(上)はこちら・・・
(中)はこちら・・・ 命からがら?たどり着いた門の真下は、文字通り屏風岩。先端が鋭く切り立ち、岩をまたいで人一人がようやく腰をおろせる狭さ。その向こうには、青空をバックにさらに連なる妙義山の峻峰。一瞬、わあきれい、と感動するが、ふと行く先を見ると顔がひきつる。登ってきたのよりさらに急な崖が、陰になっているせいで不吉さをいや増し、奈落の底に向かってまたもや鎖が…。これ、降りるの? 「引き返そう」 速攻決断。ただでさえ小さい探究心は雲散霧消。三十六計、逃げるに如かず。 たてばりをそろりそろりと下る。降り切って1m2程度のスペースに立つと、60過ぎの女性二人連れが横ばいを這ってくる。赤ジャケットの人に比べ、慣れてない感じの白柄ジャケットは、もう口もきけないくらい緊張している。ひきつったままたてばりにしがみつく背中に、思わず声をかける。 「岩の隙間じゃなくて、岩肌に足をかけて!」 自分が登るより、人が登るのを見ている方がコワい。アタマがくらりとして、こっちが崖下に落ちそうになる。横這いをとっとと戻ろうとしたら、今度は70過ぎの夫婦。こちらにも声をかけずにはいられない。 「気をつけてくださいね!」 ぴかぴかのピンクのジャンパーにボブカットをきれいに茶色く染めた奥さんが、震え声でけなげに応じる。 「あたくし、ウォーキングもしたことないんですのに…」 まじですか。やめたほうがいいですよ。ここ、登ったら次に降りなきゃいけないんですよ。そう喉まで出かかって、へたに恐怖心を煽ってビビらせてもいかんと、言葉を飲み込む。彼等がどうにか渡り切った「よこばい」を慎重に戻り、平たい地面に戻る。 「ぶ、無事に帰って来られてよかった」 「すごかったね」 「予想以上だったね」 「あはははは」 人は、ぴんぴんに張りつめた緊張から解き放たれると、意味もなく笑いたくなるものなのだろうか。生還できた喜びが、我々を饒舌にする。 すれちがいに、何人もの無辜の人々が登って行く。やばいですよ。なめたらだめですよ。かーなーり、大変ですよ。一人一人に話しかけたくなる。 しかしまがりなりにも彼等は皆、登山靴・登山リュックにストックでしっかり装備を固めている。一番なめてたのは我々である。チョコレートひとかけどころかPETボトルも持っていない、何しろ手ぶらである。 いやはや、面白かった(後の祭り、じゃない、喉元過ぎれば…、ってやつですね)。行ってみた甲斐があった。よかったよかった。今だから言える、余裕の(?)発言。やはり探究心は大切である。おかげさまで貴重な体験をしました。 ホテルに戻って調べたら、あの「かにのよこばい」でも死亡事故が起きていた。妙義山さん、なめてました。ごめんなさい。 (おしまい)
by miltlumi
| 2013-11-18 19:59
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