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山口百恵礼讃

 三浦友和の「相性」という本がベストセラーになっているという。その書評を読んで、思わず泣きそうになってしまった。言わずと知れた彼の奥方である山口百恵が、「毎日家事をし、キルト作りが趣味で、夫との旅行を楽しみにしている」と本の中に書かれているという下りを読んだとき。
 「花の中3トリオ」で一躍有名になった、思いっきりいなかっぺな感じの森昌子に、さくらんぼのついた白い帽子がトレードマークの桜田淳子、そしてちょっと影があってクラスにいても目立たなさそうな山口百恵。少しお姉さんの彼女らをTVのスクリーン越しに眺めながら、「私でもイケるかも」と密かに闘志を抱いたのは、私だけではないだろう。
 歌唱力はそっちのけで、デビュー曲では赤と黒の細かい市松模様のワンピースを着よう、と私は真面目に考えていた(まかり間違ってプロとしてTVに出ることになったら、母親手作りの着古した服を着るなんて、「事務所」が認めるわけがない。世の中の仕組みを知ったのは、かなり後のことだ)。

 スタートこそ大差なかった(?)ものの、その後の彼女の躍進、ヒット曲の数々は目を見張るものがある。
 ポルシェの存在を初めて知り、またその固有名詞の公言を拒まれて彼女が「真っ赤なクルマ~♪」と歌詞を替えた紅白歌合戦を見て、これじゃあ歌の凄味が半減するじゃん、とNHKの馬鹿臭さに呆れ返った「プレイバックパート2」。
 掃除をさぼった裏庭で口ずさみながら、クラスメートのN君はOちゃんと私のどちらを選ぶのだろう、と胸をときめかせた、「絶体絶命」(結果はもちろん、歌の主人公と同じ道のりだった)。
 「秋桜」や「いい日旅立ち」を聴きながら、やっぱり、オンナの幸せはケッコンかしら、とティーンエイジャーの私はしみじみ感じ入っていた。

 そして何と言っても、あの潔い引退。耳の両側に白い花をシックに飾り、真っ白なドレスに身を包み、マイクをそっとステージに置いた、永遠の名場面。憧れの結婚「退職」。やっぱり、なんたって、オンナの幸せはケッコンだわ。難関と言われる大学に向けて受験勉強に勤しみながらも、あくまで私の考えは古かった。

 以来30年以上、彼女は一切マスコミに露出していない。往年の大女優としてだけでなく、俳優三浦友和の妻としても、十分非凡な人生を歩んでいると思っていた。
 一方の私は(って、比較すること自体がナンセンスだが)、あれだけ憧れた結婚も、その代償に頑張った仕事も途中退場。マンモス狩りとか干し肉作りとか勝手なことをブログに書き散らしながら、年に数回の旅行が何よりのスパイス。なんか、毎日平凡だよなあ。

 ところが、かの百恵さんがキルト好きなんて、それって、典型的な干し肉作業ではないか。そして、「旅行を楽しみにしている」って、ワタシとおんなじ!? 
 数十年ぶりに、またもや山口百恵にしみじみと感じ入ってしまった。彼女も、昨日は手作りのチョコレートを友和さんに差し出したのだろうか。平凡な幸せ。やっぱり、山口百恵は永遠の女性の憧れだ。
by miltlumi | 2012-02-16 10:38 | 私は私・徒然なるまま | Comments(0)
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