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無印編 塞翁が馬

塞翁が馬。禍福はあざなえる縄のごとし、とも言う。

福)真夜中に素晴らしいクローゼット収納改造計画を思いついた。
禍)そのために必要な無印の収納ケース6個をなかなか買いにいけなかった。
福)ミッドタウンから平日2日間限定ポイント10倍キャンペーン(つまり10%引き)のDMが来て、対象店舗に無印が入っていた。
禍)金曜日に勇んで行ったら、対応してくれた店員が新人の中国人女性で、こちらの質問にひとつも答えられなかった。
福)代りにやってきた中国人男性の店員が、イケメンだった。
禍)送料節約のためちゃりで運ぼうと、ケースの四隅を養生してくれるよう頼んだら、二人の中国人の梱包材の使い方がめちゃくちゃだった。
福)見かねて自分でやり始め、彼らと応援に入った日本人女性の3人が3個やる時間で私が3個仕上げた。
禍)さすがに6個は持ち帰れないので、まず3個だけ受け取って駐輪場に向かったが、途中で彼らの梱包がぼろりと落ちた。
禍)しかも3個だけでもとてもちゃりでは運べない大きさであることが発覚した。
福)3個を持って店に戻り、配送依頼をしたら、対応した日本人女性店員の感じがとてもよかった。
福)しかも配送料金が予想よりずっと安い金額だった。
禍)最速の配送日が当日どころか3日後の月曜日で、週末に改造計画を実行しようとしていた予定が狂った。
福)無印のためを思い、日本人女性店員に梱包材の件を指摘したら、とても丁寧な謝罪と的確な対応をしてくれた。
禍)月曜日に配送されてきた段ボールが、雨でぐしゃりと濡れていた。
福)中のケースには影響がなかった。
禍)ケースを見ると心がときめかず、実は今使っている小引き出しのキャビネットをすごく愛していること、無印は無駄な買い物だったことに気づいた。
福)じっくり考え、洋服ではなく鞄を入れる案を思いついてようやく心ときめき、整理コンサルのサンプルケースにしようと”Before”の写真を撮った。
禍)鞄を入れてみたら、全然すっきりせず、しかもケースごと置くと棚がかしいでしまった。
福)再度考え直して、鞄ではなくジーンズ類を入れる案を思いついて、これなら絶対今よりすっきりすると確信した。
禍)心が逸り、早速ジーンズを引っ張り出してケースにいれ始めてから、”Before”の写真を撮り忘れたことに気づいた。
福)期待どおりジーンズがすっきり納まり、せめても、ということで”After”の写真を撮った。
禍)収納整理などしているヒマはなく、仕事をしなければならないことを思い出した。
福)PCに向かったとき、この話を「塞翁が馬」シリーズとして、ブログに書くことを思いついた。
禍)ブログなど書いているヒマはなく、仕事をしなければならないことを思い出した。

…かくして、禍福はあざなえる縄のごとく、延々と続くのであった。
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by miltlumi | 2016-10-19 15:29 | 機嫌よく一人暮らし | Comments(2)

空き箱は、心の琴線に、どのように触れるか (下)

(上)はこちら・・・
 そのオフィスの主である、ダンディーな彼の元には、バレンタインデーになるとわんさかプレゼントが贈られてくる。おしゃれなおじ様に見下されぬよう、女性陣はめいっぱい張り込んだ高級ブランドのチョコやハンカチを選ぶ。そのパッケージの、色も材質も当然一級品である。
 会議中、脇に置いてあるチョコレートの山から、彼が気まぐれにひと箱取り出して「食べる?」と差し出す。ありがたく頂戴しながら、視線は箱の方にひたと張り付く。会議終了後、空になった箱はめでたく私の手の上へ。

 あいにく、そのオフィスには毎日行くわけではない。チョコが何粒か残っている箱を見て、早く食べ終わってくれないかなあ、と思いながら、次に出社したときには箱ごと失くなっている。
 「あの箱どうしたの!?」
 「え、捨てましたけど。あのチョコ、食べたかったですか?」
 「あ、いえ、その、チョコじゃなくて空き箱…」
 ちょっと迷った末、正社員の方々に、空き箱は全て捨てずにとっておいていただけるようお願いした。かくして2月下旬から4月にかけ(何しろプレゼント量が多いので、食べ尽くすまでに時間がかかるのだ)、私はオフィスに行くのが楽しみだった。

 空き箱のモチベーション。本末転倒もいいとこである。しかも、ゴミの一歩手前のブツよりよほど立派な、無印良品のアクリル収納ボックスを買うくらいのお給金はいただいているのに、そのお金より、空き箱がウレシイ。
 大竹氏が、バイト料で新品のキャンバスを買うより、ダンボールに創作意欲を掻き立てられたのと同じ類の思考回路である。どんなことに「そそられる」のかは、人それぞれである。

 付け加えるならば、私にプライバシーを開示してくれるありがたい友人(「整理」と聞くだけで気が遠くなるらしい)について。彼女のうちの整理のため、奮発して100円ショップのプラスチック箱複数種を持参したときのこと。直方体に見えたのに、いくつか並べてみると上部と下部の幅が微妙に違う。どうして?と思ったら、隣で既に気が遠くなりかけていた彼女の目が俄然輝きだし、「それはね、テーパーのせい」と、てきぱき説明を始めた。てぇぱぁ???
 無印のアクリルケースは一見100均と同じように見えるのに、なぜ10倍以上の値段なのか。それは6枚の板材を接着し、端面磨き処理もして手間がかかるから。100均はプラスチック射出成形で、型から抜けやすいようテーパー(角度)がつけてあって、その結果わずかに台形になる。
 モノ作りやデザインの仕事に関わっている彼女にとって、箱から連想されるのは「整理」ではなく「工業デザイン」。

 まったくもって、心の琴線の触れ方は、人それぞれである。

 余談だが、大竹伸朗のエッセイ「既にそこにあるもの」は、なかなか面白い。

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by miltlumi | 2012-04-21 17:11 | マンモスの干し肉 | Comments(0)