小学校の頃、毎週月曜日の朝には「朝礼」があって、木曜は「集会」があった。全校生徒が校庭に整列して、校長先生のお訓辞を拝聴したり、市の読書感想コンクールで入賞した生徒が改めて表彰されたりする。時間にして10分か15分程度だったと思うが、夏になると、たまに倒れる生徒が出た。
ばたり、と音がしたかどうか、校長先生の口以外動くもののない静寂が破られ、何人かの先生がだだだっと駆け寄る。屈強な若手男性教師がぐったりした生徒を抱え上げ、すたすたと保健室に運ぶ。一連のドラマを遠目に眺めながら(幸か不幸か、私のクラスで倒れる友達はいなかった。ちなみにインフルエンザによる学級閉鎖も経験したことがない)、私も一度くらい倒れてみたいなあ、と思ったものだ。 可憐で病弱な悲劇のヒロイン。羨ましい。でも、一体何をどうしたら地面に倒れ伏すことができるのだろう。頭痛にも立ちくらみにも縁のなかった私は、1度も全校生徒の注目を集めることなく健やかに小学校を卒業し、その後も若い素敵な男性に抱えあげられる機会のないまま、今日に至っている。 さて、今年の夏も、昨年に引き続き節電が呼びかけられている。それでも、ちょっと暑い日があると、TVは「こまめに水分をとって」「無理せず冷房をいれて」とご親切な忠告を繰り返し、それに呼応するように「XX高校で部活中の男子生徒8名が熱中症で倒れ…云々」というニュースを流す。まだ梅雨も明けてないのに。 昔は年に2・3人だった「倒れる生徒」が、どうしてこんなに増えているのか。東京の平均気温が上昇傾向なのは知っている。それにしても、これほど「病弱なヒロイン」が続出したら、有難味も何もあったもんじゃない。そもそもばたばた倒れるのが男子ならヒーローと呼ぶべきだが、運動部の部活中って、普段から鍛えているはずじゃないの。 あえて暴言を吐かせていただくが、学校に冷房をつけるのをやめてはどうか。カラリ快適な部屋から、いきなり炎天下に飛び出したら、そりゃあカラダもびっくりするでしょう。窓は両側にたくさんついてるし建て込んでないから、少なくとも一般家屋よりは風が通るだろう。制服もクールビズ(クールスクールか)にして、Tシャツ・短パンありにしてしまえばいい。汗をかいて新陳代謝をよくしないと。 何より、コドモの頃から冷房完備の部屋に慣れてしまうと、将来会社に入れば冷房のあるオフィスで過ごせる、という期待が持てなくなる。そういうモチベーションがないから、大人になりたくない若者が増えるのではないか。私のような素朴なコドモは、冷房はもちろん、オトナになればイイことがある、と単純に思っていた。 でも、となると、オトナになった学校の先生が困るか。こんなことなら冷房オフィスに入り浸れるサラリーマンになりゃよかった、とますます教師人気が落ちるのを懸念した文科省の配慮だろうか。 SOHOと称する自宅に、この夏まだ1度も冷房を入れていない私は、8月になったら契約先の会社のオフィスと図書館とデパートをフル活用しようと目論んでいる。
by miltlumi
| 2012-07-09 08:33
| 私は私・徒然なるまま
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