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水「減らし」請求という発想

 私と似た形態で仕事を始めた女性Aと話をした。成功報酬型や歩合制ではなく、コンビニのバイトみたいにきっちり時間が決まっているわけでもなく、ざっくり「月いくら」の固定報酬で契約する類の仕事である。しかも、期間限定ワンショット仕事ではなくて、半年や1年単位の継続的契約。
 大枠設定されている仕事の性質上、かける時間とアウトプットは限りなく連動するから、予想される所要時間と自分の単価を掛けた固定報酬である。しかし何をどこまでやるかは我々次第。

 さて、ここから先が難しい。毎日、仕事に費やした時間をちまちまと自己申告するのだ。契約先から記録提出を義務付けられていなくても、である。会議等で出社する場合はオフィス滞在時間=労働時間だから、わかりやすい。在宅勤務だと、自分で労働時間を管理せねばならない。A女はストップウォッチで測るという。
 大仰な計器を購入せずとも、ネット上でストップウォッチを見つけた、と嬉々として教えてもらったが、原始的な私は、開始・終了時に時計を見る癖が既に身についている。この時間中、当然ながら他の仕事はしないし、ましてや気分転換にFacebookを眺めるなんてありえない(やったとしても労働時間から差し引く)。

 さらに、A女と私の興味深い共通点は、計測された労働時間を過少申告すること。水増し請求の逆、いわば水減らし請求である。この資料作成は1時間45分かかったが、1時間半ということにしておこう。3通のメール読み込みと返信に38分かけたけど、実働30分だったはず。
 一体この心理はなんなのだろう。自分自身に対するプライド?この程度の仕事に2時間近くかけたなんて、かっこよくないわ(別に明細を契約先に提出しない場合でも、こういう発想になるのだ)。
 ちなみに、単に受信メールに目を通したり、会議日程調整の事務的なメールを出したりする業務は、ストップウォッチや時計による計測対象時間に含まれていない。我々にとっては「仕事」のうちに入らないのである。

 月末に総労働時間を合計してみて、当初想定時間とほぼ一致すれば、ほっと一安心。それより多いと、今月は色々下調べをしなきゃいけなかったとかなんとか、理由をひねくりだして超過時間を正当化する。あるいは、あれは単純作業だったから○円は取り過ぎ、と単価の方を調整する(繰り返すが、契約先に申告するためではない。あくまで自分の心の整理のためだけ)。
 逆に時間足らずだと、まるで詐欺をしでかしたように、思いっきり後ろめたい気分になる(と、別のコンサル業者B女も言っていた)。でも先月○時間超過したからその分を今月に充てたということで、あるいは来月××の仕事があるからその分余計時間かかるし、とこれまた懸命に自己弁護を始めるのだ。

 謙虚というか遠慮深いというか。この程度のアウトプットで、こんなにいただくのは申し訳ない?あるいはやはり自分に対するプライド?自分の本来の能力ならこの程度の仕事はちょちょいのちょいであるべき?
 いずれにしろ、この形態の仕事は、自分の意地にかけてでもさっさとこなす癖がつく。時間あたり実質労働の濃度は、ゼッタイに会社員時代より濃いと断言できる。少なくともA女と私の場合は。
by miltlumi | 2012-05-07 20:41 | マンモス系の生態 | Comments(0)
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