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祝♡リニア新幹線…? (1)

 2020年の東京オリンピックに続き、2027年のリニア新幹線で列島が盛り上がっている。品川と名古屋を40分で結ぶらしい。「のぞみ」は90分強だから、半分以下である。TV取材に応じた女性は「すぐにでも乗りたいです」と期待感をあらわにしていた(それとも一番あらわにした人を選りすぐって放映しているのだろうか)。
 40分かけて名古屋に行って、ランチにみそカツ食べて、東山動物園で日本最大のゾウ舎を見て(14年後もまだ日本最大かどうか保証できないが)、ジェイアール名古屋タマシマヤ限定の両国屋の千なりでも買って、日帰りしてくるのだろうか。
 人それぞれ、興味の対象や余暇の過ごし方はちがうから、人様のことをとやかく言うつもりはない。ただ、表参道ヒルズとかスカイツリーとか、ナタデココ(古いな)とかもちもちパンケーキとか、「話題」モノ(そもそも誰が「話題」の言いだしっぺなのだろうか)に群がる人たちをTVで見るにつけ、私はつい「とてもついていけない」とつぶやくタイプなのだ。

 リニア新幹線になると、いよいよわからない。科学技術の発達を誇示したい気持ちはわかる。しかしそれに9兆円。在来新幹線との料金差が往復で1,400円ということは、新規の利用客が増えない限り、どう逆立ちしたってペイするはずがない。
 ちょっと調べてみたら、2010年時点で、2009年に1億38百万人だった東海道新幹線利用客が、リニアの東京―大阪間開通時に2億人強、つまり+45%になり、うち約半数がリニア利用、という試算をしているらしい。ちなみに2009年の人口は1億28百万人なので、国民一人あたり1年に1回強新幹線に乗っている計算になる。言うまでもなく人口は減っている。2027年(大阪開通はもう少し先だろうが)の人口は約1億19百万人と、2009年より7%減少するため、国民一人が約1.7回乗らないとノルマを達成できない計算になる。

 こういう「たられば」の数値予測はきりがない。人口は減っても高齢者は増えるから、彼等に旅行三昧してもらえば利用率は増える? 女性の就業率が上がってビシバシ出張するようになれば、ビジネス客は増える?いやいや、外国人観光客がバンバンやってきてバンバン新幹線に乗ってくれればバンバンザイ?

 ド素人の私がちまちま電卓をたたかなくても、JR東海経営企画室や、運輸省及び経済産業省、さらには名古屋市役所あたりには、もっと精緻なシミュレーション(しかもベースケースに楽観・悲観ケース、そしてそれぞれに対するプランA・B・C、云々)が存在するにちがいない。きっと9兆円はちゃあんとモトがとれるように、帳尻を合わせてあるのだ。私が心配する必要はないのだ。
 万々万が一、気の遠くなるような回収期間だったとしても、「国家の威信にかけて」という伝家の宝刀が鞘から抜かれる用意がしてあるのだ。どっかの短期政権政党が「2位じゃだめなんでしょうか?」とか言い出さない限り。

 だから、EXCELシートにIRRの自動計算式の入れ方もわからないような人間が、とやかく心配することはないのだ。少なくとも投資効率については。
 でも、モンダイは他にもある。
                                    ・・・(2)に続く
by miltlumi | 2013-09-19 21:37 | マンモス系の生態 | Comments(0)
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