うちの近くのビルが建て替えられることになった。取り壊しがほぼ終わり、ビルの回りを囲っていたクリーム色のパネルが取り外されていったとき、現れたのは瓦礫と化したコンクリートの塊と、それを取り除くでっかいパワーショベル。 それがなんとピンクに白の水玉模様。 思わず膝の力が抜けて、へらへらと笑いそうになった。工事現場にピンク。マッチョな男たちが主役の舞台に、なんという不似合。日立建機は何をふざけているのだろう。いや、おそらく彼らは真剣だ。 ピンクという色は、言うまでもなく恋の色である。人を優しく愛情あふれる穏やかな気持ちにさせ、恋愛意欲を高める。彼氏募集中の女性は必ずピンク色のものを身に付ける、というのは戦略思考のある女性の常識である。また、ピンク色は攻撃的な感情を抑制すると言われ、外国では刑務所の壁や囚人服をピンクにするところも少なからずあるとか。 つまり、工作機器メーカーおよび機種選定した建設会社では、苛立たしい騒音にあふれた埃っぽい工事現場の雰囲気を少しでも和らげ、とび職の方々の気持ちを穏やかにして不要な摩擦軋轢を避けるべく、一見場違いなピンクを採用したにちがいない。彼らの思考も、ようやく女性の恋愛戦略並みになったということか。おまけに白い水玉模様まで施す必要がどこまであったかはわからないが。 男性がピンクのYシャツを着るのが当たり前になったのはいつ頃からだろう。工事現場ような物理的なパワーではないにしろ、権力・知力・交渉力などを駆使した仁義なき戦いが繰り広げられるビジネスの現場で、ピンクを身に纏うのは、自分の気持ちを穏やかに保つためか、相手の戦闘意欲をそぐ作戦か。少なくとも、第三者的立場にいるまわりの女性たちの目には、「優しそうな人♡」と映っていることに間違いはない。 そしてピンクはついに、近寄るのも憚られるような(?)、ニッカボッカを意気に着込んだ任侠な男たちの世界にまで進出するに至ったというわけである。 ある意味、すごいことだ。色彩心理学などお構いなしだった世界で、積極的・活動的な赤でも、明るく元気なオレンジ色でもなく、ピンクが採用されたということは、攻撃性よりも愛情を重んずるという大きな価値観の転換である。 これを、ピンク色のポケットチーフを挿したスマートなビジネスマンが決定したのならともかく、赤いネクタイを締めた思いっきりマンモス狩り系なモーレツ野郎が決裁したとしたら、なんともイロニカルなことである。 件の工事現場では、ダンプカー出入りの際の通行者誘導の際、「お気をつけてお通りください」という常套句が、なぜかより優しく丁寧に響いている気がする。
by miltlumi
| 2014-05-30 13:17
| マンモス系の生態
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