人気ブログランキング | 話題のタグを見る

旧交

明日何が起こるかわからないのだから、会いたい人には会いたい時に会わないと。
だから、というわけで、会える時に会うこと自体が、
やがていつかは会えなくなる日が来ることを織り込んだ振る舞いのようで、少し沈んだ気持ちになる。
悲しい思いをしたくないという自己防衛本能だとわかりつつも、一抹の躊躇いはもう消えることがない。

会ったら何を話そうか、何を尋ねようか、あれこれとシミュレーションをしている自分に気づく。
目的と結論と次のアクションを明確にしなくてはならないビジネスミーティングに臨むわけでもないのに。
何が飛び出しても驚かないように、心をかき乱されることのないように。
つまりはこれも、どんどん臆病になっていく私の、一種の自己防衛本能なのだ。

会った日の翌朝。ほんの少し寝不足な頭の中で、交わした会話をつらつらと思い出している。
防衛しなければならないことなど、もちろん何もなかった。
久しぶりに、三段論法とか起承転結とかを気にせず、安心してとっちらかってしまった自分が少し愛しい。
「それはちがうんじゃない」と言われても平気だった。

ポン、という音をたてたかのように、ふいにメールが入る。
昨日の話題の続きがそこにある。
同じ時間に、相手も昨夜のことを思い出して、私の為にキーボードを打っていた、
その事実が、何にも代え難い大切な贈り物。

またね、と言ったけれど、その「また」はいつになるのだろう。
by miltlumi | 2012-10-28 15:03 | 機嫌よく一人暮らし | Comments(0)
<< 社会人の下敷き 読書の秋 >>