先回のブログでは「褒められたい」という人間の本源的欲求をちょっとちゃかしてしまったが、今回はもう少し真面目に考えたい。だって、私も褒められれば素直に嬉しいです。嬉しいことはいいことです。
男女問わず、人をやる気にさせるには褒めるのが一番、というのは、今や子供はもちろん社会人教育の常識である。けなして自尊心傷つけて谷底に落として、それで這い上がってきたやつだけを登用するのは、昭和以前の時代でしか通用しない。 言い換えれば、ばりばり昭和の高度成長期を謳歌した「獅子の子落とし」の団塊世代に育てられた、今や押しも押されぬ管理職、場合によっては役員・社長も射程距離内の中年達は、他人を褒めるのが苦手である(ちなみに先のブログにある勉強会出席者は皆、「男の子は褒められないで育った」カワイそうな昭和世代だった)。 人事部主催の管理職研修で「部下を褒めましょう」と言われて素直に実行してみようにも、何をどう褒めればいいかわからないし、女性社員に「色が白いね」なんて言おうものなら、セクハラ疑惑で再び人事呼び出しである。どうすればよいのか。 心理カウンセラーの資格を取った友人によると、クライアントとの信頼関係を作るにはまず褒めること。しかしその人となりを知らない初対面でいきなり「あなたの人間力は素晴らしい」というわけにもいかないから、とりあえず見てくれを褒めろ、と習うそうだ。 友人は、電車に乗ったら前に座ってるおっさんを心の中で褒め(「シックなネクタイですね~」)、スーパーのレジおばさんには「バーコードを通す手さばきが鮮やか!」、ペットのうさぎには「んまあ、素晴らしい毛並っ」、挙句の果ては人参を見たら即座に「ずんぐりしたシェイプが最高!」という言葉がでるほど、修行を重ねたとか。見上げた根性である。 つまるところ、わざとらしくない褒め方を習得するには、とにかく場数を踏むしかないということなのだ。 さらには、特に相手が女性の場合、前述のごとく男性に比べれば褒められ慣れている分、単に数をこなすだけではなく、内容にも気を配らねばならない。 まず一番身近な女性、というわけで、奥さんにむかって目につくままに「綺麗な色のセーターだね」と言っても、「…昨日も着てましたけど」と白い眼を向けられかねない。褒めようと決意したら、できれば1週間くらいじっと観察して、変化した部分を取り上げる。冬場でもさすがに1週間は同じ服を着続けないだろうから、ようやくセーターの色が変わったら、すかさずに。 そして、褒め言葉は短くていい。 「いい感じだね」 「それ、好きだな」 褒めるという行為は、愛情(恋愛、ではない)表現。愛に多くの言葉はいらない。だからきっと、褒め言葉欲しさに大口開けてる男性にだって、たくさん詰め込まなきゃ、なんて思う必要は別にないのかも。小さな極上の生チョコみたいな一言を。バレンタインデーは終わってしまったけれど。
by miltlumi
| 2012-02-18 22:17
| 私は私・徒然なるまま
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