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形容句

 卒業以来33年ぶりの高校同窓会に、学年のほぼ半数の仲間が集まった。12クラスもあったから(今は8クラスに減ってしまったらしい)、一度も同じクラスになったことがない人が大半だ。それでも相対的に人数の少なかった女子は、3クラス合同で体育や家庭科(女子のみ!)の授業を受けていたし、クラスの仲良しが属している部活の他の女子、というのも「友達の友達」状態だったから、なんとなく顔見知りが多い。
 開催前の準備のために発起人を買って出たFacebookグループ(ここには実に5分の1弱の人数がメンバーになった)でも、五月雨式に集まってくる懐かしい名前およびプロファイル写真と卒業アルバムの写真をつきあわせて「承認」を繰り返していたから、記憶力の刺激にもなっていた。

 でも実際にみんなが集まってきて、目の前に3Dの姿が現れると、画面やアルバムとはケタ違いの刺激だった。
 一瞬、わからない。でも次の瞬間にすべてがフラッシュバックする。あるいは、網膜にその姿が映ったとたん、33年間いちども思い出さなかった(ごめんね)名前はもちろん所属していた部活やらそのユニホームを着て教室から飛び出していく後姿がどわーっとよみがえってくる。
 か思うと、どこかで一緒だったよね、とお互いの顔を穴が開くほど見つめながら、でもわからない。しばらくして、人混みをかき分けて彼女が近づいてくる。「1年の時、演劇部で一緒だったのよ!」 うわ。2学期の終わりに途中脱落した部活。昼休み、校舎の屋上で大声で「あめんぼあかいなあいうえお」と叫んでいた私たち。

 たいがいの仲間は、何かしらの「形容句」を伴って記憶がよみがえる。バレー部だったKくん。附属中から来たTくん。ポニーテールが可愛かったIさん。
 演劇部を辞めてから帰宅組だった私は、遠方から通学していたことが一番印象的だったらしい。私の顔に憶えがなくても、名札をみて「あ、○○から通ってた○○さん」と何度か言われた。同じクラスで仲の良かった「掃除中にPlayback Part2を一緒に歌っていたOさんからは、「勝気で言いたい放題で口の悪かった○○さん」と形容された。
 国際的な機関で活躍しているIくんは、私にとっては「授業中に早弁していてお弁当箱を膝から落としてご飯を床にバラまいた」Iくん、以外の何者でもない。

 クラスごとの2次会。異様な熱気に包まれた33年ぶりの260人とはちがい、20名のうちのほとんどが数年ぶりの「いつもの仲間」である。「いつも」といいながらも、彼ら・彼女らの2世が、あの頃の私たちと同世代になっている。
  「そういえば、1歳上の男友達が、大学生の息子と一緒にお風呂入ってるんだってさ」
 場つなぎのつもりで世間話を持ち出したら、一人の男子が意外な反応を示した。
  「オレ、さっき会場で『高校生になってもお姉さんと一緒にお風呂に入ってた○○くん!!』って言われた」
 このたびの最強の「形容句」だった。高校時代も卒業してからも、ずっと連絡をとりあっていたけれど、その話は初耳である。長年のつきあいの仲間たち。新しい発見がまだまだありそうだ。
by miltlumi | 2014-03-05 22:03 | 私は私・徒然なるまま | Comments(0)
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