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かぐや姫とアドレナリン

 改めて言うまでもないことだが、インターネットは本当に便利だ。かぐや姫が貴公子達に求めた宝物って、イワツバメの巣と他に何だっけ、と思ってググると、即「仏の御石の鉢」「蓬莱の玉の枝」「火鼠の裘(かわごろも)」「龍の首の珠」そして「燕の産んだ子安貝(イワツバメの巣ではなかった)」
 もちろん、調べたのには理由がある。消費税率アップをライフワークにしていた(はずの)知り合いの霞が関官僚。官民交流プログラムに基づいて民間企業に出向することが内定したとたん、その企業のショールーム巡りを始め、海外のフラッグシップショップにまで遠征し、にわかマーケティングマンに変身した。実は消費税担当の前は、別の部署で法人税削減に人生を捧げていたらしい。
 「もしかして、アドレナリンさえ出せれば、目的は何でもいいんじゃないですか?」と皮肉を言うと、「そうですよ」と爽やかな笑顔を返された。あ、これは敵わん、と思った。
 無目的型マンモス狩り。「マンモス」を狩りたいのではなく、狩れるものならなんでも、目の前に現れた獲物を反射的に追いかけて、アドレナリンを出すことに無上の喜びを見いだす。しかも彼の場合、それが反射的であることを自覚した上で、その無意識的行動を許容している確信犯。

 「男らしい」男には、誰に何を言われようとも自分の信条を曲げずにやり通す「自己目的型」と、外から言われたことを(疑問を持つことなく)自分の目的と置き換えて速やかに遂行する「実は無目的型」がいる。
 かぐや姫を射止めたい(これは明らかに気高い自己目的である)と思った男たちも、荒波に船出しているかいないかわからない龍を追いかけるとか、幾重にも連なる深山を超えて蓬莱にたどりつくとかいかにばからしい目的か、冷静に考えればすぐわかるはずなのに。それでも、目的を目の前に提示されると、つい反射的に本気になって命を賭けてしまう。それが困難でナンセンスであるほど、もしかしたらアドレナリンがいっぱい出るのかもしれない。
 しかも、一度アドレナリンを出す快感を味わうと、アドレナリンを出したいが故にあえて困難な課題に果敢に取り組むようになる。かぐや姫がいなくても、アドレナリン放出が究極の目的と化す。「仏の御石の鉢」「蓬莱の玉の枝」「火鼠の裘」と「法人税削減」「消費税率アップ」「B2B2C商品マーケティング」が、重なってみえる。

 その点女性は、自分が別にやりたくもないことを「目的」にする、なんて非論理的なことはしない。サラリーマンの世界で女性が出世しにくいのは、そのせいかもしれない。営業から管理部門に行って人事を経験して本社経営企画、なんて支離滅裂な経歴を粛々と受け止めないと「ゼネラリスト」にはなれません、なんて笑止千万。ましてやアドレナリンなんて頻繁に出してたら、身体に負担がかかってしょうがない。早死にするだけでしょう。
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by miltlumi | 2010-08-08 10:38 | マンモス系の生態 | Comments(0)

男性のモチベーション-追記

 「男性のモチベーション」エントリーに対して、Nikorin-boさんからコメントをいただいた。専業主婦はみんな繰上返済反対派。なぜなら(ぶっちゃけ言えば)ダンナが死んだらローン残金は保険で返済されるから、今わざわざ返す必要はない、と。。。

 これまた目うろこ発言。確かにおっしゃる通り。ううむ。しかし、しかしですよ、たとえばダンナが40歳のときに25年ローンを組んだとして、つまり最愛の連れ合いが65歳より前に死んでしまう可能性を考慮するということなんでしょうか。
 比較の対象にはならないけど、14歳を超えたうちのルミちゃん(ミニチュアダックスフンド)が私より先に死ぬと思うだけで、わんわん泣けちゃうのに。こうやって保険金殺人が起こるのかしら、と思うのは論理の飛躍しすぎとはいえ、ケッコン生活に幻想を抱くシングルとしては、刺激の強すぎるお話ではござりませぬか。
 でも、専業主婦が積極的に繰上返済に反対しているということは、「借金は男の甲斐性」とばかりに頑張る男性のモチベーションと、図らずも一致するわけで、めでたいといえばまあめでたい。私がことさら繰上返済不要論を説くまでもない。的外れなエントリーでごめんなさい。

 あるビジネスコンサル会社におけるチームワーク研修で、「家族もチームの一種ですね」という決まり文句がある。そして「チーム」に所属する理由を、①共通の目的がある、②自分にない能力を補う、③より多い分け前を得る、④個人で得られる以上の達成感を得る、としている。
 繰上返済しようとしまいと、「いつかはローン完済してマイホームでゆったり」は①家族の最大目的のひとつであろう(「ゆったり」のときに家族が1人減っているかもしれないが)。専業主婦は「外で稼ぐ」という自分にない能力をダンナに補ってもらい、ダンナは妻に家事をしてもらう。美しい分業②。そして、死ねばローン完済、は明らかに③の証左である。さて達成感は… 

 働くモチベーションは「奥さんに言われるから」と答えためちゃめちゃ愛妻家の男性が、家族=チーム説を聞いて「え、家族って目的があるんですか?」と驚いていた。でも彼の隣で当の奥様は、「あるに決まってますよね」と優雅に微笑んでいた。
 ちなみに、上述のビジネスコンサル研修では、メンバー間の「目的の明確化と共有」がハイパフォーマンスなチームを作る上で最も重要な行動の一つである、とも説いている。明確化も共有もなくて十分にハッピーで頑張って働いてくれるだんな様というのは、全く以て銀のわらじを履いてでも探したい相手。でもやっぱり、達成感は、ぜひおふたりで味わっていただきたい。
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by miltlumi | 2010-07-12 22:24 | マンモス系の生態 | Comments(0)

男性のモチベーション

 男性が働くことのモチベーションは、女性とは全く別のところにある。ある男性による目うろこ発言。
 「男はどーんと住宅ローンを借りるもんだ、と社長から言われて、オレ1億円借りちゃったもんね」
 かくして、働くモチベーション(のかなりの部分)がこのローン返済、ということになる。信じられない。特定のモチベーションひとつで25年や35年働けるなんて。
 単なる義務(あるいは束縛)という見方もあるが、阿呆な上司や生意気な部下に挟まれ、毎朝「会社行きたくない」と思う自分の素直な気持ちに鞭打って、満員電車に飛び乗る根性の源泉となっていることは事実であろう。それが、家族を文字通り自分の庇護下に置く「家」であることは、まさしく男性のマンモスDNAをくすぐる絶妙な設定である。

 だから、世の奥様方に申し上げたい。住宅ローンはできるだけ長く持っておくこと。夫が男の甲斐性を感じる数少ない証拠なのだから。賢い奥様は、こつこつとへそくりを貯めては「繰上返済」というこまっしゃくれたことをやるが、上述の基本ルールに照らすと、これは男の顔に思いっきり泥を塗る失礼な行為である。繰上返済をやるならダンナの当たり馬券か何かでやるべきである。そうすれば彼はさらに「男を上げる」ことになる。
 ご参考までに、私は誠に合理的な人間で、銀行に金利を払うことがキライだったから、ダンナ名義のローンをせっせと繰上返済した。オトコの非合理なモチベーションを全く理解しなかったせいで、今やシングルアゲインである。

 さらにすごいのは、男性が独立したとき。彼らは自分で事業を始める前、何はさておきまずオフィスを賃借する。私のまわりで独立する人の多くは「なんとかコンサル」みたいな仕事なので、別に大仰な設備投資が必要なわけではない。もちろんいきなり事務職員を何人も雇うわけでもない。PCと電話があれば十分なんだから、合理的に考えれば、まずはSOHOでしょ。クライアントが何社つくかわからないのだから、固定費はできるだけ抑えた方がいいのに。
 常々不思議に思っていたのだが、これまた目うろこ発言(上述の男性とは別の人)。
 「だって、うちにいる場所がない
 え”… 専業主婦と2人のお子様とともに大田区の大型マンションに在住の彼。まあ確かに、大いなるモチベーションの源とはいえ、3LDK程度だと「男の城」はリビングルームのAVラックとかベッドルームの片隅のチェストの上とかしかなかろう。そんな場所ではメールチェックもままならず、必然的にダイニングテーブルやリビングソファ、すなわち「公共の場」を侵食することになる。しかしそこも、朝食を摂る子供の不審げな視線や、わざとらしくぶつかってくる掃除機に身の縮む思いをするのだ、きっと。
 かくして男性起業家は、せっせと住宅ローンを払いつつ、「自分だけの城」のための賃料まで支払う。なんだか働き蜂みたい、と思うのは女性の偏見か。彼らにとっては、モチベーションは2倍!?
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by miltlumi | 2010-07-11 09:31 | マンモス系の生態 | Comments(2)

女性社員のモチベーション-その4

 (その3はこちら)女性社員に「管理職になりたい」と思わせる秘訣は何か? 管理職になったらもっと楽しい、幸せになれる、と思わせること。言い換えれば、彼女らが、動物としての生命維持本能に逆らった行動をとる必要はなく(費用対効果がちゃんとPayするようなバランスのストレスレベルを保つ)、しかも自分の仕事がちゃんと評価されることを実感できる環境を提供すること。
 
 生命維持本能に関しては、究極的には会社として、社会として、旧来の「右肩上がりの発想」を捨てること。戦後の復興期から高度成長期・バブル期とGDPの成長ばかりを追って、男性は文字通り身を粉にして働いてきた。それが地球規模的には温暖化現象を引き起こし、生物学的には男の早死にを促進した。
 もう、量を追う時代は終わったでしょう。会社の売上がガンガン伸びなくても「いい会社」と評価される軸はありませんか? もう少しペースを落として人間らしい生活をしませんか? 質を高めませんか? そうすれば、女性はもちろん男性だって、もう少しゆったりと「管理職」仕事ができるはず。

 次に、女性に「自分の仕事が評価されている」と感じさせる一番シンプルな方法は、「感謝の気持ちをはっきり示す」こと。
 よく「夫・妻100人に聞きました」的アンケートでもあるでしょう。「妻が夫に求めること・ベスト10」には、必ず「ありがとうと言ってほしい」という項目が上位に入る。古来、換金化できない家事や育児といった仕事に従事していた女性にとっての最大のRewardは、お金なんかじゃなくて心からの感謝の気持ちなのではないか。私なんて、上司から「キミがいてくれてよかった」と一言言われたら、向こう1ヶ月は気持ちよく働いてたもんね。

 そして、そうした女性達の姿勢や仕事ぶりを、もっと若い世代に広げて組織的なスキルとして定着させるために、会社にもっと貢献してもらうために、ぜひ管理職になってもらいたい、というのが筋だろう。
 「女性もゲタでも何でも履かせてどんどん昇格させなきゃ。男だってゲタ履いて課長になったやつはいっぱいいるんだから」とか「彼もローンと子供抱えて大変だから、今年の課長職はキミ(独身女性)は諦めてくれ」とか、いずれも実際にあった男性発言。まじ!?と聞きたい。会社は、ゲタ履きのおっさん達に寛大にポストを提供する福利厚生施設ではない。
 昇進は目的ではなく、単なる手段。本当の目的は「仕事」。目的が明確で理にかなったものであれば、女性のほうが着実に成果を出せることは、大学受験などで証明済みだ。

 最近のDiversity流行りに女性達が踊らされないのは、そもそもの歪みを看過して単に管理職の男女比の辻褄を合せようという、姑息な思惑から本能的に逃れようとする自己防衛手段かもしれない。
                                - お し ま い
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by miltlumi | 2010-06-30 21:49 | マンモス系の生態 | Comments(0)

女性社員のモチベーション-その3

 (その2 はこちら)少子高齢化の日本で国力を維持発展させるには、女性の登用が急務、というお題目はロジックとしてはわかる。でも、ほんの少し前まで女性は「働くか、働かないか」という、男性には普通ありえない選択から社会人生活をスタートさせていた、というFatalな事実がある。この意識のギャップは大きい。日本の歴史とかなんとか色々あるけれど、結局のところ、男女ともまだこの考え方に、無意識のうちに縛られてはいないか。
 いまだに私自身も、転職やフリー転向を決めるにあたって、様々なリスクとその対策を検討していたとき、「仕事がうまく行かなくなったら、玉の輿に乗っちゃえばいいんだ♪」という究極のリスクヘッジ案を思いついて、何の根拠もなく安心したもんね(この緊急避難策は今も心の支えになっている)。

 そうやって仕事がだめだと、結婚に逃げようとするのは「女の甘え」だと、苦々しい顔をなさっている部長。でも、いざ自分の女房となると、やはりうちで自分の帰りを待っていてほしい、という気持ちはありませんか?
 いえいえ、最近は子供の学費もばかにならなくて、ぜひ妻にも働いてもらいたい。年金もちゃんともらえるかどうかわからないし。
 若者だって、草食系男子としては、家庭は2人で支えるもの。ボク一人の稼ぎでは到底食べていけないから、共働きはMustです。いずれも男性側の勝手な言い分ではないか。
 「イクメン」とかいって、男性の育児休暇奨励プログラムがまた活性化しているけれど、どっかの市長が2週間取得したって、それ、女子供をバカにしてませんか。「象徴としての育休」に過ぎないのだから仕方ないのだろうが、普通は、2週間程度で大きな顔されたらたまったもんじゃない。赤ちゃんの世話なんて、年単位でしょう、本当なら。

 昔「都合のいい女」というTVドラマがあったが、こういう勝手な男性の意見を聞くと、いつもこの題名を思い出してしまう。その都度、自分に都合のいい役回りを、女に押し付ける。それで、自分は女の良き理解者みたいな顔をする。ほんっとに自分勝手なんだよね、男性って。
 ほんの十年くらい前まではWhether or not (to work)から始めていたのが、What (kind of work) to do になり、今やHow to work better (in a higher position) まで求められている。女性が、この急激な環境変化にいかに戸惑っているかを少しは思いやってほしい。

 しかし、いよいよ本当にこの問題はお尻に火がつき始めている、と思う。男性の自分勝手もなく、女性の甘えもなく、お互いに自然体で、女性が管理職を務められる会社。それを包み込む社会。どうしたらよいのだろう。   -その4 に続く
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by miltlumi | 2010-06-29 20:47 | マンモス系の生態 | Comments(0)

女性社員のモチベーション-その2

その1はこちら)「管理職やってて幸せか」胸に手を当てて考えた男性陣、もちろん答えはYesですよね。「へらへら楽しければ幸せってもんじゃない。幸せは、苦難の末に手に入れるんだ。苦労の見返りに、より多い報酬と、より多くの部下を動かす権力が得られるのだ!」

 はい、まず報酬。男性よりずっと打算的な女性は、「費用対効果」を本能的に計算する。たとえ今より給料が30%上がっても、仕事時間が10%、上からのプレッシャーが10%、ストレスが15%増えたらもうPayしない。現状で結構、別に扶養家族いないしぃ。
 女性管理職増加という高邁な目標を掲げる一流企業に勤め、まさにその管理職候補の女性なら、おそらく既にそれなりの給料を受け取っているだろう。3人の子供を抱えて孤軍奮闘しておられた勝間和代さんならともかく、あるいは外車好きの年下のフリーター男子を囲っているツワモノ女性はさておき、「それなり」の給料で、生活はどうにかなるのではないか。
 ついでに言うと、一般的に女性は「あるもので凌ぐ」能力が、男性に比べて発達している。NHKの「ゲゲゲの女房」でも、ちょっと原稿料が入るとバナナやチョコレートを買ってしまう旦那にため息をつきながら、質屋に通って収支を合わせているのは妻のほう。
 あればあるだけ、あるいはサラ金してまでブランド品の買い物に走ってしまう女もいるじゃないか、と反論されそうだが、ここで話題にしているのは、一流企業の管理職候補女性なのだ。それとも、アナタの会社ではサラ金女性を管理職に登用しようとしているのですか?
 
 次に「権力」については、最近出会った名言を紹介したい。
 「女は『愛』と呼ぶものによって動き、男は、『権力』によって動く」という坂東眞砂子さんの著作の書評の言葉(その本をまだ読んでいないので、坂東さん自身の言葉かどうか未確認)。権力そのものに魅入られてしまった少数派のマンモス系女性はさておき、普通の女性は「権力」に屈しない。「権力の掌握」にもあまり興味がない。権力のある男性に魅かれることはあるが、あくまで主題は「愛」。以前「マンモス道」のエントリーに書いたように、もうこれはDNAレベルの問題なので、議論の余地がない。
 むしろ、たくさんの部下を平等に愛するなんて、カラダがいくつあっても足りない、くらいに思うのではないか。懸命に尻尾を振る特定部下だけを「オレの子分」と称して、着々と「権力」の砦を築いて行く男性とは、そもそもの発想が違う。

 つまるところ、報酬や権力といったマンモス系ネタでは女性は踊らないということを、男性管理職は肝に銘じるべきなのだ。
 ただ、最近のワカモノはどうかわからない。報酬にも権力にも微動だにしない草食系男子が増える一方、「それが会社のルールなら、応じますけどね」と不敵な笑いを浮かべた後輩女性も見た。世の中、まさにDiversity。            -その3 に続く
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by miltlumi | 2010-06-28 20:28 | マンモス系の生態 | Comments(0)

女性社員のモチベーション-その1

 先日のエントリーで準総合職女性のモチベーションの話に触れたが、注意して観察していると、最近「女性の登用」についての話題がそこらじゅうで目につく。会社側が一様に悩んでいるのが、「女性自身が昇進したがらない」こと。どうしてなんだろう?こんなに親切にお膳立てしてるのに。人事部はアタマを抱える。
 人それぞれ、色んな理由はあるだろうけど、一番端的な理由は、
 「昇進した男性が幸せそうに見えないから」
ではないか。だって、幸せそうで、楽しそうだったら、やってみるでしょ。ロールモデルがないとかヨメに行けなくなりそうとか、そんな謙虚な言い訳なんか、かなぐり捨てて。

 私自身、会社勤めしていた頃に統括管理職の要請を断ったことがある。その理由が、ずばりコレ。同じ部署の、昇進したら同レベルになる男性諸氏は、幸せどころか、「定例部長会」みたいな会議に毎週呼ばれて、一向に結論のでない堂々巡りの議論に巻き込まれて、上から無理難題押し付けられて、部下からは「どうにかしてください!」と突き上げられて、あれしてこれして、いつも眉間にしわを寄せて、ぜーんぜん幸せそうじゃなかった。
 私がいた会社に限ったことではない。学生時代の友達の中で、いわゆる大企業の中間管理職に就いておられる方々は、なんだかあまり元気がない。仮に仕事が楽しくなくても、プライベートが楽しいとか家族と仲良しとか、そういう話もあまり聞かない。実は人生楽しんでるのかもしれないけど、そんなこと口外したら他から足を引っ張られるとでも思っているのだろうか。結局久しぶりの同窓会の話題は、さし障りのない民主党の党首交代やワールドカップサッカーに終始する。つまらん。
 こんなおっさんたちが大量生産されている会社の中で、観察力の鋭い女性が管理職になりたいと思うなんて考える方が間違っている。

 そもそも、生を育む性である女性は、男性に比べて自己防衛本能が発達している。動物として最も大切な任務である「子孫繁栄」のために、女性は健やかに、安寧に暮らすことをDNAレベルで希求している。自殺率は世界各国いずれも男性のほうが2倍以上だし、「過労死」するのだって男性が圧倒的。女性は、自分を傷つけるものに対して極めて敏感なのだ。
 だから、管理職になることによる肉体的・精神的プレッシャーが、その見返りとしての「幸せ度アップ」を上回ると判断した場合、ゼッタイにそんなばかげた選択肢をとったりしない。その点、女性は打算的なのだ。

 女性を管理職に登用したければ、まず男性管理職自身が自分の胸に手を当てて「管理職やってて幸せか」を考えてみたほうがいい。         - その2 に続く
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by miltlumi | 2010-06-27 12:38 | マンモス系の生態 | Comments(3)

Pretty Girl事件

 入社1年目の初夏のこと、2年先輩のチューターが、1ヶ月英語研修に行くことになった。私が所属する「北米課」は、New Jersey州にある米国販売子会社とのリエゾンを担当していたので、英語力は高ければ高いほうがいい。だからこうした研修は当たり前なのだが、とり残される私は不安なこと甚だしい。配属されてまだ3ヶ月、一通りの業務は教えてもらったものの、まだまだ見よう見まね。
 ただ、同じチームには29歳の先輩女性がいた。蛇足だが、入社当時のMy 7不思議のひとつは彼女のことだった。髪が長くて化粧っ気の薄い顔立ちがとても可憐で、親切でおしとやかなのに、29歳にもなってどうしてケッコンしていないんだろう。「クリスマスケーキ」説が、まだ死語になっていない時代だった。

 それはさておき、私のチューターであり、チームリーダーである彼の不在中は、彼女と二人でどうにか業務をこなすしかない。研修は都内だし夕方以降なら電話は通じるから、とチューターに諭されながら、3人でにわか引継を行った。
 しかし、それでも心配だったチューターは、米国側のカウンターパートである男性日本人赴任者及び現地の女性スタッフ数名に英語でテレックスを打った。
 「私はX月X日から1カ月間英語研修に行って不在にするので、その間はMs.XXとMs.XXが業務を担当します。 …云々かんぬん。」
 そしてその最後のパラグラフ。

 「Since they(29歳の彼女と私)are just pretty girls, please don’t hesitate to call me anytime, if any urgent or critical issues happen.」

 わーい、Pretty・カワイイって言われちゃった♪と能天気かつアサッテな反応をしたのは地球上で私だけ。太平洋の向こう側の女性達は、このあからさまな男女差別的・屈辱的発言に激怒して即刻Human Resource division…ではなく、彼女らのボスである日本人男性のもとに駆け込み、ブーイングの嵐。日本時間朝一番、彼がチューターに国際電話をかけてきて、ウーマンリブの国を相手に国際的事業を展開する上での心得をとんとんと説いたのは言うまでもない。
 このことは、「Pretty girl事件」として、北米課内はもちろん隣の欧州課やアジア課でもしばらく語り草になった。蛇足だが、もう一人のPrettyな先輩は2年後に社内結婚し、私はフリルつきの手作りエプロンをお祝いに贈った。

 時は流れ、最近「結婚しました♡」報告をくださった私の女友達は、36歳・37歳・36歳・38歳(うち2回目は1名だけ)。蛇足だが、私は28歳で結婚した。マトモな年齢でしょ?
 ある銀行では、一般職採用の女性を大量に総合職ダッシュの職系(仕事は総合職だが、転勤がないなどの条件がつく)に転向させた。彼女らを育成して、しかるべきポストにつけたいのだが、昇進昇格をちらつかせればガンガン仕事をして管理職ポストをとりに行く男性総合職と違い、彼女らのドライバーが異なることに、計画を推進している男性は戸惑っていた。
 昭和は遠くなりにけり。平成の時代に求められているのは、男性の認識だけでなく、女性の覚悟だ。
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by miltlumi | 2010-06-21 21:10 | マンモス系の生態 | Comments(0)

Expectation Control

 とある金融機関の話。テーマに興味のある社員が年齢性別本支店問わず応募して、抽選で20名強が週末1日缶詰になるという、比較的緩い形式の研修を行った。メンバー参加型プログラムなので、U字型に座ってもらうのが定形なのだが、先方が教室型しかできないと言い張る。いまどきテーブルが固定の研修ルームなんてあるはずないのに、何ばかげたことを言うのか。理由を質したところ「U字型だと、役職順に席順を作るのが難しい」という。
 ばらんばらんな部署からの自主参画型研修で、役職順!? こちらが「いや、席順はフリーでお願いします」と言った途端、電話の向こうで教育担当の部長代理は胸をなでおろし、明るく了承した。

 ここまで役職に拘るなんて、草食系の定義にもある「役職に興味がない」私には全く理解不能。と思ったが、後日別の筋から、その理由が明らかになった。
 銀行の人事部には、社員全員の成績表があるそうだ。ABCDEとか大雑把なものではなく、同期300人いたら1番から300番までばっちり序列がつく。そのように厳密に評価しながら、本人には知らせず、なんとなく同じように昇給していく。そして、40歳前後になると、やおらその成績表が役職となって顕在化するのである。
 言い換えると、40歳になるまでは、同期の桜達は内心「オレもいいとこまで行くかも」という淡い期待を抱き、日々是業務に邁進する。たまさか開催される週末研修で、アイツがオレの右に座ったのは、もしかしてオレのほうが評価が低いせいだろうか、なんてどきどきしながら。
 その「Expectation control」が非常に重要らしい。あまりあからさまに甲乙を示すと、トップのやつは慢心して仕事を怠けるし、トップと思ったのにNo.3だったやつは「けっ」とばかりに外資系投資銀行に転職して会社は貴重な戦力を失うし、下の方は働き盛りのうちからやる気なくして「大樹」にぶら下がり状態になるし。甲乙丙丁、夫々が全身全霊で会社に尽くすよう、そして40歳が近付いたら、来るべき最後の審判への心の準備(=諦めて定年まで勤め上げる)もできるよう、微妙に人参を見え隠れさせる。Expectation controlの極意。

 これを聞いた非金融機関系人間、「あっそれ、女性がその気もないのにぎりぎりまで男を引っ張る手口ですね。 ケッコンしてくれるかどうかわからないけど、もしかしたら、って男はイタリアンとか指輪とか散々貢いで、挙句『じゃあ』って去られちゃう。でも今更他の相手を見つける気力もないから、そのまま虚しく独身生活を送る、とか」
 わっはっは、と笑うマンモス系男子の前で、銀行マンの笑顔がひきつった。
 でも、近頃のニッポンの文化人類学的情況に鑑みるに、女性が引っ張ろうとしても、草食系男子はするりと縄抜けして、イタリアン招待どころか自分のためにケーキ教室に通っちゃうんじゃないだろうか。銀行のExpectation controlがマンモス系甲乙丙丁を引っ張っていられる時代も、そう遠くない将来に機能しなくなるのではないか。
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by miltlumi | 2010-05-15 21:42 | サラリーマンの生活 | Comments(0)

雑草抜き

 以前住んでいた一軒家の北側は、どくだみの巣窟だった。どくだみ茶が健康にいいとか、質素な白い花は風情があるとか、ハートともスペードとも見える葉っぱの形がかわいいとか人は言う(言わないかもしれない)。でもそれはあくまで隣の庭のことである。自分のうちに、いかにも陰気そうな紫と灰色とモスグリーンが混じった色の葉っぱがごわごわと生えているのは、あまり感じのいいものではない。
 というわけで、引っ越してほどなく、どくだみ抜きが始まった。地下茎であるどくだみは、根っこが地中に3cmでも残っているとひょいひょい芽を出す。だから地上部を抜くときは力任せに引っ張らず、そおっと持ちあげながら、地下茎までずずずっと掘り出すようにしなければならない。このテクニックを最も効率よく実行できるのは、土が湿ってほぐれやすい雨上がりの午後であることに気付いてからは、最適なタイミングを狙って撲滅作戦を決行するようになった。
 たかが雑草抜きである。しかし、地中に眠る(陰気な葉を茂らせるという)潜在的脅威を徹底的に掃討するという行為は、始めて見ると結構やみつきになる。萌芽シーズンがあるため、ほぼ満足行く状況になるまで数年がかりだった。

 金融機関の、いわゆるミドル・バック業務について語り合う機会があった(短い期間だったが、私もこの業務に携わったことがある)。「金融業界に対する偏見」に描いたマンモス狩人がひしめくフロント業務に比べると、ミドル・バックは地味な仕事である。完璧なポートフォリオ管理を目指してデータ入力ルールを設定したり、コンプライアンス規程を策定したり。しかし、マンモス狩りがへたなオトコがいるように、ミドル・バック業務がへたな人間は必ずいる。というより、上手な人間のほうが少ない。彼いわく、 
 「あの業務は雑草抜きみたいなもので、エンドレスなんだけど絶対大切。でもへたなやつがやると、まだらに雑草抜き忘れるし、抜き方が汚いし」
 「そんなやつに抜き方教えるヒマがあったら、オレがやったほうが早い!ってことになる」
 「雑草の萌芽にいち早く気づくのが優秀なリスクマネージャー」
 「(リスク管理の行き届いた)美しい庭のために、雑草抜きどころか雨乞い踊りまですることになる」

 熱のこもった一連の発言を聞いて脳裏をよぎったのは、あの「どくだみ抜き」であった。そういえば、私はあの短い期間のミドル・バック業務が好きだった。そして、それが得意でかつ好きな社員を採用するのにとても苦労した。
 数日後、在来種の動植物を守るため、外来種のスイレンを撲滅する活動についてのニュースがあった。「スイレンは地下茎なので、ほんの10cmくらい根が残っていても芽がでるから…」と熱心に泥水の池に手を突っ込んでいる人達がクローズアップされていた。
 あの中から銀行のミドルバック要員を選抜すると、結構いいチームができるのではないか、と思った。
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by miltlumi | 2010-05-02 21:45 | サラリーマンの生活 | Comments(1)