タグ:開腹手術 ( 3 ) タグの人気記事

ぽよよん (その3)

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 ただし、よほどこのぽよよーんがひどい場合は、やはり再手術という手段があるそうだ。もう一度お腹を開いて、筋膜をぎゅっと縫い合わせる。場合によってはメッシュで裏打ち(!)して筋膜がまたぽよぽよのびてしまうのを防ぐやり方もあるらしい。入院期間は1週間。予想どおり、内臓にメスをいれるわけではないので、この前の手術に比べればお気楽なものだ(たぶん)。
 であれば、しばらくこのまま様子を見て、あまりにみっともなければ手術のお願いをすればいいのだ。もちろん、術後3ヶ月は腹筋運動厳禁。重い物を持ってもいけない。そのルールを踏まえて、手術のタイミングを見計らえばよい。今度はちゃんと万全の準備を整えて入院しよう。9月に再手術するとすれば、年内はスポーツジムはお預けか~。

 あれこれと思いをめぐらせる目前で、医師のアドバイスが続く。
  「腹筋を保護してあげるために、コルセットをするといいでしょう」 
 なに。そんなカンタンなこと、初耳である。傷口の保護というなら、退院直後から装着すべきではないか。もっと早く言ってくれればいいのに。筋膜が伸びちゃったあとにやったって。。。ぶつくさ。しかし、再手術よりはカンタンそうだ。ともかくうちに帰ってPCで「腹筋、コルセット」と検索すると、腰痛対策のコルセットがずらり。とりあえず締めつけ度が「軽度」で夏向きの「軽涼」と謳っている商品を注文する。
 さらに翌日、デパートの下着売り場に行って、何十年ぶりかでガードルというものを探す。バブル時代は、女性もアメフトみたいな肩パットにウェストがきゅっという逆三角形体型がもてはやされたので、ガードルは必須アイテムであった。しかし無理にお腹をしめつけて血行が悪くなるというので、いつのまにか超マイナーな存在になってしまった。
 というわけで、広い下着売り場でもガードルを置いてあるコーナーはごくわずかだった。ワコールの片隅の短いラック半分くらいのスペースに並んだ、じみーな肌色の股上の深―いモノたち。しかもなんと、コルセットより高い。それでも、「試着もできますよ」という親切な店員さんに促されるまま身につけてみると、久しぶりにおなかをがしっとガードされた感覚が、意外に心地よい。血迷って2枚買いそうになるが、まあコルセットの着け心地を確認してからにしよう、と思い留まる。
 コルセットも注文の翌々日に到着。さすがにガードルよりも強力で、サポート力抜群。内臓に押されて、着古したパジャマのズボンのゴムのように情けなく伸びているであろう筋膜ちゃんを、外からぎゅううっと包み込んでくれる。「軽涼」と銘打つだけあって、この暑さでも装着していて不快感はなく、その「守ってくれる感」が肉体的にも精神的にも極めてよろしい。先生、もっと早くアドバイスしてくれればいいのに。

 かくして、そのときどきの気分に合わせてコルセットかガードルのどちらかを装着する日々が始まった。
そして驚くべきことに、「二度と元に戻りません」と言われたぽよよんおなかが、心持ちひっこんできたのである。これなら再手術は必要ないかも。もう少し経過を見た上で、考えよう。

 ということで、以上、開腹手術後のおなかぽっこり、傾向と対策。まあ、こんなブログを読むよりも、単純にお医者様から言われたことを忘れずに、厳守する、ただそれだけ、といえばそういうことではあるが。
ちなみに、開腹手術をしていないのにおなかぽよよんの皆さんにとって、筋膜をぐいっと縫い合わせる手術が効果あるかどうかは定かではない。健康保険が適用されるかどうかは、さらに不明である。
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by miltlumi | 2014-08-14 23:49 | イレウス奮闘記 | Comments(0)

ぽよよん (その2)

(その1)はこちら・・・
 ようやく病院に行く日。「よく歩きましょう」という主治医のアドバイスに従って、病院まで徒歩で出掛ける。予約なしの診察受付時間開始ぴったりに受付をして、診療科の窓口で多少誇張を入れながら事情を説明する。
  「先生の言いつけを忘れて腹筋運動をしたら、傷口が痛むんです」
 診察時間開始後10分で名前を呼ばれた。「こんにちは…」と言いながら、警察に自首する犯人のようにしおらしく先生の前の丸椅子に腰かける。デスクの上のカルテには、先ほどの看護師さんが手書きしたらしき「腹筋運動して、痛み」というメモが乗っかっていて、既に先生は苦笑している。
  「腹筋、やっちゃったんですか?
  「はい。先生から3ヶ月はだめと言われていたのをころっと忘れてまして…云々」
 結論から言えば、腹筋は裂けていなかった。「裂けちゃいますからね」という安直な説明から一転、先生が丁寧に説明してくれる。

 腹筋とは、正しくは腹直筋といってお腹の真ん中を挟んで左右に配置されている。その間を筋膜がつないでいる。私が受けた開腹手術(おへそから10㎝ほど真っ直ぐ縦に切断)では、その筋膜を縦に切ってから縫い合わせたのである。筋膜が完全にくっつかないうちに力がかかると、膜がのびてしまう。のびると、お腹の中の内臓を押さえる力が弱まって、おなかぽっこり状態になる。つまり、腹筋の筋肉そのものが裂けちゃうわけじゃないのだ。ほっ。しかし、ほっとしたのも束の間、次の先生の言葉に崖の下に突き落とされる。
  「一旦のびてしまった膜は『二度と元には戻りません』
 ぐわーん、というより、ぽよよーん、という擬態語が脳裡にこだました。二度と元に戻らない…。せっかくスリムな体重になったというのに、腹だけはぽよよーんと膨らんで5ヶ月のおめでた状態が、この先一生続くのか。。。 
  「そうでなくても、歳をとるとだんだん筋膜が緩んでおなかが出てくるんですけどね」
 慰めだかなんだかわからないような慰めを先生が続ける。
  「とにかく今すぐ急を要するという状態ではありません。本当に筋膜が切れた場合は、そこから腸がぴょっこり飛び出して鬱血する、そうなるとまずいですが、見たところそのような症状ではありません。とにかく、気をつけてくださいよ」

 ということで、質問投稿サイトで皆が嘆き合っている「術後おなかぽっこりが元に戻らない」状態とは、なんらか無理をしたせいで筋膜がのびて、本来がしっと合わさった腹直筋にぎゅっと締めつけられるべき内臓が野放図に膨張し、おなかがぽよよーんと出てしまった、という意味なのであった。そして、そうなったおなかは基本的にもう元には戻らない。ははは。残念でした~(ヒトゴトではない)。
                            ・・・(その3)に続く
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by miltlumi | 2014-08-12 20:27 | イレウス奮闘記 | Comments(0)

ぽよよん (その1)

 少し前、イレウス闘病記をこのブログで連載したのは、人に伝えずにはいられないほど面白い体験だったせいだが、将来(あるいは過去)に同様のことを経験するであろう(した)方々への心の準備(あるいは整理)に役立てれば、という貢献意欲も、まあ10%くらいは、あった。
 その後日談である今回は、明らかに後者である。イレウス管とちがって面白くもなんともない話ではあるが、参考実用情報として記しておきたい。

 コトの発端は、術後2ヶ月が過ぎるあたりから、おなかの張りが減るどころかむしろ増してきたことである。ぽよよん、とばかりに膨らんでいる。体重快復のためせっせとカロリー摂取したせいかと思ったが、体重はさほど増えていない。病院に行って胃腸薬を処方してもらうが、一向に改善しない。
 しばらくして、寝る前にベッドの上でお腹をさすって張り具合を確かめるという、既に習慣と化した動作をしていたとき、突如自分のしでかした失敗に思い当たり、血の気が引いた。「術後3ヶ月は控えてください」と言われていた腹筋運動を、2ヶ月たったあたりからついやってしまっていたのである。「ちゃんとくっついてないのにおなかに力を入れると、裂けちゃいますからね」と脅されたのに、ころっと忘れていた。むしろ、お腹がなかなか引っ込まないのにしびれを切らして腹筋鍛え直さなきゃ、と真逆な発想に囚われてしまったのである。
 眠気も吹っ飛び、心臓がどきどきした。腹筋が裂けちゃってるかもしれない…。思い浮かぶのは、ズボンの後ろの縫い目がびりっと破れたみたいにぱっかりと紡錘形に開いた腹である。どうしようどうしようどうしよう。そうなると、なんだか傷口の周辺がちりちりと痛む気さえする。がばりと起き上ってPCをオンにし、グーグル検索する。
 開腹手術、腹筋、切れる、切断、痛い、…。思いつく限りのキーワードを入れて出てくる結果を片っ端からクリックするが、どれもいわゆる質問投稿サイトばかり。「私もおなかがへこみません」「腹筋運動はしばらくしないほうがいいと言われました」「手術した病院でもう一度診てもらうのが一番でしょう」など気休め程度のことしか書かれていない。
 熱心に書き込みをしてくれる人たちを責めるのはお門違いだが、読んでいるうちになんだか腹が立ってくる。私が得たい情報は「同病相哀れむ」的な慰めや「専門家に相談しましょう」という解かりきったアドバイスではない。術後3ヶ月たたないうちに腹筋運動をしてしまったら何が起こるのか、それはどの程度に深刻なものでどのように対処すべきなのか、そういう具体的な専門家の意見なのである。専門家である医師は、そういうことをネットで説明するほどヒマではないらしい。やはり病院に行くしかない。
 しかし、翌日からしばらく泊りがけの予定があったため、週明けでないと病院に行けない。再手術になったらどうしよう。「無理しないでね」と気遣ってくれた友だちに合わせる顔がない。また仕事を休んで迷惑がかかる。きっと兄に馬鹿者扱いされる。暗澹たる気分がどんどんと募り、久しぶりに夜中過ぎまで寝つけなかった。

 それからの数日間、朝起きるとお腹に手を当てて「昨日より張ってる」と思い、ベッドから起き上がるときにちりりとお腹が痛む気がして眉を顰め、食後にお腹を見下ろしては「でかすぎる」とつぶやく。何をしていても、いつの間にか意識は腹筋に舞い戻ってくる。素人が何度繰り返し考えても、医者に診てもらうまで腹筋の状態はわからない。こうやって心配してもしなくても、腹筋の状態が変わるわけではない。自分の知らないところで、といってもつまり自分のお腹の中で、既に結論は出ているのである。あれこれ考えたからといって事態が改善するわけではない。時間の無駄というものである。
 それでもやっぱり考えてしまう。身体のコンディションというものが、どれほど気持ちに影響するか、身を以て知る。想像力がだんだんリアルになり、「裂けた腹筋」で連想するものは破れたズボンのお尻ではなく、箸でつまみ上げたときに不規則に亀裂が入る、しゃぶしゃぶ用の豚ロース肉の赤身に進化(?)する。
                            ・・・ (その2)に続く
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by miltlumi | 2014-08-11 21:40 | Comments(0)