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アーユルヴェーダの禁を破る

 三口めくらいで、しみじみ美味しいと思った。
 自宅から持ってきたレギュラーコーヒーで淹れたホットコーヒー。ようやく寛いだ気分になる。
 「コーヒーも紅茶もだめ。もちろんアルコールもたばこもなし。ハーブティーだけね」
 初回のアーユルヴェーダの女医さんの言葉が一瞬脳裏をよぎる。
 でも、せっかくのバケーションなんだから、「~してはならない」っていうの、やめようよ。いいじゃない、気にしなくたって。

 紅茶の国、スリランカの、3食付きアーユルヴェーダ専門ホテルだから、コーヒーは出ないかもしれない、と覚悟していた。だったら日本から持参しなきゃ。朝一番に牛乳をたっぷりいれたコーヒーを飲まなければアタマもカラダも動かない私は、荷物は最低限という旅装の基本を曲げて、周到な準備をしたのだ。
 エアコンのない部屋に冷蔵庫があるわけがないから、たとえ近所の店で牛乳が買えたとしても、保存はできない。というわけで、いつもは使わないクリープをスーパーで買って、いつも飲んでいるレギュラーコーヒーの粉きっちり12杯分(150ccベース)をジップロックに入れて、カップに直接ひっかけられるドリップ袋と計量スプーンまで一緒に持ってきた(ちなみに、市販のドリップバッグはカップの大きさによって粉が多すぎたり少なすぎたりする可能性があるので、自分で測れるほうが安心なのだ)。

 チェックインの翌朝、6時半からのヨガ教室の前に、早速朝の1杯を楽しんだ。
 朝食についていたのは、案の定紅茶だった。そのあと、最初のアーユルヴェーダ診察の締めくくりに、鼻筋の通った女医さんに断固言い渡されたのだ。
 体調を整えるため、アルコールやたばこはもちろん、コーヒーも紅茶(!)もNGだと。

 そっか~。せっかくコーヒー持ってきたのに。あと11杯分も余ってるのに。でも、お医者さんに言われたのだから、仕方ない。ま、たまにはコーヒー断ちを試してみようか。アタマがぼけぼけでも、やらねばならない仕事があるわけじゃないし。
 素直な私(少なくとも、その時点では)は、あっさり諦めた。

 …が。
 それから30時間。街歩きの合間にちょっと一休み、と戻った部屋で、ああ、こういうときに、コーヒーを飲みたいんだ、と我慢がきかなくなった。
 センセイ、ごめんなさい。
 一口めは、なんだかよくわからなかった。
 二口めは、禁断の味がした。
 そして三口め。ああ、やっぱり美味しい。いつもの味。

 世界中、どこに出張するときでも、携帯コンロと「農協のご飯パック」を欠かさず持ち歩いていた、T部長のことを思い出す。
アーユルヴェーダの禁を破る_a0165235_12325464.jpg
(写真は、庭掃除をしていたおじさんがくれたパッションフルーツの花と実)


by miltlumi | 2018-09-04 12:34 | スリランカ♡アーユルヴェーダ三昧2018 | Comments(0)
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