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金融業界に対する偏見

 あまたある職業のうち、最もマンモス度が高いのは金融(投資銀行系)とかコンサルティング業界ではないかと思う。
 基本的な彼らの行動プロセスは、まずマンモス(現代用語ではクライアントという)をみつけること。太っておいしそうな(ニーズがあってたくさん金を払ってくれそうな)会社をリストアップして片っ端から営業をかける。毎週の営業会議では、兵卒狩人によるマンモス候補リストを見たリーダーが「オマエ、こんな小物のウサギばっか追いかけてどうするんだ」とか「このマンモスはでかすぎて仕留めるのが大変だ」とかいう。マンモス候補を見つけられなかった落ちこぼれには、「魚影の濃い業界を探すんだ」(このリーダーは哺乳類より魚類を好む大森貝塚系祖先をお持ちですね)などとアドバイスを飛ばす。この前会ったコンサルタントは、文字通り「そろそろ新しい狩場を見つけなきゃ」とのたもうていた。
 時にこのプロセスは、競合他社とのBid=入札になることがある。もともと男には、マンモス狩り以前に「自分の遺伝子をできるだけ多く子孫に残す」という生物としての根源的目標達成DNAがビルトインされている。この目的達成にあたって最終的に重要なのは、別の男のオタマジャクシを押しのけてでもタマゴに到達する、という点。敵に打ち勝つこと。競争原理。従って、男の脳みそは競争環境のもとではより一層のパワーを発揮するように設計されている。この好戦的DNAは子孫繁栄行動以外でもいつでもONになる。だから、誰もいない荒野で昼寝しているマンモスを倒すよりも、同じマンモスを狙っている隣村の別集団が存在するほうが俄然燃えるのである。従ってBidというのは、金融狩人にとって最もアドレナリン放出量の高くなるエキサイティングなシチュエーションなのである。(そう考えると、霞ヶ関あたりをうろついて入札の値段きいちゃうような輩は、オトコの風下にも置けぬ卑怯なやつらですね)
 遺憾ながらBidで敗退したときは、「ふん、あのマンモスは実は年老いてて肉が硬かったのさ」とか何とか負け惜しみを言いながら、とっとと次のマンモスに向かって駆けていく。

 見事マンモスを仕留めたときは、洞穴で待つ女子供(金融業界的に言うとグループセクレタリーやバックオフィス)を含め、一族郎党が獲物を囲んで飲めや歌えやの大騒ぎ。ここで面白いのは、やり手のマンモス狩人は血縁関係者の腹を満たさせるだけでは飽き足らず、マンモスのおこぼれに与る第三者が多いほど満足度を高める習性があることである。投資ファンドの場合、マンモスを倒す、もとい投資案件を成約するにあたって、弁護士や会計士・税理士はもちろん、案件紹介者とかM&Aアドバイザリーとかビジネスコンサルとか人事コンサルとか色んな他人にフィーを支払う。そんなフィー払うのもったいないじゃん、節約すればいいのに、というのは干し肉の発想。マンモス狩人にとっては、仕留めた獲物で食わせる人数の多さが勲章代わりなのだ。アラブの王様が第5夫人まで娶ったり、稲盛氏が10万人の雇用を創出したりすることが尊敬を集めるのと同じ発想。
 もちろん、メーカーとか役人とかサービス業の方々にもマンモス的ビヘイビアは存在する。でも、最も直接的にマンモス系なのはやはり金融業界の方々なような気がする。
 
 地球物理学者の松井孝典先生が、とある講演の中で「ネアンデルタール人とホモサピエンスの大きな違いは言葉をあやつる能力であり、人間は言葉によって時空という概念を獲得し、高度化した」「『今』『ここ』しか考えない金融の人たちは、最もネアンデルタール人に近くて動物的ですね」とおっしゃっていた。松井先生の言葉そのままです。私の言葉ではありません。
by miltlumi | 2010-02-05 15:15 | マンモス系の生態 | Comments(0)
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