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ちいばす英語

 港区には「ちいばす」というコミュニティーバスがあって、全区間百円で乗車できる。もちろんSuika・PASMO共通。これまでは、うちから品川駅に行くにはタクシーに乗るか(7・8分で着くが、890円か980円かかる)、長ーいエスカレーターを降りて地下鉄に乗って1駅で乗り換えないといけなかった。ちいばすは1時間に3本だけで、しかも朝8時前から夜8時過ぎの間しか走っていないけれど、うまく時間が合えばとても便利だ。マイクロバスサイズで、都営バスのようにたくさんの乗客は乗れないが、ぎゅうぎゅう詰めということはまずなくて、けっこう快適なのである。

 けれど、乗るたびにすごく違和感を感じることがある。それは車内の英語アナウンス。外人がたくさん居住する港区だから、こうした対処は不可欠なのだろうが、なんだかヘンなのである。最初はなんかヘンだなあ、くらいだったが、何度も乗るうちにそのヘンなセンテンスを覚えてしまった。いわく;
 「We will depart momentarily. Please be careful.」
 もめんたりりー。法的には何の間違いもないのだが、すぐに出発します、というときにこの副詞を使うか? Shortlyとか、Momentを使いたければ in a moment くらいが自然ではないか。ローカルなフリーアナウンサーか、はとバスで英語力を磨いたバスガイドか、どこかジャパニーズイングリッシュな声を聞くたび、RとLの発音の練習を受けている気がしてくる。
 そして、びー・けあふる。日本語の「ご注意ください」を直訳している。これも中学校の英語のテストでは×にはできないだろうけれど、こういう場面では「Please watch your step.」でしょう。昔、仕事でガイジン客を皇居前広場に案内したとき、青々とした芝生に「立ち入り禁止」と書かれた看板を見た彼等に「なんて書いてあるの?」と訊かれ、「Don’t enter」と言ったら、「Oh, I see. Keep out」と言われたことを思い出す。公共の場での常套句というものがあるのである。

 きわめつけはこれ。
 「To prevent the accident, please be cautious 云々」
ビジネスマン(政治家も?)のお気に入りの表現に、Cautiously optimisticという言い回しがある。業績動向や経済環境や景気見通しの判断を下す際に注ぐべき慎重さを、たかがバスに乗る程度の日常茶飯事に動員しなくてもいいと思うけど。
 きっと、Please be carefulというセンテンスをもう一度繰り返すのは芸がないと思ったんだろうなあ。日本語でも英語でも、優れた文学作品は同じ単語の繰り返しより別の表現を駆使することがあるものね。しかし、ちいばすに乗って会社や買い物に行く我々としては、別に車内で叙情詩の朗読に相当するような高邁なアナウンスを期待しているわけではない。

 港区民として、あるいは正しい日本語と英語の使用に心を砕く一国民として、港区役所にボランティアを申し出るべきだろうか。ちょっと迷っている。
by miltlumi | 2013-04-28 11:31 | 忘れられない言葉 | Comments(0)
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