カテゴリ:フォトアルバム( 168 )

なめてはいけない (上)

 探究心が薄いタイプである。表面だけぺろんと舐めて、「あ、わかった、そういうことね」と納得し、それ以上突っ込むことをしない。「そういうこと」が「そういうこと」であればそれでもいいのだが、世の中、想定外、ということが頻発する。
 妙義山がそれであった。軽井沢の手前、唐突に現れる水墨画みたいな峻嶮な山並みを何度か目にしたことがあった。まあつまり、そういうものだと思っていた。

 間近に見るともっとスゴイ、というので、このたび行ってまいりました。たしかにスゴイ。いきなり切り立った岩の壁。「屏風岩」という名前そのもの。麓の駐車場からいきなりそそり立つ景色に驚嘆しつつ、十分わかった、と私の浅はかな探究心はそこで終止符を打った、はずだった。
 ところが、連れが「第一石門ってとこまで行ってみない?」と言い出した。

a0165235_923572.jpg 天然の石の門。そういうの、カナディアンロッキーでもメルボルンのポートキャンベルでも見たことあるし。でも「すぐそこだから」と言われ、手ぶらでぶらぶら登り始める。出てきたのは、屈強な鎖が垂れ下がった岩肌。「かにのこてしらべ」と看板が張り付いている。あ、わかった、この鎖につかまって登るのね。そういう場所があるとガイドブックに書いてあったから、さほど驚かない。日頃ジムで鍛えた握力・脚力にモノを言わせ、難なくクリア。
 ほどなく見えてきた第一石門。なんや、大したことないやん。と思ったら、実は意外に遠い。親切な高尾山あたりとちがって、丸太の階段なんてものはなく、先人が踏み固めた天然自然の岩や木の根を登って行く。ようやくたどり着くとその高さにびっくり。しかも門をくぐるにはまず相当な傾斜の岩をよじ登らねばならない。ちょ、ちょっと、ワイルドじゃない? ちょっとだけ想定外。まあでも、これで石門クリア、よくわかりました。

 引き返そうとしたら、再び連れが「第二石門が見えるとこまで行ってみようよ」 えっ。そんなん、いくつ見ても一緒じゃん。それより軽井沢のカフェは? という言葉を飲み込み、岩肌に白く描かれた矢印の方向に進む。先ほどにも増してワイルドな急坂、というより崖? 
 上から降りてきた夫婦連れに「第二石門までどのくらいですか?」と尋ねると、「ああ、そこ登ったらすぐですよ」と言われ、気を取り直して進む。そして出てきたのは、どわーんと立ちはだかる岩のはるか上にぽかりと青空をくり抜いた第二石門。見えた。あれか。第一より狭いみたい。高いね。わかった。ありがとう。

 「せっかくだから、行ってみない?」 私とちがって探究心旺盛は連れは、先へ先へとのめりこんでいく。もう十二分にわかったのになあ。まあでも、たしかにせっかくだし。こうやって、私一人では決して行かなかったであろうところに行き、面白い体験をしたことが何度もあるし、わりと近そうだし。軽く思ってさらに踏み込んだのが運のつき、であった。
                                   ・・・(中)につづく
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by miltlumi | 2013-11-16 09:04 | フォトアルバム | Comments(0)

草を育てる

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今年のゴールデンウィークの頃に友だちにもらったベルフラワー。
大きな鉢に植え替えた直後はこんなに小さかったのに
いつの間にか、鉢いっぱいにすくすくとかえるの手の葉を増やして、
何を勘違いしたのか、花を咲かせた。 本当は、春に咲く花なんだけど。

英語のサイトに載っていた、中国のことわざを思い出した。 
 If you are planning for one year, grow rice.
 If you are planning for 20 years, grow trees.
 If you are planning for centuries, grow men.

私が育てられるのは、せいぜい草花である。
しかも狂い咲き(笑) 
人生、Planどおりにはいかないものなのだ。
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by miltlumi | 2013-10-24 19:20 | フォトアルバム | Comments(0)

Anniversary

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今日は、両親の55回目の結婚記念日だ。

金婚式のときは、実家でお祝いをした。
兄が合羽橋で買い込んだ分厚い南部鉄の鉄板を実家に持ち込んで、
最高級のステーキ肉をはり込んで。
その日の主人公カップルは、79歳と72歳という年齢にもかかわらず、肉食系だった。

今日、一人暮らしにもすっかり慣れてしまった母に、メールを出した。
数分もしないうちに返ってきた返事には、
(時のたつのは)早いね、という常套句とともに、
久しぶりに夢に父が出てきた、と書かれてあった。
兄も私も、まだ子供のままだったわ、とも。

そういう夢を見ると、起きた時になんだかぼおっとしちゃうよね。
返事の返事を出したら、また返事がきた。
「そうね。みない方がいいね」

私は、ぼおっとしたとしても、いなくなった人の夢は見たい、と思う。
母と娘でも、感じ方がちがう。
今朝、私もちょっと似たような夢を見たのだ。

そういう気分をあらわす写真・・・と思ったとたん、4年前の西湖の写真を思い出した。
遠くの小高い丘が水墨画のように霞んで、
湖と並木道と枯れた蓮の上には、細かな雨が音もなく降っていた。
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by miltlumi | 2013-10-22 17:32 | フォトアルバム | Comments(0)

台風の翌日・金木犀編

a0165235_1483799.jpg今朝起きたら、
カーテンの向こうは真っ青な空。
風だけが
びょうびょうと吹いていた。
風台風だ。

迷わず散歩に出掛ける。
出掛けたとたん、
風が弱まってくる。
なんだ。つまらない。

引き返すのは
もっとつまらないので、
そのまま歩く。

路地一面、金木犀の
橙色の小花が散っている。
昨夜の雨に翻弄されて、
坂のすべり止めの輪模様を
丁寧になぞるように。

これほどたくさんの花なのに、
あの香りがうそのように消えている。
雨に、洗い流されてしまったらしい。

けなげにも、まだ枝にしがみついている花に顔を近づけてみる。
そこからも香りは漂ってこなかった。

また季節が、一歩進んだ。
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by miltlumi | 2013-10-16 14:11 | フォトアルバム | Comments(0)

理科の観察

週末しか一般開放していない「自然生態園」というところに行った。
あまり見かけない色合いの蝶々が飛んでいた。
きゃあ、きれい、と持っていたカメラの接写モードでばしばし写真をとる。
うちに戻って、大きな画面でしげしげ眺めてみると、
ちょ、ちょうちょの顔って、こわっ。。。 仮面ライダーみたいやんか。
蜜吸うてるストローの口、なんでこない曲がっとんのん。
その昔、さんざんれんげ草畑でちょうちょを追いかけたはずなのに、
初めて知った、蝶々の素顔。
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少し前のことになるが、十五夜の満月の翌日の十六夜。
紅い月が、水平線からじわじわと上がってくる。
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昨日、もうはや半月になってしまった月が、正午近い秋空の西に、ぽっかりと浮いている。
満月や半月って、月が地球のどこにどうあるとそう見えるんだっけ。
昼に見える月って、どこでどういう角度からどうみるとこうなるんだっけ。
そもそも月って、地球のまわりをどんな軌道を描いて回ってるんだっけ。
何ひとつ正確に答えられない。
「とりあえずおっきい電球とテニスポールとピンポン玉で実験しよう」

あれだけ、さんざん、授業中や夏休みに理科の観察をしたはずなんだけど。
あの頃よりも何倍もかたくなってしまった脳みそをほぐしながら、
今、改めて自然の驚異に息を止めて魅入っている。
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by miltlumi | 2013-09-29 15:11 | フォトアルバム | Comments(0)

お天気は西から

実は、先週またソウルに行っておりまして。
日本の梅雨を先取りするような小雨模様に、新緑がかえって生き生きと、しっとりと。
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帰りがけの空港からは、息を飲むような夕陽。これもまた、この週末の東京の先取り。
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by miltlumi | 2013-06-02 16:45 | フォトアルバム | Comments(0)

シンクロニシティー Synchronicity

ポインセチアは春になったら大胆に枝を刈りこみましょう。
6・7年前のクリスマスにいただいた鉢植えの手入れの仕方をようやく知り、
3月初めに「大胆に刈りこんだ」結果、すうっと枯れ枝のままだったのが、
今週に入って、ようやくちっちゃな若葉が1枚、開いた。

早過ぎた刈り込みと同じころに友人にもらったベルフラワー。
「花が終わったら捨てちゃっていいから」と言われたが、そうできるものでもない。
大きな鉢に植え替えて、毎朝花殻を摘むうち、かえるの手みたいな葉っぱだけになってしまった。
それが昨日、ひとつだけ伸びてきたつぼみが、開いた。

ポインセチアとベルフラワー。
置いた場所も離れているけれど、
お互いと、そして季節と、シンクロしている。
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by miltlumi | 2013-05-18 06:59 | フォトアルバム | Comments(0)

犀川のほとりにて

犀川で、桜の写真を撮っていた。
金沢駅から乗ったタクシーの運転手さんが観光客慣れした親切な人で、
信号待ちの時間を駆使して老眼鏡をかけて、
観光マップに黒いボールペンでぐるぐると印をつけてくれたのだ。

兼六園の桜はまだ五分咲きくらいだったけれど、
広々した河原に枝を伸ばしたこちらの桜は、もう八分咲きだった。
折よく、傾きかけた西日が雲間から差し始め、
にわかカメラマンにとってのゴールデンタイムの到来だ。

まだ藁半紙色の芝が丁寧に刈り込まれている河川敷は、
春休みの部活動でランニングしている中学生やフリスビーに興じる親子、
夕方の犬の散歩をする人々が点々と散らばっている。

と、川沿いの歩道の手すりに、
足をぶらぶらさせながら腰掛けている若いカップルが目に入った。
目の前に低く枝垂れる桜を二人占めしている。
ちょうどその下を、彼等より四十歳以上年上の夫婦が通る。

肖像権侵害をちょっとだけ心配しながらの隠し撮り写真。
桜だけより、ほんのすこし春めいている。
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上流、南東のほうを向けば、まだ白い雪をいただいた白山の稜線が遠くに霞む。
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by miltlumi | 2013-04-02 18:10 | フォトアルバム | Comments(4)

朝のデジャヴュ

あの朝。
光の角度、きらめきの数、風、温度、空気の匂い。
朝は、毎日新しく生まれて、昨日からほんの少しずつ変わっていくけれど、
遠い日の、あの朝に似ている。
似ているけれど、ちがう。ちがうけれど、似ている。

あの頃の、初々しい気分さえ甦る。
心の中が、ほんわりと温かくなる。
こうしてまた廻り来る季節に、こんにちは、と挨拶する。

過去を振り返らず、未来を考えようと人は言うけれど、
過去からエネルギーをもらうことだって、きっと可能なのだ。

季節の変わり目。
デジャヴュな朝。
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by miltlumi | 2013-03-07 18:14 | フォトアルバム | Comments(0)

ゆき!!

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雪!!
今日はいちにち家の中でやろうと思っていたことがあったのに、窓の外の雪景色が気になってそわそわ。
水墨画のようなモノクロームの景色に、硝子越しカメラを構える。
さらに、モノクロームモードで写したら、セピアな感じになった。

見ているだけじゃあ物足りなくなって、セーターやら帽子やらで完全防備して外に飛び出す。
いつも歩き慣れた道、見慣れた景色が、とくべつなものに変身している。
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ぐしゃぐしゃになった歩道が、ある地点からきっちり50cm幅できれいに雪かきされていて、
その先に延長工事に勤しむマンションの管理人さんがいた。
「ありがとうございます」と思わずお礼を言ったら、「気をつけて歩いてくださいね」と返された。
寒い雪の中、あたたかな一瞬。
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by miltlumi | 2013-01-14 19:36 | フォトアルバム | Comments(0)