このお正月、友達が、年下の彼を両親のうちに招待したという。というより、彼の方から「行っていいかな」と切り出したのだそう。指示待ちとか草食とか言われている世代とは思えぬ、なんというオトコらしい振る舞い。
仕事初めの日、「どうだった?」と興味津々で聞いたら、既に結婚している姉とその夫に狂言回しの役を引き受けてもらい、どうにか乗りきった。姉と義兄への敬慕が、いや増したに違いない。さらになんと、成人の日に今度は彼女が彼の家に行くって。ぶっちゃけ、押しも押されぬアラフォー女性が、紺色のワンピースを新調したなんて、その健気さに涙がちょちょ切れそうになる。 でも、いいなあ。そんなステップ。分別のある彼だから、付き合い始めてまだ3ヶ月の相手の親にいきなり「お嬢さんをお嫁にくださいっ」と叫んだわけではないけれど、お互いの両親へのお目通しが済んでしまえは、いわゆる「公認の仲」というやつ。自宅生(だんだん大学生モードになってる私)なら、デートの帰りに送ってもらい、ピンポンして出て来たお母さんに「あら、寒いからお茶でも召し上がって行く?」なんてにっこりされたり。 二人で婚前旅行(こりゃ昭和の単語だね)でお互いの両親にお揃いのお土産買ったりね。「あ、ウチの父もわさび漬け好きなのよね」「キミが選んだ薄皮饅頭、お袋がすごく美味しいって3ついっぺんにたべちゃったよ」とか。ひゅう、ひゅう~(口笛です、念のため)。 しかし、その前に重要なことを失念していた。自分が選んだ相手に対する、親の評価である。私が大学時代(って、そこまで歴史をさかのぼるか)に付き合っていたのは、高校の同級生。友達時代からの数年来の事前インプットがあったから、「彼」として紹介したときも別に評価云々を気にする必要はなかった。 でもきっと普通は、彼を送り出した後、がらんとしたリビングルームで新聞を広げる父親と、キッチンで後片付けをする母親の、その無言の後ろ姿に、一瞬声をかけるのも憚られるにちがいない。娘を持つ親のフクザツな胸の内をどうにか見通せないものかと思いながらも、表情を直視する勇気も出ない。「外、すごく冷えてきたわ~」なんて意味のない言葉を明るくつぶやいてみたりするのだ。 私の父親は、男親にしては珍しく「娘の彼」に興味がなかったようだ。大学時代のBFも結婚した夫のことも、一言も感想めいたことを言わないまま、あの世に行ってしまった。色んな意味で、自分のことしか考えない人だった。 父親似の私は、だから、上述のような話を聞くと、評価される立場のほうにばかり想像が働く。いつまでたってもコドモのつもりなのだ。同世代の友人たちは、そろそろ子供の彼や彼女の評価をするほうの役回りに向かい始めている。
by miltlumi
| 2012-01-21 22:53
| 機嫌よく一人暮らし
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