女王陛下のお気に入り

 なんか面白そう、と思って見に行った映画。鑑賞した直後の一言感想をインタビューされたら、きっと「げっそりしました」と答えていただろう。
 「権力闘争」「権謀術数」といった四文字熟語は、男性の専売特許だと思っていたのに。
 デコルテを強調したドレスに身を包んだ女性たちが、ごてごてと飾り立てられた宮廷の中をふうわり広がる裾を翻して行きつ戻りつ、男性顔負けの抗争を繰り広げる。
  オンナって、こんなに権力に固執する動物だったっけ? しかも、権力闘争の戦術が、これまた男性的というか。。。

 18世紀初頭イギリス、アン女王と側近の女官、サラとアビゲイルの物語である。この3人を初め、登場するのはいずれも実在の人物のようだが、映画の筋がどこまで真実だったかはわからない。しかし、アビゲイルの宮廷入りやサラの失脚、フランスとの戦争終結のタイミングは史実だ。「最高権力者の寵愛」を勝ち得るべく、側近二人が熾烈な争いを繰り広げるという映画製作者が設定した筋書きは、当たらずとも遠からず、…だったのだろうか。

 女友だちにあらすじを尋ねられ、「オトコみたいに権力闘争してた」と答えたら、「何のために?」と畳みかけられた。これぞ、オンナの発想である。
 男性が権力闘争をするのは、権力を掌握するためである。権力を掌握するのは、掌握したいからである。男性にとって、「権力」そのものが目的なのだ。
 一方、権力闘争と聞いて「何のために?」と尋ねる女性は、権力を握ることによって、もっと別の目的を達成しようとしているに違いない、と反射的に考えるのだ。

 アビゲイルの場合は、「やんごとない生まれなのに、父親の没落でどこぞの貴族に売り飛ばされた雪辱を果たすため、再び貴族の地位に返り咲く」のが目的である。
 ではサラは? フランスとの戦争継続を強行して、夫に戦功をもたらし、さらなる権力を握りたかっただけか?
 そして、二人の争いの上に君臨していたアン女王の「目的」は? そもそも政治にも戦争にも興味がない。17回も妊娠したのに、いずれも死産や夭折で世継ぎを一人も残せなかった。なのに権力目当ての側近に心を赦してしまう、その理由は?

 別の女ともだちが、今日のニッポンの会社を評して、いみじくもこう言っていた。
「権力の座に10年も居座ったら、ダメなのよ。自分がエラいと思っちゃうし、周りも本当のことを言わなくなって、必然的に腐敗する」

アン女王もサラも、結局のところ、そういうことだったのだろうか。権力の魅力の前には、オトコもオンナもカンケーないのだろうか。はぁ~。

 数日もやもやとしていて、不意に気づいた。
 彼女たちが本当に欲しかったのは、権力や名声以外のものだったのではないか。
 アビゲイルが欲しかったのは、貴族に「買われた」立場ではなく、「本当に自分を必要とする人」との関係。
 アン女王が欲しかったのは、血を分けた自分の子供たちに囲まれて過ごすこと。
 そして、サラは、「アン女王」の黒幕として国家に影響力を及ぼしたかったわけではなく、純粋に、幼馴染としての「アン」を支えたかった、それだけなのではないか。

 ん~。ちょっと、美化しすぎかな。
 やっぱり単純に、人間というものは、オトコもオンナも関係なく、権力を掌握したいという本能的欲求を持っているのだろうか。
 けれど、アン女王が画面の端々で見せたあのやるせない表情は、権力だけが全てでないことを雄弁に物語っている。…と思うのだけど。


# by miltlumi | 2019-03-16 10:12 | みるとるみ版・映画評 | Comments(0)

女王陛下のお気に入り

 なんか面白そう、と思って見に行った映画。鑑賞した直後の一言感想をインタビューされたら、きっと「げっそりしました」と答えていただろう。
 「権力闘争」「権謀術数」といった四文字熟語は、男性の専売特許だと思っていたのに。
 デコルテを強調したドレスに身を包んだ女性たちが、ごてごてと飾り立てられた宮廷の中をふうわり広がる裾を翻して行きつ戻りつ、男性顔負けの抗争を繰り広げる。
 オンナって、こんなに権力に固執する動物だったっけ?

 18世紀初頭イギリス、アン女王と側近の女官、サラとアビゲイルの物語である。この3人を初め、登場するのはいずれも実在の人物のようだが、映画の筋がどこまで真実だったかはわからない。しかし、アビゲイルの宮廷入りやサラの失脚、フランスとの戦争終結のタイミングは史実だ。「最高権力者の寵愛」を勝ち得るべく、側近二人が熾烈な争いを繰り広げるという映画製作者が設定した筋書きは、当たらずとも遠からず、…だったのだろうか。

 女友だちにあらすじを尋ねられ、「オトコみたいに権力闘争してた」と答えたら、「何のために?」と畳みかけられた。これぞ、オンナの発想である。
 男性が権力闘争をするのは、権力を掌握するためである。権力を掌握するのは、掌握したいからである。男性にとって、「権力」そのものが目的なのだ。
 一方、権力闘争と聞いて「何のために?」と尋ねる女性は、権力を握ることによって、もっと別の目的を達成しようとしているに違いない、と反射的に考えるのだ。

 アビゲイルの場合は、「やんごとない生まれなのに、父親の没落でどこぞの貴族に売り飛ばされた雪辱を果たすため、再び貴族の地位に返り咲く」のが目的である。
 ではサラは? フランスとの戦争継続を強行して、夫に戦功をもたらし、さらなる権力を握りたかっただけか?
 そして、二人の争いの上に君臨していたアン女王の「目的」は? そもそも政治にも戦争にも興味がない。17回も妊娠したのに、いずれも死産や夭折で世継ぎを一人も残せなかった。なのに権力目当ての側近に心を赦してしまう、その理由は?

 別の女ともだちが、今日のニッポンの会社を評して、いみじくもこう言っていた。
「権力の座に10年も居座ったら、ダメなのよ。自分がエラいと思っちゃうし、周りも本当のことを言わなくなって、必然的に腐敗する」

アン女王もサラも、結局のところ、そういうことだったのだろうか。権力の魅力の前には、オトコもオンナもカンケーないのだろうか。はぁ~。

 数日もやもやとしていて、不意に気づいた。
 彼女たちが本当に欲しかったのは、権力や名声以外のものだったのではないか。
 アビゲイルが欲しかったのは、貴族に「買われた」立場ではなく、「本当に自分を必要とする人」との関係。
 アン女王が欲しかったのは、血を分けた自分の子供たちに囲まれて過ごすこと。
 そして、サラは、「アン女王」の黒幕として国家に影響力を及ぼしたかったわけではなく、純粋に、幼馴染としての「アン」を支えたかった、それだけなのではないか。

 ん~。ちょっと、美化しすぎかな。
 やっぱり単純に、人間というものは、オトコもオンナも関係なく、権力を掌握したいという本能的欲求を持っているのだろうか。
 けれど、アン女王が画面の端々で見せたあのやるせない表情は、権力だけが全てでないことを雄弁に物語っている。…と思うのだけど。


# by miltlumi | 2019-03-16 10:12 | みるとるみ版・映画評 | Comments(0)

女王陛下のお気に入り

 なんか面白そう、と思って見に行った映画。鑑賞した直後の一言感想をインタビューされたら、きっと「げっそりしました」と答えていただろう。
 「権力闘争」「権謀術数」といった四文字熟語は、男性の専売特許だと思っていたのに。
 デコルテを強調したドレスに身を包んだ女性たちが、ごてごてと飾り立てられた宮廷の中をふうわり広がる裾を翻して行きつ戻りつ、男性顔負けの抗争を繰り広げる。
 オンナって、こんなに権力に固執する動物だったっけ?

 18世紀初頭イギリス、アン女王と側近の女官、サラとアビゲイルの物語である。この3人を初め、登場するのはいずれも実在の人物のようだが、映画の筋がどこまで真実だったかはわからない。しかし、アビゲイルの宮廷入りやサラの失脚、フランスとの戦争終結のタイミングは史実だ。「最高権力者の寵愛」を勝ち得るべく、側近二人が熾烈な争いを繰り広げるという映画製作者が設定した筋書きは、当たらずとも遠からず、…だったのだろうか。

 女友だちにあらすじを尋ねられ、「オトコみたいに権力闘争してた」と答えたら、「何のために?」と畳みかけられた。これぞ、オンナの発想である。
 男性が権力闘争をするのは、権力を掌握するためである。権力を掌握するのは、掌握したいからである。男性にとって、「権力」そのものが目的なのだ。
 一方、権力闘争と聞いて「何のために?」と尋ねる女性は、権力を握ることによって、もっと別の目的を達成しようとしているに違いない、と反射的に考えるのだ。

 アビゲイルの場合は、「やんごとない生まれなのに、父親の没落でどこぞの貴族に売り飛ばされた雪辱を果たすため、再び貴族の地位に返り咲く」のが目的である。
 ではサラは? フランスとの戦争継続を強行して、夫に戦功をもたらし、さらなる権力を握りたかっただけか?
 そして、二人の争いの上に君臨していたアン女王の「目的」は? そもそも政治にも戦争にも興味がない。17回も妊娠したのに、いずれも死産や夭折で世継ぎを一人も残せなかった。なのに権力目当ての側近に心を赦してしまう、その理由は?

 別の女ともだちが、今日のニッポンの会社を評して、いみじくもこう言っていた。
「権力の座に10年も居座ったら、ダメなのよ。自分がエラいと思っちゃうし、周りも本当のことを言わなくなって、必然的に腐敗する」

アン女王もサラも、結局のところ、そういうことだったのだろうか。権力の魅力の前には、オトコもオンナもカンケーないのだろうか。はぁ~。

 数日もやもやとしていて、不意に気づいた。
 彼女たちが本当に欲しかったのは、権力や名声以外のものだったのではないか。
 アビゲイルが欲しかったのは、貴族に「買われた」立場ではなく、「本当に自分を必要とする人」との関係。
 アン女王が欲しかったのは、血を分けた自分の子供たちに囲まれて過ごすこと。
 そして、サラは、「アン女王」の黒幕として国家に影響力を及ぼしたかったわけではなく、純粋に、幼馴染としての「アン」を支えたかった、それだけなのではないか。

 ん~。ちょっと、美化しすぎかな。
 やっぱり単純に、人間というものは、オトコもオンナも関係なく、権力を掌握したいという本能的欲求を持っているのだろうか。
 けれど、アン女王が画面の端々で見せたあのやるせない表情は、権力だけが全てでないことを雄弁に物語っている。…と思うのだけど。


# by miltlumi | 2019-03-16 10:12 | みるとるみ版・映画評 | Comments(0)