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加尾の「不純な動機」

 昨日の龍馬伝で、加尾が、岩崎弥太郎の塾に行ったのは学問がしたかったわけじゃなくて龍馬においてきぼりにされたくなかったから、と告白しているのをみて、「はあ~」と思った。私も江戸時代から変わってないじゃないの。

 中学3年の時、電車で3つめの地方都市で開催される進研ゼミ模擬試験は、友達の間で「不純な動機」の現場として認知されていた。始まりはリエコさん。彼女がスズキ某という両想いの相手とデートしたくて、でも中学生の分際で親に内緒でどっかにでかける勇気もなく、編み出したのが「模試」作戦。これなら親は喜んで電車代もランチ代も出してくれるし、少々帰りが遅くてもテスト後の気晴らしと大目に見てくれる。リエコさんは晴れてスズキ君と手と手を取って模試にでかけたのであった。以来「不純な動機」という言葉が密かに流行り、模試の帰りにマックでハンバーガーを食べるとか男の子と動物園に行くとかいう不純な(?)活動がさかんになった。中学1年までその街に住んでいた私は、ヒロミちゃんを引きこんで、小学時代のボーイフレンドの自宅を突撃訪問するということまでやってのけた。

 その後の人生も「不純な動機」に導かれている。運動音痴の私が大学時代に熱心にスキーをしたのは、彼と一緒にいたかったため。会社に入って3年目、自己申告制のキャリアプランに手を上げて異動したのは、同じ部署だった彼が異動したため「もうこの部にいる意味ないじゃん」と思ったのが真の動機である。日本で一番有名なオフィス街に転職した理由の一つは、あそこなら人口密度が高い分、出会いも多かろうと読んだためだった(その期待は見事に裏切られたが)。
 こんな不純な動機ばかりに気を取られているから、大事を成し遂げることができないのだ、と反省することもある。

 でも。大事を成し遂げ、立派な経歴と資産があり、そろそろのんびり引退なさっても…という方に最近会ったら、今度はその資産を活用して年率10%で回す事業をどうこう、と話していた。決して金の亡者ではないのに。ああ、と思い当たった。彼の奥さんは今でこそ儲からないビジネスを趣味でやっているが、結婚した頃はスーパーカーの輸入ディーラーだった。お見合いの席で彼女から年収を問われ、まだ駆け出しのサラリーマンだった彼が素直に答えたところ「月給ですか?」と言われたそうだ。不純な動機、と呼ぶのは失礼だが、本筋と違う事象がビジネスのモチベーションになっているのは確かだろう。
 ただ、おそらく本人は既にそれを忘れている。最初のモチベーションがなんであれ、それを起爆剤にして頑張る。頑張って結果が出ると、それから先は結果を出すことが目的になり、永遠に走り続ける。このすり替えに無意識に乗れるかどうかが、ビジネス界で成功する鍵なのだろうか。そういえば、岩崎弥太郎も同じことなのではないか。
by miltlumi | 2010-02-22 10:57 | 私は私・徒然なるまま | Comments(2)
Commented at 2010-02-23 08:50 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2010-02-23 10:37
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