日本中が最強寒波に襲われています、というかまびすしいメディア報道は、半年前にTVを撤去した部屋には届かないけれど、そういう状況であることは、窓際からしんしんと忍び寄ってくる冷気でよくわかる。立春前の冬が、最後のひとふんばりとばかりに本気を出している。 幸い今週の唯一の外出仕事が月曜日に済んでいるのをいいことに、断固外に出ないことにする。昼食は、冷凍してあった鶏の胸肉の赤ワイン煮に、キャベツと人参を圧力鍋に放り込んでブイヨンで煮ただけの付け合わせを添える。 自分の中にぎゅうっと栄養を閉じ込めた冬の野菜は、とても甘い。「美味しい」と思わず声に出してしまう。週末に煮びたしにした小松菜も、根っこの部分がとても甘くて、同じように「美味しい」とつぶやいたっけ。 暖房の音が、ぶーんと高くなる。キッチンでは、お正月休み明け以来なぜか調子の悪い、水道の蛇口から、ぽたっ、ぽたっ、という水滴の音がしている。 そういえば数日前、山梨県と岩手県在住の人たちとオンライン会議をしていたとき、水が凍るとか水道管が破裂するとかいう話でしばし盛り上がった。2月になったら、清里あたりでワーケーションがてら雪見をしたいな、などと悠長なことを考えていたのだが。 「ごちそうさま」と、心持ち大きな声を出す。 午後の仕事を終えて、またぞろ冷蔵庫を覗き込んで、丸々と太った大根の根元の葉っぱと生姜のみじん切りを、ごま油でささっと炒めて塩昆布と和える。10cmに満たない、ほんの気持ち程度の葉っぱでも、箸休め2回分くらいのお惣菜になる。モッタイナイ精神に長けているから、野菜くずはほとんど出ない。モッタイナイついでに、同じフライパンでそのまま豚肉と菜の花と玉ねぎのガーリック炒めを作る。ついでに言えば、お味噌汁の中には、出汁の煮干しがそのまま入っている。当然食べる。 菜の花と豚肉を箸でつまみ上げると、ガーリックとともにほのかに生姜が香る。大根葉の残り香か。一石二鳥。「うふふ」と声に出して笑ってみる。 思い浮かんだ先から、さらさらと心の隙間にこぼれ落ちてしまうような、そういう思いさえ、書き留めておきたくなる。これもモッタイナイ精神かしら、と思う。 それから今度は、「咳をしても一人」という俳句を思い出す。 カーテン越しの冷気がまた強まってきた。 今夜は早めにお風呂に入って、湯舟でゆっくり小説を読むとしよう。
by miltlumi
| 2023-01-26 21:25
| 機嫌よく一人暮らし
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