ここしばらくマイクロソフトがウィンドウズの更新をへくっている。1日が終わってPCをシャットダウンしようとすると、「更新プログラムをインストール中(8個中1個)」と表示され、最後の個数が2個、3個と増えていって、8個まで行くと、ようやくしゅうっと画面が暗くなる。少し前は16個だったが、残る8個に手間取っているようだ。
翌朝、PCをオンにすると、「Windowsを起動しています」のあと、普通ならすみやかに「ようこそ」と言ってくれるのに、突然ブラックアウトして「更新プログラムなんちゃら、22123中1」から目まぐるしく数字が進み、18331のところで止まる。動体視力検査のように、毎朝私はこの数字を凝視する。これが22123まで行けば更新プログラムが無事稼働準備OKになるはずだが、あえなく途中で挫折する。まただ。 案の定、次の画面で「更新プログラムなんちゃら」が35%まで完了したところでハタと止まり、「更新プログラムの構成に失敗しました。変更を元に戻しています」となる。 はは、また今日もへくった。阿呆め。しっかり仕事をせんか。 何の更新をしているのか知らないが、マイクロソフトが丹精込めた(?)最新鋭プログラムにアップデートされなかったのは他でもない、自分自身の大切なPCであるという事実そっちのけで、私はかのシアトルの会社を小馬鹿にするのだ。 意地悪な気持ちは、「変更を元に戻しています」という台詞を見た途端に脳みそのどこかでスイッチが入り、どわっと噴出してくる。なんでだろう。ふと気になって考えてみた。 答えはすぐに出た。昔働いていた会社で、世界一の金持ちが経営するあの会社と仕事上の付き合いがあったのだ。私のカウンターパートは、カリブ海のどっか出身なのか、浅黒い顔にスタイリッシュな眼鏡をかけて、私より若いくせにぼってりメタボな身体をイタリアンブランドのスーツとネクタイで包みこんでいた。 そして、慇懃な態度のそこここに「オマエなんかWindowsの『う』の字もわかってないだろ」と言わんばかりのすごく不遜な影をちらつかせていた。その指摘は奇しくも的を射ていた(プログラミングのセンスのなさは大学時代のFortranで証明済みだ)ため、私は不都合な真実を突き付けられた屈辱と、それなのにわかったふりをして仕事をせねばならない精神分裂的ストレスに、憤死しそうになりながらその仕事に取り組んでいたのだ。 その仕返しに、更新プログラムのインストール失敗を蔑み、罵倒していたのだ。こんなところで、サラリーマン時代のねじくれた鬱憤を晴らすなんて、我ながらしつこいというか性格悪いというか器がちっちゃいというか。いや、恐ろしいのは、M社への逆恨み感情が無意識の底に潜り込み、今の私の平穏な生活の中で時折ひょっこりと悪魔的な顔を出している、ということだ。ネガティブな感情は、持たないに越したことはないのに。 こうしてようやく原因がわかったからには、もうこの下らない感情からは卒業しよう。 そう思った翌朝、PCをオンにすると、「更新プログラムの構成」は22123中17750まで行って、止まった。前日の18331より581のBehindである。M社エンジニアは、日本時間の真夜中、確実に試行錯誤していたようだ。
by miltlumi
| 2014-07-17 10:00
| サラリーマンの生活
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