昨日の朝刊に、驚くべき記事が載っていた。某大学準教授が、ゴキブリの脱皮に関わる遺伝子に働く物質を開発して、ゴキブリが脱皮途中で死んでしまうのを確認。殺虫効果のあるこの物質の研究を進める、という。 えええ~~、いくらなんでも、そりゃ可哀そすぎないか?! 電車内で思わず顔をしかめる。 てらてらした不遜な姿、目にもとまらぬ速さで物陰に隠れたかと思うと、あらぬ方向からいきなり空中飛行する俊敏さ、そして言うまでもなく、バイキンの巣窟。人類のにっくき天敵の代表選手。 とはいえ、遺伝子組み換え(というか、破壊?)してまで絶滅せんとするのは、ちょっと行き過ぎではないか。他の動物や生態系に与える影響は小さいというが、人間の料簡だけで遺伝子に手を加えるのって、やっぱり神への冒涜なんじゃないか。 それより何より、窮屈になった古い皮から出られなくて、うんうんうなりながら死んでいくゴキブリさんを想像すると、なんだかいたたまれない。せめてもう少しピンコロ的に死なせてあげたほうが、私たちの寝覚めもよいのでは…。 ゴキブリをティッシュごしに手づかみできる得意技を持つ私は、究極の殺虫剤開発の可能性を、手放しで喜ぶ気にはなれない。 夕方うちに帰ると、Amazonで注文した本が届いていた。送り主の住所はUK。洋書の中古本である。封を切って中身を取り出したとたん、笑ってしまった。 まじ?とつい思ってしまったのは、納品書の、このたたみ方。四隅を揃えてないどころか、全部バラバラやんか~(笑)(笑)。 昨今、Amazonの中古本コーナーの競争は熾烈さを増すばかりなのか、高い評価点を得るため、ニッポンの出品者は涙ぐましい努力をなさっている。中古本をビニール袋できっちり包み、セロテープを直角に貼って、さらにエアキャップでくるんで分厚い封筒、はもちろん、本の古さを紛らすためにヤスリをかけたり消臭剤を吹きかけたり。 それに比べて、ったく、イギリス人ったら。でも、納品書の折り方で本の価値が変わるわけでもないし、そもそもこの本、欲しかったし。 結局のところ、「おもてなし」精神満載の端正な包装資材は、びりびりと破かれて即ゴミ箱行きである。むしろ、破く時間と捨てる手間がもったいない。あれはちょっとやりすぎなんじゃないか、と思う。 さて、このゴキブリと中古本の話の共通点は何か。 それは、「過剰」という概念である。 ゴキブリ、嫌ってもいいけど、遺伝子破壊は「過剰」じゃないか。 中古本、丁寧なのはありがたいが、三重包装は「過剰」じゃないか。 純粋に学究的興味から研究に勤しむ学者様はさておき、「そこまでやらなくても」的な商品を開発したり、サービスを提供したりするのはどうなんだろう。しかもその苦労が適正な価値として認められて、価格に反映させられるならまだしも。 世の中、イノベーションとか生産性向上とか言われるが、もう少しなんかどっかどうにかならないんだろうか、と思うのは、過剰反応だろうか。
by miltlumi
| 2018-01-23 23:19
| マンモス系の生態
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