケーキ屋さんが集まっていることに気づき、楽しみにしていた。Bostonに着いた翌日、Freedom Trailを歩きながら寄り道したら、つまりNorth EndはNYのLittle Italy(最近はすっかりさびれてしまったらしいが)にあたる場所だった。

 Hanover という(なぜか)ドイツっぽい名前の目抜き通り沿いには、ジェラートやピザの店が並び、通りに面して開け放たれたフロアのテーブルにはトマト色のパスタの皿(もちろん量はがっつり昔ながらのアメリカサイズ)が見える。 
 お目当ての「美味しいケーキ屋さん」の看板商品はイタリア伝統菓子のカンノーリ。加えてリコッタクリームパイやブラウニー、シュークリームにジェラートなどなど。もちろん、鹿爪らしいカロリー表示は皆無である。
 地元客と観光客でごった返す店は、いかにもイタリアのマンマという体のでっぷり太った黒髪のおばさんが効率よく客をさばいている(イタリア人は、郵便の配達に1ヶ月もかけるというのに、こと食べ物に関してはちゃんと効率を追求するようだ)。その隣で、マンマの尻に敷かれていますと言わんばかりの哀しげな瞳をした主人が、痩せた指先でおつりのお札を数えている。a0165235_1445191.jpg
 ちなみにこの日はカンノーリを差し置いて、名前に惹かれて、ついBoston Cream Pieというものを注文してしまった。カスタードクリームが絶品だった。

 すっかり気に入ったこの通りで改めてパスタとカンノーリを食べようと、日曜日に再び出掛けて行ったら、運よく地域のブラスバンドが街を行進している真っ最中であった。そのメンバーたるや、…写真のとおりである。a0165235_1445371.jpgバトンガールといえば、普通は引き締まったナイスバディーのミニスカ、のはずが、すっかりイタリアンマンマ体型。そして、トランペットや打楽器担当もボリューミーなおじさま・おばさま方。a0165235_14462168.jpg
この開き直り方(別に当人たちは開き直っているつもりはないのだろうが)が天晴である。とりあえず美味しいもの食べて、楽しく音楽を奏でようや。って、そんな感じ。

 陽気なイタリア人に触発されて調子に乗った私は、Chocolate Ricotta Cannoliを立ち食いしたあと、もう一度店に入ってTurtle Brownieを注文した。アメリカの普通のブラウニーに比べても、その大きさ2倍くらい。ホテルに持ち帰って食べたら、それはブラウニーというカテゴリーを越えて、しっとりずっしり未知のチョコレートケーキの世界であった。
 というわけで、Boston最終日、3度めのNorth End。今度はChoco-Chip Cannoliと、Ricotta Cream Pie。至福。
 
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by miltlumi | 2014-09-20 14:51 | NY after 8 years | Comments(0)