危機

 昨夜、ついに「若年性アルツハイマー」をググってしまった。いよいよヤバい。危機である。

 先月モントリオールに行ったとき、生れて初めて、前代未聞の失敗をしでかした。ホテルをダブルブッキングしていたのである。
 ダウンタウンでの仕事が16日までだから、翌日から車で1時間半のリゾート地のB&Bで2泊3日のプチ夏休みをとる、つもりが、予約を16日から入れていたのだ。ダウンタウンのホテルの部屋をシェアしていた仲間が旅慣れた人で、「だったら私も1足先に次の目的地に行くわ」と即決してくれ、ダウンタウンのホテルもペナルティーなしで1日早くチェックアウトさせてくれたおかげで、大過なく乗り切れた。
 1泊予約し忘れて宿無しになるより、ダブルブッキングでよかったね~、と彼女に慰められたものの、会社員時代の一時期は年に10回近く海外出張していた身としては、かなりショックだ。
 しかも、最終日の早朝、母からの電話でたたき起こされた。「なんでまだカナダにいるの?今日帰国じゃなかったの!?」と言われ、「時差あるんだから羽田は明日だよっ」と無愛想な声を出したものの、あとで見直したら、旅程連絡メールで帰国日を翌日にするのを忘れていた。これまた前代未聞である。

 時差ボケもなく日常復帰。。。するつもりで、歯医者の予約のあとに仕事の予定をいれた。なのに、当日すっかり歯医者を忘れて自宅でごそごそしていて、予約時間の1時間前に気づいた。慌てて着替えて飛び出し、事なきを得たが、出掛ける前にと思っていたシャンプーをする時間がなかった。髪が多少汗臭くて歯医者さんと仕事仲間に迷惑かけたかも。だけど間に合ってよかった、と自分を慰めてみたが、問題の本質はそこではない。

 それ以外も、友達とのランチで5,700円の割り勘が一人2,750円になったり、この3ヶ月間に5回も自転車で転んだり(これはアルツハイマー的な話とはちがうが)、挙げ始めれば枚挙にいとまはない。しかし、その程度ならまだ単なる「加齢」で笑い飛ばせる。決定打は、これ↓である。

 かなり年下の女性との仕事中。私の正確な年齢を知らない相手に、ちょっと謙遜してみた。
 「私なんてもうかなりトシだから…。お母様、おいくつ?」
 「えっと、うちの母は○○さんと同い年です」
 ○○さんは、日本人なら誰でも知っている有名人だ。そして、私の年齢に縁ある人。
 「あ~、私も、○○さんと同い年なのよ。ということはお母様とも同い年ね」
 「えっ!!!!!」
 相手は驚愕の表情を浮かべる。自慢じゃないが、私は実年齢よりは若く見られることが多い。まあ、悪い気はしない。

 しかし3日後。その仕事のフォローをしていて、突然思い出した。私が同い年なのは、○○さんではなく、○○さんの妻のほうだっ…。思いっきり蛍光灯状態ではあるが、その女性に謝罪と訂正のメッセージを送った。「家でもやもや考えてしまいました」と即レスだった。

 ちなみに、○○さん、の「○○」に当てはまる人名は「安倍晋三」である。
 
 …どこでどういうシナプスを開発すれば、自分が安倍首相と同い年、という思考が生まれるのか。仮に一瞬そう思ったとしても、口に出した瞬間、間違いに気づくだろうが。普通は。もう、私は自分の脳みそが信用できない。

 「若年性アルツハイマー」のチェックリストは、いずれも心当たりがあった。


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# by miltlumi | 2017-08-02 17:45 | 機嫌よく一人暮らし | Comments(0)

天空橋

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天空橋という駅が好きだ。
羽田空港まであとひとつ、の場所に相応しい、素晴らしい名前だと思う。
おおらかに広がるイメージと裏腹に、地下に潜ってしまうところがなかなか番狂わせっぽくて侮れない。

ホームの壁面の藍色のタイルが、宇宙が透けてみえそうな高い空を思わせる。
一方で、もしかしたらこれは海の底の色なんじゃないかとも思う。

天空橋は無人駅で、プチ海ほたるみたいに海の上にぽつんと浮かんでいる。
ホームからエレベーター(この駅にはエスカレーターはない)で地上に上がる。
ホーム階から改札階まで、ビル3階分くらいの長さがある。
エレベーターの扉が開くと、そこはいきなり屋外である。
大田区と羽田の間の凪いだ運河のような、でもなぜか茫洋とした海が、眼前に広がっている。
一瞬呆然として、それからくすりと笑ってしまう。だって、天空橋なんだから。

…そんな想像が次から次へと思い浮かんで、村上春樹ばりの小説さえ書けそうな気がする。
(というのも、村上春樹の小説で私が一番好きな「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」の冒頭に、延々としたエレベーターの描写が出てくるのだ)

天空橋で降りる人を見たことがない。
でもそれは、私が勝手に都合の悪いものを視界から消しているだけかもしれない。
この駅に乗降客は似合わない。
けれど、いつかは、降り立ってみたい気がする。
北海道や福岡や、JFKやシャルルドゴールに行くついで、ではなく、
天空橋に行くために京急に乗って、天空橋で降りる。
そのときは、スーツケースの代わりに、色とりどりの風船を持っていきたいと思う。



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# by miltlumi | 2017-07-28 10:21 | フォトアルバム | Comments(0)

祝・世界遺産登録 宗像・沖ノ島と関連遺産群

 宗像大社の一括世界遺産登録が決まった。よかったよかった。
 というか、そもそも沖ノ島とその周辺だけが「世界遺産」だなんて、仮とは言え、世界遺産委員会が下した判断がオカシすぎた。片手落ち以外の何物でもない。あのニュースが流れたとき、何考えとんねん、と珍しくTVに突っ込みを入れたほどだった。

 神社フェチな私は、もちろん彼の地を訪れたことがある。まず大島に船で渡り、あの小さな島をてくてく横切って遥拝所まで歩き、はるかかなたの沖ノ島を拝んだあと、またてくてく歩いて船に乗って、最後に陸地側の辺津宮に詣でた。
 地図で見るとよくわかるが、辺津宮から大島の中津宮と遥拝所、そして沖ノ島は、まぁーっすぐ北西方向に一直線に並んでいるのだ。
 そのラインをさらに北西に延ばせば、対馬、そして釜山に続く。古代、追い付け追い越せの「世界」が中国大陸とその玄関口である朝鮮半島だった頃の日本にとって、このラインは大きな意味があったのだと思う。
 今でも沖ノ島は女人禁制だし、大島の遥拝所でさえ陸からはけっこう遠い。私を含むこちら側の平民たちは、日常の中では辺津宮から神様を拝むしかない。拝む側と拝まれる側、両方あって初めて成り立つものだろう。

 …という宗像大社の話は、実はただの前置き(笑)。お話したいのは、「遥拝」のこと。これ、最近のマイブームなのだ。拝む相手は、神様ではなくて、私の友達。

 例えば先日、AさんとBさんと私が集まった。1年前までお互い見ず知らずの他人だったのだが、顔の広いCさんが企画したパーティでたまたま集まり、なんのかんのとするうちに仲良くなった。このトシになって、仕事も趣味もカンケーない知り合いが出来るのは結構レア。ましてや、「仲の良い友達」と言える関係になれるのは、僥倖と呼んでもいい。
 そのとき集まったのも、前もって約束していたわけではない。私がAさんを勉強会に誘って二人で参加し、帰りがけAさんが「そういえば、これからBさんと会うんだけど、顔出す?」「え~、そうなんだ、行く行く!」。待ち合わせのエクセルシオールにAさんと一緒にいる私を見て、Bさんは「きゃー、ここで会えるなんて」ってな軽いノリ。
 ひとしきりおしゃべりしながら、3人改めて振り返る。
 「こうやって私たちがここにいるのも、Cさんのおかげだね~」
 いやはや、誠に有難い、というわけで、僭越ながら私が号令をかけ、3人揃って(どこにいるかわからない)Cさんに向かって「遥拝」したのである。

 私にとっての「Cさん」的存在は、他にも何人もおわします。今、私がこのようにここに在るのは彼女(彼)のおかげ、と思うとき、でたらめな方向に手を合わせて、どこで何をしているかわからないその人に、「遥拝」をする。

 遥拝する先があるのは、佳きことである。そう思うだけで、トランキライザーになる。神様がそこらじゅうにおわします国に生まれて、よかったと思う。


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# by miltlumi | 2017-07-09 21:00 | 私は私・徒然なるまま | Comments(0)