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カテゴリ:フォトアルバム( 170 )

立秋のあとの夜

今年は夏の訪れが遅かった分、暑くなったと思ったらもう残暑見舞いの時節だ。

不思議なもので、梅雨明けは毎年気まぐれに早くなったり遅くなったりするくせに、

立秋を境に、夕暮れ時の風が涼しくなるその正確さは、決して時期を違えない。

今日の夕焼けは、もう初秋を先取りするような輝き方をしていた。


美容院に行って、その足でスポーツジムに行って、

それでもなんとなくうちに帰りたくなくて、外で夕食をとる。

ささやかな贅沢ついでに、食後のコーヒーを求めてスタバに入る。

クーラーの下で閉店までねばろうと心に決めている一人客たちを後目に、外に出ると、むしろ風が心地よい。


道草をさんざんして、ようやくうちにたどり着く。

開け放った窓から部屋へと、さきほどの風が流れ込んでくる。

飲みかけのアイスラテをダイニングテーブルの上におく。

思い付きで灯りを消してみる。

一瞬暗闇に沈んだ部屋が、だんだんとほのかな輪郭を取り戻してくる。

一週間前は鎌のようにくるりと細かった月が、今夜はもう半月より膨らんでいるのだ。


風鈴が、舌をほの白く揺らめかせながら、ちりんちりんと鳴る。

南部鉄の風鈴、わざわざ三連を選んだのに、入り乱れる高中低の音に耐え切れず、

二つの鐘にフェルトを巻いて鳴らないようにしてしまった。

音も暑さもそれ以外も、大目に見ることが難しかった、あの頃。


今年の夏は、低音のほうのカバーを外した。


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by miltlumi | 2019-08-13 08:02 | フォトアルバム | Comments(0)

神様の棲み処

長年あこがれていた高千穂に、ようやく行ってきた。

元はと言えば、友人がFacebookにアップしていた天安河原(あまのやすがわら)の写真が、あまりのパワーに満ちていたのがきっかけだ。
「これ、どこ?」と尋ねたら、高千穂の天岩戸神社の奥にあると。
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すごかった。
すでに写真を見ているのだから、予想はしていたが、それでも吃驚するほど、すごかった。
初日に行って、翌日合流した友だちと、もう一度行ってしまった。
帰りがけ、雲間からお天道様が顔を出し、峡谷から立ち上る朝霧に一条の光が差した。
まさに、天照大神、天岩戸からお出まし。
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天岩戸神社から高千穂の町に戻る道沿いは、美しい棚田である。
縄文の時代から日本人の祖先がここに住みつき、だんだんと稲作を始めたのだろう。日本の原風景。
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国見ケ丘に着いたのは、もう昼過ぎだったので、雲海は期待していなかった。
招き入れられたお茶屋さんの人によれば、あの幻想的な風景が見られるのは11月くらいまでだとか。
視界が開けている分、阿蘇から連なる山々と、谷あいに点在する高千穂の集落が見通せる。
九州の「へそ」に近いこの絶景ポイントに、「気」が集まっているのが感じられる。
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この連山のいたるところに大小さまざまな神社がある。最後にどこかひとつ、というわけで、直感で選んだ二上(ふたかみ)神社。
伊邪那岐と伊邪那美の二人の神様を祀る。
これまた、すごかった。
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町中からはずれて、しかもかなりの山道を登った奥にあるので、参拝者も少ないのか、見上げる石段はすっかり苔むしている。
境内には、私たち以外誰もいない。
拝殿では、神主さんと巫女さんが向かい合って朝のお勤めをしている。
思わず頭を低くする。

***
あれから3週間。
今頃になってブログにアップしたのは、高千穂の「がまだぜ市場」で買い求めた古代米のせいである。
お米やそば粉、しいたけ、かぼす、あのエリアは食の宝庫。
小匙に1杯まぜるだけで、ご飯が赤く染まるよ、と友だちに教えられた。

お正月を実家で過ごしたあと、自宅に戻ってご飯を炊くのは2度目。
毎日お赤飯が食べられるなんて、しあわせ、と思った。

一方、九州ほどではないが、スーパーで売っていた大根は今が旬である。
ずっしりと重いお大根。すべすべの白い肌。しあわせ。
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思わず二つを並べて写真を撮って、自分で笑ってしまった。
私ったら、こんなささやかなものだけで、しあわせを感じられるなんて。
なんて安上がりなんだろう。

次の瞬間、高千穂の旅のことを改めて思い出した。あの時間。
なんて贅沢だったんだろう。

ということで、みなさまにも、贅沢なしあわせの御裾分けです。
(ちなみに、お大根は、丸のまま、ではなく、先っちょを大根おろしにして頂きました)


by miltlumi | 2019-01-10 22:34 | フォトアルバム | Comments(0)

ヒヤシンスのミステリー

鉢植えしていたヒヤシンスの芽が出た。
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去年の暮れに友だちからいただいた球根。
今年の初春、窓際の水栽培で可愛い花を咲かせてくれた。
「土に埋めておくと、また来年も芽が出るよ」と教えられ、
ベランダの植木鉢に植えておいた。
緑の葉がすくすく伸びているモッコウバラや石楠花の隣で、
土色の殺風景な植木鉢は、ちょっと肩身が狭かったのだけれど。

鮮やかな硬い芽が3つ。
正方形の1つの角が欠けている。
4つめはどうしたんだろう。
シャベルでおそるおそる掘ってみる。
…何もない。

そこで思い返す。
友だちからいただいたのは、3つだけだったっけ。
植えるとき、球根を正三角形のかたちにちゃんと置かなかっただけかしら。
ボケたな、と一人、苦笑してしまう。

部屋に戻り、春に撮った写真を探してみると、白・ピンク・紅色・紫。
やっぱり4つ。
…4つめはどうしたんだろう。
さっきより深く、シャベルで掘ってみるが、やはりない。
ベランダの、ミステリー。
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鳥が掘り返して食べたんだろうか。
たしか1つの球根がすごく痩せてたから、植えずに捨てたんだっけ。
いずれにしても、ないものはない。
ない球根から、芽は出ない。
3つだけ。正三角形に配置し直そうか。
でも、伸び始めた根を傷つけたら大変だから、
そのまま、4人目が欠けたまま、春を待つことにした。

立冬は過ぎたけれど、窓の外の八重桜は紅葉さえ始まっていない。
季節をふたつ、ヒヤシンスは先取りしている。




by miltlumi | 2018-11-10 14:45 | フォトアルバム | Comments(0)

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ふとした瞬間に、わけもなく、
胸のあたりで暖かい感じがふわりとする。

少し切ないような、懐かしいような、いとおしいような、
かすかな疼きのような、
立ち止まって、静かに耳を澄ませないとすぐに溶けてなくなってしまいそうな。

だからこそ、
とても大切で、決してこの感覚を見失ってはいけないと思う。

心の中の掌でそれをやわらかく包み込みながら、
何かいいことあったっけ、と思いを巡らせてみる。
何があったわけでもない。
ただ、新しい季節を先取りする、ほわほわとした輪郭の曖昧な空気。

不安や心配の種が、この先しばらく何も思い当たらない。
胸をぎゅっと縮こまらせてしまうような事件は、何も思い出せない。
その代わり、
10本300円で色とりどりスイトピーの花を買ったり、
久しぶりに友だちとゆっくりランチをしたり、
お気に入りの作業に時間を忘れて没頭したり、
スポーツジムの筋トレのウェイトを1ランク上げたり、
読んでいる本が面白くてつい夜更かししてしまったり、
ただ、そんなことの積み重ね。

すぐそこまでやってきた春は、すこし桃色がかったミルク色をしている。





小さい春、みーつけた!



by miltlumi | 2018-03-08 21:35 | フォトアルバム | Comments(0)

秋来ぬと…

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吾亦紅(われもこう)なんて、あんな地味な、花とも呼べないような花なんて。
長い間、そう思っていたのに、
今朝、スーパーの朝市に並べられた生花の中から、思わず手に取ってしまった。

竜胆(りんどう)と百合と、猫じゃらしみたいなピンクの花と。
(百合は夏の花だけど、御愛嬌)

秋だな、と思う。

今年の夏は本当に涼しかった。
残暑の中にどうにか秋の訪れを見つけようと、
朝夕に吹く風のほんのかすかな気配に耳をそばだてずとも、
一足飛びに10月の肌寒さになったり。

それでもやはり、9月の声を聞くと、この歌を口ずさむ。

秋来ぬと 目にはさやかに見えねども 風の音にぞ おどろかれぬる

というわけで、フォントも秋色、吾亦紅色。



by miltlumi | 2017-09-03 14:44 | フォトアルバム | Comments(0)

天空橋

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天空橋という駅が好きだ。
羽田空港まであとひとつ、の場所に相応しい、素晴らしい名前だと思う。
おおらかに広がるイメージと裏腹に、地下に潜ってしまうところがなかなか番狂わせっぽくて侮れない。

ホームの壁面の藍色のタイルが、宇宙が透けてみえそうな高い空を思わせる。
一方で、もしかしたらこれは海の底の色なんじゃないかとも思う。

天空橋は無人駅で、プチ海ほたるみたいに海の上にぽつんと浮かんでいる。
ホームからエレベーター(この駅にはエスカレーターはない)で地上に上がる。
ホーム階から改札階まで、ビル3階分くらいの長さがある。
エレベーターの扉が開くと、そこはいきなり屋外である。
大田区と羽田の間の凪いだ運河のような、でもなぜか茫洋とした海が、眼前に広がっている。
一瞬呆然として、それからくすりと笑ってしまう。だって、天空橋なんだから。

…そんな想像が次から次へと思い浮かんで、村上春樹ばりの小説さえ書けそうな気がする。
(というのも、村上春樹の小説で私が一番好きな「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」の冒頭に、延々としたエレベーターの描写が出てくるのだ)

天空橋で降りる人を見たことがない。
でもそれは、私が勝手に都合の悪いものを視界から消しているだけかもしれない。
この駅に乗降客は似合わない。
けれど、いつかは、降り立ってみたい気がする。
北海道や福岡や、JFKやシャルルドゴールに行くついで、ではなく、
天空橋に行くために京急に乗って、天空橋で降りる。
そのときは、スーツケースの代わりに、色とりどりの風船を持っていきたいと思う。



by miltlumi | 2017-07-28 10:21 | フォトアルバム | Comments(0)

朝の虹

サンキャッチャーを買った。
東向きの窓から部屋に差し込む朝陽が、きっともっときらきらになる。
突然、そう思いついたのだ。
ネット注文が届いたのは雨の午後。翌朝の天気予報は、晴れ。
目覚めて、わくわくしながらリビングに足を踏み入れたら、
全然きらきらしていない。
カーテンレールをするすると行ったり来たりさせると、
ようやくプリズムの光が壁に散乱する。
意外に角度に繊細なのだ。

しかも、朝の太陽は思った以上に動きが速い。
ちょっと経つと、スワロフスキと太陽の位置がずれて虹が消えてしまう。
またするするとレールを滑らせる。
そして、太陽の光、キャッチ。その、繰り返し。
朝から夢中で、私の太陽を追いかけている。

名前も忘れてしまったある詩人が、細かい言葉は忘れてしまったが、
こんなことを書いていたっけ。

 -ほんのささやかな植物でも、鉢植えを買って庭に置く。雨が降る。
 -ああ、私のあの花に、雨が降っている、と思う。
 -鉢植えがないときは、外に雨が降っていることなど、気にも留めなかったのに。

そういえば、そういうものがもう一つあった。
昔からベランダの物干しにぶら下がっている、JFKのお土産屋さんで買った
アメリカインディアンの風鈴。
少し風が強いと、窓を閉めていても、リンリンという澄んだ音色が聞こえてくる。
ああ、私の風鈴に、風が吹いている、と思う。
もっと吹いてくれないかな、とも思う。

今朝はその風鈴がそよとも動かない穏やかな日である。
サンキャッチャー越しに外を覗いたら、
アロエの花にちょうどメジロが飛んできたところだった。

サンキャッチャーで太陽とつながり
鉢植えで雨とつながり
風鈴で風とつながり
アロエの花で鳥とつながり
からだじゅうで、私は自然とつながる
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by miltlumi | 2017-02-14 20:18 | フォトアルバム | Comments(2)

秋の日

久しぶりに会った友達に、最近幸せだなあって感じたのはどんなとき?と尋ねたら、
あ、うん、あったあった、と言いながら、顎に手をあてて考え込んでしまった。
視線で促すと、えと、なんだっけなあ、たいしたことじゃないんだけど、というので、
そうだよね、ちょっとしたことだよね、と助け舟を出す。

私なんて、朝起きてすぐテレビつけるのやめて、窓開いて朝ごはん食べてたら、
マンションの植栽の木でたくさん鳥が鳴いてるのが聴こえて、あー幸せって思った。
それが、木を剪定したらね、途端に鳥が来なくなっちゃったの。あれ、巣があったのかも。

そうそう、この前犬と散歩してたら、雉の親子が道渡ってたんだよ。母鳥の後、何羽も。
犬、びっくりしちゃってわんわん吠えるもんだから、
鳥もびっくりしてうわあっと飛び上がっちゃってさ、ちょっと悪いことしたなって思った。

あと、大学時代の先輩たちと行った古民家レストランで、
生牡蠣とかアヒージョとかすっごく美味しくて、
あっちのテーブルでは中近東やロシアがどーしたこーしたって時事問題議論してるのに、
こっちはさっきから美味しいねーって言葉しか発してませんね、って笑い合ったの。

それ以外もなんかあったなあ。忘れちゃったなあ。

お互いしばし沈黙し、それぞれ記憶をたどってみたけれど、
具体的な光景は一向に浮かんでこない。
それでもなんだか、ふんわりあったかな気持ちになった、
そのときの感触だけはちゃんと甦っていて、
差し向かいのふたりの間のテーブルの、その上の空気がほろほろと緩んでいく。

うちに帰って、思い出した。
ベランダに置いた、鉢植えのノボタンが一輪咲いたこと。
年下の女性にメッセージ送ったら、読んでて涙出そうになりました、という返事をもらったこと。

今朝、いつものように自転車で職場に向かっていたら、空が秋たけなわの色で、
耳を切る風が、マッフルを付けたくなる前ぎりぎりの冷たさだった。
昨日の友達にメールしようかな、と思いながら、
いつもより少しだけ頑張って上り坂をこいでいった。
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by miltlumi | 2016-10-27 14:44 | フォトアルバム | Comments(0)

春の収穫

連休前半は、母と一緒に実家へ。
兄の家の隣に引っ越してしまった母が、たまに泊りに行くほかは空き家になっている家。

1日目。いまだに残っている亡き父の背広の整理。
カンカンと耳障りな音をたてる衣装箱。
樟脳の香り。

2日目。草木が自由気ままに伸びている庭の手入れ。
久しぶりに地面に触れて、はびこるドクダミと野苺の地下茎と戦う。
土の香り。

家の北側から母の得意げな声が聞こえた。
「ほら」 差し出された両手いっぱいに、蕗。
はんぶんこにして、それぞれ持ち帰る。

「細いやつもちゃんと筋とるのよ。でも指が真っ黒になるからね」
何度も言われた言い付けを守り、鰹節で炊く。
春の香り。

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by miltlumi | 2016-05-03 11:22 | フォトアルバム | Comments(2)

港区定点観測

毎年毎年毎年、やっぱり足が向いてしまう。やっぱり撮ってしまう。
それでも毎年毎年毎年、ちょっとずつちがう。桜も。私も。

2016年4月6日@青山墓地
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2015年3月31日@東京ミッドタウン
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2014年3月29日@青山墓地から六本木ヒルズ
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2013年3月21日@新国立美術館
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2012年4月2日@青山墓地
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by miltlumi | 2016-04-06 21:52 | フォトアルバム | Comments(2)