なんだかんだ言いながら、結局女性はマンモス系男性に魅かれる。マンモス度が高い、強くて逞しい男の遺伝子を受け継ぐ子孫を残したほうが、動物としての繁栄確率は高まるのだから、当然である。従って、パートナー獲得にあたって女性が採用する常套手段は、彼らの狩人本能をくすぐること。すなわち、逃げる。犬と同じで、彼らは逃げれば追う。
とある恋愛指南本には、順調に結婚できるのは、彼からの最初のデートの誘いを3回断る勇気を持っている女性だと書いてあるらしい。初めて誘って即座にOKされちゃうと、男は戦闘意欲をそがれて、なんだか追うに値しない獲物を弄んでいる気分になるのだろうか。 日頃、仕事の上で男性と互角に戦っているマンモス系女性は、「積極的に自分を売り込もう」なんていう米国発のビジネス書を曲解して、恋愛にもそのルールを適用したりしたら大間違い。女性から男性を誘うなんて、そんな、はしたない。 ところが。あるとき、連絡が途切れた彼にどう対応すればいいか、20代後半の男性諸氏に聞いてみると「もちろん女子から連絡すべき」と断言。「合コンとかで気になる女子がいるでしょ。オトコは絶対自分から声かけませんよ。今日日、女性がリードしないと恋は始まらない!」合コンで知り合った彼女と婚約したばかりの彼の言葉は説得力があった。 つい先日も、百戦錬磨の女友達いわく、「最近は、最初の誘いはとりあえず断るなんてばかなことしてたら、もう彼らは永遠に戻ってこないよ。『恋の駆け引き』とか言う言葉はもはや死語なのよ~」 た。 これはどうしたことだろうか。日本男子のマンモス狩りDNAはどこに行ったのだろうか。「草食系」という一言で済ませてしまうのは簡単。でもここで、もう少し深い洞察を歴史的視点で展開してみたい。 (この続きは下の「More」をクリックしてね) 長~いマンモス狩猟生活から農耕生活が始まったのが紀元前3世紀。以来稲作が社会の中心となり、和を以て尊しとなす聖徳太子の教えの元、マンモスDNAの発揮は壬申の乱等ごく偏在的な諍いに留まり、荘園に支えられた平安貴族の男の武器は槍ではなくて和歌だった。 鎌倉時代から戦国時代にかけて、ようやく戦う男の本能が復活したかに見えたけれども、徳川幕府のおかげですっかり狩りの仕方を忘れて平和ボケしたサムライは、黒船にびっくり。 あわててチョンマゲを切って富国強兵策に乗り出した頃には、地球規模の近代版マンモス狩り、つまり欧米列強による帝国主義・植民地政策は既にアフリカ・アジアを総なめにし、日本が食い入る隙はなかった。 日清・日露戦争と頑張って、満蒙というマンモスの最後の腿肉をこそげとったも束の間。近代マンモス狩りに不可欠な石油燃料(これがマンモスのなれの果てだなんて、まさに輪廻である)を持たない日本は、ABCD包囲網でじわじわと首を絞められ、ついに向こう水にも大東亜戦争に突入。竹槍持って頑張ったものの、そんな前近代的なマンモス狩り手法で肉食の欧米人に勝てるわけはなく、敗戦。 もう拡大志向のマンモス狩りはこりごりと、せめて家族が食べていけるウサギをとるためウサギ小屋に甘んじて高度経済成長を推し進め、ふと気づくと経済こそが現代のマンモス狩り場に。え、オレって実は、結構マンモス狩りうまかった?企業戦士として世界のマンモス戦場の主役に返り咲いた日本人たちは、Made in Japanという名のマンモス生産戦略で世界を席巻したかに見えた。 が、やっぱり食べてる肉の量が違うアメリカ人、ITと金融という新たなマンモス狩りルールを持ち込んで土俵替え。瞬発力が問われる金融業界では、先日のエントリーで述べたように典型的マンモス系男子が思いっきり活躍していたが、それもリーマンショックで全てぱー。 かくして、そもそもIT・金融バブル狩り場に参画できなかった農耕型日本男性、及びリーマンショックで牙を抜かれてしまったマンモス君、いずれも伝統的マンモス狩りにはもう辟易しているのではないだろうか。 日本人男性のマンモス度合いは、過去数千年に亘り、ことほどさように上がったり下がったり、歴史に翻弄されてきた。欧米人がローマ時代からほぼ首尾一貫してマンモス道をひた走り、狩りの技術に磨きをかけてきたのとは、根本的に筋の通り方が違う。 昨今、歴史上の名将らに熱をあげる「歴女」が増殖しているという。日本の歴史の中で最もマンモス度が高かったのが戦国時代であることを考えると、草食系しか見当たらない21世紀の日本国で、女達が上杉謙信に憧れるのはいかにも自然な現象である。そういえばNHK「坂の上の雲」の阿部寛と本木雅弘も相当かっこよかった。 歴史認識、もしくは世界経済状況に疎い大和撫子よ、日本男児のこうした根深いマンモスコンプレックスに心を馳せて、「恋の駆け引き」はほどほどに。
by miltlumi
| 2010-02-07 17:01
| マンモス系の生態
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