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祝♡リニア新幹線…? (4)

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 さらに一般民間人として言わせていただけば、2027年に圧倒的マジョリティーとして社会に君臨し、JR東海を始めとする観光業界が熱い視線を送るいわゆるシニア層が、リニア新幹線のリピーターになるとは、とうてい思えない。
 何たって、彼等(リニア開通時期を考えれば、私ら、というべきか)はヒマなのである。東京から名古屋まで、へたすると東海道線普通列車に揺られてのんびりローカル旅、くらいの感覚で日々過ごしている彼らが、何が悲しうて40分ぽっきりで名古屋まで飛んで行かなくてはいけないのか。

 名古屋市内が観光の目的地になることは想像し難いから、行くなら飛騨高山あたりか。今は品川から新幹線とJRとワイドビューひだ何号を乗り継いで4時間のところ、3時間10分で行けるようになる。すごい。50分余計に温泉に浸かれる。そうやってありがたがる中高年がどれだけいるのだろう(けっこういたりして)。
 でも、旅館のチェックインは15時だから、あまり早く到着しても部屋に入れない。リニアで短縮される分、出発を遅めるだけである。品川発11時か10時10分か。なんだかあまり大差ないように思うけど。
 そもそも年寄りは早起きなのだ。ましてや旅行の出発当日なんて、遠足のコドモみたいに夜明けとともにぱっち目覚めて荷物点検とかしちゃうのだ。うちにいても手持無沙汰だから、なんとなく10時くらいには品川駅に着いて、なんとなくecuteでなだ万の折詰とかまい泉のカツサンドとか買っちゃうのだ。某地方都市の駅弁企画が報われないではないか。

 名古屋はともかく、京都に1時間で行けるのは魅力的かもしれない。今でさえ、朝6時台の新幹線に乗って日帰りで京都の神社仏閣を見物する弾丸ツアーが人気だというから、往復2時間短縮できれば、お寺2ヶ所余分に拝観することができる。
 政府の陰謀で60歳過ぎても会社勤めをする人が多くなって、そういう人たちがそれでも少しは遊びたい、と思ったときに、リニア新幹線の威力が発揮されるのかもしれない。

 あるいは、現役時代の分刻みのスケジュールがしみついてしまって、限られた時間にできるだけ効率よく色んなことをやることに無上の喜びを見出すシニアにとっては、「わし、京都往復の電車2時間だけで、昼はバスん中で和久傳の弁当喰って、午前と午後で寺5軒、神社3軒に美術館制覇したわ」みたいな武勇伝のネタとして、リニア新幹線が脚光を浴びるのかもしれない。
 そういうモーレツ型の人は、シニアになって京都日帰り旅行できる身分になる前に過労死しちゃう気もするけど。

 ここまで書いて、ようやく究極のアプリケーションを思いついた。京都に愛人を囲う。東京のちゃきちゃき江戸っ子妻に疲れた元モーレツ社員が、「ちょっと散歩がてら美術館と本屋行ってくる。昼はてきとうに外で食うから」とか言って、9時くらいにふらりと家を出る。1時間半後にははんなり美人と嵐山である。渡月橋を眺めながら「てきとう」な京料理をつついて、天龍寺の庭を散策して、嵯峨野の竹林の中にある茶店でお薄をいただいて、後ろ髪引かれる思いでリニアに飛び乗り、5時には帰宅。
 「いやあ、八重洲ブックセンターで会社の同期のヤツにばったり会っちゃってさあ。スタバで話し込んだら、2時間ロスっちゃったよ」

 リニア新幹線が、熟年離婚率アップの間接的要因にならないことを祈るばかりである。
                                                (おしまい)
by miltlumi | 2013-09-24 20:36 | マンモス系の生態 | Comments(0)
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