節分の日の出来事

 節分。快晴。春の訪れ。暦の上で、新しい季節が始まる。
 「八方塞がり」だった昨年からようやく解放される、と心も軽く、出雲大社分祠でいただいた福豆の豆まきを、朝からいそいそと執り行った。歳の数だけ豆を食べているうちに出掛ける時間が迫り、急いで支度を整える。今日は朝から晩までてんでばらばらな用事が目白押し。あの会議にはこのノート、この会議にはあの資料。忘れ物しないようにしなきゃ、と思いながらも、電車の時刻を気にして家を飛び出す。

 駅への道すがら、夜の勉強会の参考図書を忘れたことに、早速気づく。あ、やっぱり。何か忘れてると思ったんだ。でもこれならたいしたことない。隣の人に見せてもらえばいいや。他力本願、である。
 地下鉄への階段を降りる前に、2番目の忘れ物に気づく。最初の会議に必要な書類を印刷し忘れた。あいたっ。これはちょっとマズい。自分で作った資料を説明する立場なのに。でも、事前に相手方にメールで送ってある。秘書さん、優しそうな人だったよね、とスマホからメールで印刷依頼。即レス。ありがたいことである。
 2度あることは3度ある。というけれど、まさかまだ他に忘れ物なかったっけ。

 やっぱりあった。次の会議、非常勤で働いている会社の従業員用セキュリティカード。あああ。これは結構マズい。総合受付に行くと、いろいろ職務尋問されて紙を書かされて厄介なのだ。ここでも頼るは秘書さん。電話をして、わざわざゲートまでお迎えに来てもらう。ホント、お手数おかけします…。

 会議が終わり、彼らは全社員総会で別の場所にある会議室へ移動、というので、私もとっとと退散する。…と、エレベーターの中で、ゲートを出るにもカードが必要なことを思い出す。げげげっ。これはかなり本格的にマズい。とりあえずゲートに行くも、1カード1タッチで1人ずつ、ピッピと出入りする中、紛れて出て行くことは不可能。テナント企業社員専用ゲートだから、警備員もいない。
 策のないまま再びエレベーターを昇る。当然ながら、オフィスに入ることもできない。カード不要の秘密の出口はないものかとうろうろするが、ドラえもんじゃない限り、そんなもんあるはずもない。

 なんの勝算もなく、みたびエレベーターへ。そこに、地獄に仏。警備員さま!! 見た目も明らかな制服姿に、聞かずもがなの問いかけをする。
 「あの、警備員の方ですか?」
 「…? はい。でも、〇〇証券の専任ですが」
 〇〇も△△もカンケーない。かくかくしかじか、出来るだけしおらしい表情を作ってお願いする。
 「つまり、出て行ければいいんですね」
 「はい。すみません。お願いします」
 人目を盗んでピピッとカードをかざした警備員さんに、ゲートの外から深々とお辞儀をしたのであった。

 「八方塞がり」をうまく乗り切るには、まわりをぐるり囲む人たちに助けを乞うしかないという。ということで昨年は色々な人に助けていただいた。最終日の節分の日、まさにその集大成とも言える「人様の情け」オンパレードであった。
 新しい季節が始まって1週間。相変わらず人の助けで生きている、今日この頃である。


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by miltlumi | 2017-02-10 10:29 | 機嫌よく一人暮らし | Comments(0)
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