2018年 02月 06日 ( 1 )

自白

 日頃から、長生きなどしたくないと公言している。生老病死は生きとし生ける者の定め。ナチュラルに健康でいられるに越したことはないが、老いに逆らい、じたばたと人工的な手段に訴えるのはいかがなものか。
 これは極めて個人的な価値観、人生観に関わることなので、不老不死を願う人を否定するつもりは毛頭ない。しかし、日経新聞なんぞは、右肩上がりの読者年齢に合わせ、なんとかサプリや健康器具の広告ばかりが目立つようになって、不愉快である。カネで若さが買えるなら、と東奔西走する御仁をカモにするのは勝手だが、少なくとも私自身は、No thank you.
 …と思っていたのに。
 あな、あさましや。

 社外役員を務める会社から、HPの写真を更新したいので、次回の取締役会のあと撮影をします、というお知らせが来た。サイトの掲載写真は、かれこれ3年以上前。
 当日、一張羅のスーツをびしっと着こんで、勇んで出掛ける。予定通り会議が終わると、別の会議室に移り、1人ずつ白いスクリーンの前に立つ。
 カメラマンは、ぱしゃぱしゃと数回シャッターを押すと、無線で画像を飛ばした先のタブレットをすっと差し出して「こちらでよろしいでしょうか」と確認してくれる。私の前のシニア男性役員は、ろくに画面を覗き込むこともなく「はい結構です」と言って、そそくさと立ち去って行った。

 さて、私の番。ぱしゃぱしゃぱしゃ。すっとタブレット。
 …。
 「ちょっと、これ、ちがうんじゃないかなあ」
 ちがうも何も、液晶に映っているのは紛れもない自分の顔である。しかし、ちがう。
 「なんかちょっと、笑い過ぎじゃないですか?」
 言い訳がましく付け加えながら、問題はそこではないことを、自分が一番よく知っている。問題の核心は。。。

 HPの写真より、顔が老けてる!! が~ん。

 目じりにしわは寄ってるし、頬の線がたるんでいる。3年前の写真ではありえなかったことだ。
 「はい、じゃあ撮り直しましょう」
 カメラマンさんは速やかにクレーム対策プロセスを進める。が、問題の核心が不動である以上、何度やり直しても同じことである。
 「う~ん。まあ、仕方ないですね。元が悪いんだから」
 ついに私は自白する。誰に脅されたわけでも、カツ丼の差し入れで「さっさと真実吐いたほうがラクになるぜ」と言われたわけでもないけれど、自分の罪(?)であることは自分が一番よく知っているのだ。一旦自白してしまえば、もう恥も外聞もない。
 「でも、この頬の線、なんとかなりませんかねえ。せめてしみとしわは修正できますよね?」
 順番を待っていた若い男性役員が、カメラマンが答えるよりも先に、きっぱりと言い放つ。
 「フォトショップなら、どうにでもなりますよ」

 嗚呼。ついに私も実年齢をIT技術で誤魔化す、という人工的、反自然的解決法に走ってしまうのか。あな、あさましや。
 日頃の「ナチュラルに年を取って死にます」宣言はどこへ行ってしまったのか。

 ついでに白状すれば、この事件(?)の数日前、同世代の友人から「酒粕毎日50g食べると、2週間でお肌ぷりぷりだって」と聞き、鋭意実行中でした。毎日お味噌汁代わりの粕汁、酒粕グラタン、酒粕カレーシチュー。
 2週間を待たずして、あちこちぼつぼつにきび(否、私の年齢では「吹き出物」と呼ぶらしい)が出没。アルコールに弱い私のカラダには、合わなかったらしい。お肌ぷりぷり、は幻影と化した。

 件の写真が仕上がったという連絡は、まだない。


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by miltlumi | 2018-02-06 22:14 | 機嫌よく一人暮らし | Comments(2)