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旅行帰りに食べたいもの

 3度目のバリ島は、食生活が充実していた。2度目に実感したフレッシュフルーツジュースの普及率の増加は既に確固たるものとなり、ホテルの朝食でもパイナップルやマンゴーやスイカ、どれもとっても美味しかった。定番のサテやナシゴレン、ミーゴレンも、店によって味や姿かたちがちがうけれど、いずれも「当たり」だった。前回みつけたイタリアンレストランでも、カラッと揚がったカラマリがたくさん乗っかったサラダや、薄くてパリパリのピザにフォンダンショコラ風チョコレートケーキが抜群だった。

 真夜中近くに羽田に帰着し、翌日は旅の余韻に浸る間も、たまった洗濯物をやっつける暇もなく、昼前からずっと外出、夕方早めの宴席にまで参加して、夜9時過ぎに帰宅。地下鉄を下りてうちに戻る道すがら、突然ご飯が食べたくなった。白いご飯。けれど、うちには冷凍ご飯さえ旅行前に食べ尽くしたきりだ。
 10時まで開いているスーパーのお惣菜コーナーに行けば白飯は売っているけど、意外に古風な私は、炊いたご飯を買うという行為をどうしても自分に赦すことができない。コンビニのおにぎりならいつも気軽に買うが、今食べたいのはあくまでふんわりお茶碗に盛られた白いご飯。ぎゅーぎゅー米粒を押し固めたモノではない。ましてや、茶色くてあまじょっぱい味がついた妙に細長い米粒ではない。白いご飯。嗚呼、真っ白でつやつやのご飯!!

 昔よくNY出張をしていた頃、時差ボケで真夜中に突然おなかが空くと、決まって「キムチご飯」を食べたくなった。だから出張前にはちゃんとスーパーででっかいキムチの壜を仕入れ、炊いたご飯は冷凍せずにお釜に残した。真夜中、もう歯も磨いたあとだというのに、むくりとベッドから起き出して、キムチだけをおかずにご飯を掻きこむ。いかにも胃に負担のかかる不健康で隠匿的で蠱惑的な習慣。
 バリ島とは1時間しか時差がないのに、あのときと同じ。でもキムチはいらない。とにかくご飯。電気釜だと40分以上かかる。そんなに待てない。うちに着くやいなや、圧力鍋のレシピブックを引っ張り出す。「炊く前30分水を吸わせる」という記述は無視してとっとと火にかける。沸騰後5分。火を止めて10分。おほほ。
 その間、旅行前に食べきれずちょっとだけ残っていた白菜でお味噌汁を作る。それと、お香典返しにもらったまま手つかずの「かつおそぼろ」。こういうのって、なかなかご飯を食べない育ち盛りの子供をだますための小道具で、炭水化物の摂取量を極力減らすべきオトナが手を出してはいけないのだが、今夜ばかりは解禁である。

 圧力鍋のピストンが下がり、ふたを開くと、まさに理想的なつやつやご飯。わーい。一口食べるとちょっと芯がある。げげっ。やはり30分は不可欠だったか。しかし背に腹は代えられない。どばっとそぼろをかけて、お味噌汁とともにいただく。あー。至福。しみじみ、日本人だわー。1膳目をぺろりと平らげ、2膳目へ突入。同じくお香典返しの梅茶漬けにしちゃいましょ。

 しかし、たった1時間の時差ボケ空腹の限界か、単に歳をとってバカ食いできなくなったか、お茶漬けの途中から箸の動きが鈍ってきた。うう。くるしい。やめようかしら。でも、お茶漬け残すと水を吸ってぶよぶよになるだけだし。ええいっ。
 食べきって、キモチ悪くなった。そのときになってようやく、夕方の宴席でピザやフライドポテトをいただいたこと、ならびに宴席前の時間つぶしにミスタードーナツに入ったことを思い出した。ミスドは魔法の場所で、入るとなぜか選択能力が低下してつい条件反射的に3つ買ってしまう。2つ食べて、1つはうちに持ち帰ったのだ。
 タダの食べ過ぎやん。

 春巻きもタイ風チキンカレーも美味しかったけどね。やっぱり、白いご飯。でも、ミスドも捨て難い。
(下の写真は、水田からの風が吹き抜けるチェディークラブのメインダイニングのナシゴレンとミーゴレンです)
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by miltlumi | 2014-02-11 19:58 | Ubud in 2014 | Comments(0)
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