面識のない人とのミーティングがあった。連れの同僚も、先方とは電話で話したことしかない。
相手方の会社のロビーで待っていると、40代にはまだ届かないような、でも社会人としては立派に経歴を積みつつある感じの、眉の濃い男性がやってきた。 「あ」と思った。つやつやと焦げ茶に光る美しい杖をついていたのだ。 会議室は2階にあって、 宝塚の舞台みたいな半円形の階段に向けて、 吹き抜けのロビーを横切っていく。 彼は、やはり少し足をひきずって歩く。 大理石の階段のふもとに着くと、 彼がにこやかに言う。 「会議室は階段を上がった右手ですので、 どうぞお先にお上がり下さい」 同僚が屈託なく尋ねる。 「お怪我されたのですか?」 「あ」と思った。美しい杖をついているのに。 「いえ、昔からです」 問われ慣れているのか、彼もすんなり答える。 私は、緩やかに微笑んで、歩調も緩めて、 同僚と彼の中間あたりで階段を上っていく。 階段の上からは、初夏の眩しい陽射しがさしこんでいた。
by miltlumi
| 2011-06-26 10:50
| フォトアルバム
|
Comments(0)
|
カテゴリ
マンモスの干し肉 マンモス系の生態 私は私・徒然なるまま 機嫌よく一人暮らし アインシュタインの言葉 忘れられない言葉 サラリーマンの生活 慣れてない男たち フォトアルバム 父の記憶 Vacation in Hawaii ! Vacation in Bali 初秋のヨーロッパ Vacation in Hanoi Seoul Trip Ubud in 2013 Ubud in 2014 イレウス奮闘記 NY after 8 years リーダーシップ論 みるとるみ版・映画評 セドナの奇跡 スリランカ♡アーユルヴェーダ三昧2018 バルセロナの1月 メキシコ・女一人旅! 以前の記事
2024年 03月 2024年 02月 2023年 11月 2023年 10月 2023年 08月 2023年 07月 2023年 06月 2023年 05月 2023年 04月 2023年 01月 more... メモ帳
最新のトラックバック
検索
タグ
男と女
思い出
言葉
しあわせ
干し肉
ウブド
モチベーション
一人暮らし
バリ
マンモス
腸閉塞
イレウス管
体験記
コロナ陽性
アーユルヴェーダ
村上春樹
断捨離
アインシュタイン
うちさぽ東京
エネルギーレベル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||