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勝負師の条件

 とある勉強会で、「勝負師の条件」について話し合った。講師いわく、何よりも大切なのは「自分を知ること」。老子の「自ら知る者は、明なり」というやつである。同様のことを、現代日本の元内閣情報調査室長(つまり、国家スパイですな)大森義夫氏も言っているという。情報をとったり正確な判断をするためには、「気持ちの余裕」と「自分を客観視すること」が必要だと。
 僭越ながら、日頃私が主張している「マンモス狩り」の最大のポイントは、まさにこれである。「オレは今マンモス狩りに夢中になっているなあ」と自分を客観視して、それによって得るもの、失うものを自覚していれば問題ない。ところが、自分が何のために何をやっているのかを見失って、社会の暗黙のプレッシャーに押されてやみくもにマンモス狩りに邁進してしまい、本当に自分がやりたいこと、大切にしたいことを犠牲にしてしまう悲喜劇はまずい、ということなのだ。
 
 日頃、意図的意識的意欲的にマンモス狩りを楽しんで勉強会メンバー諸氏も、さすがに思うところがあったらしい。
  「気持ちの余裕…、なかなか難しいよなあ」
  「客観視…、どうしたら出来るんでしょうね」
 そこで、最年長メンバーの鶴の一声。
  「歳をとることですな」
 むむ、なるほど。亀の甲より年の功。次に年長の、稼ぎまくってるメンバーは、
  「金、じゃないですか」
 むむむ、確かにお金があれば、ないよりは気持ちの余裕が出来るだろう。3番目に年嵩の私が唸っているうちに、あえなく時間切れとなってしまった。

 2次会でバカ話をした帰り道、ちょっと真面目に考えてしまった。年齢もお金も大切だけど、年をとっても己を知らずにあくせくしているオヤジはいるし、お金がなくてもゆったり余裕のある心持ちの人もいる。その上位概念は何なのかなあ、と考えて、ふと思いついたのは、「自信」という言葉。
 歳をとって色んな経験を重ねた、あるいは十二分なお金を稼いだ、ということが意味するところは、つまり「自信」ではないか。自信があれば余裕が生まれるし、気持ちの余裕があれば自分を客観視することもできる。たまさか長年の人生経験やキャッシュがなくても、ちゃんとした自信さえ持てれば(でもそのためにはやはり何らかの経験か、たぐいまれなる才能が不可欠か)、「勝負師の条件」を満たせるのかもしれない。

 勝負をするにしてもしないにしても、自分を客観視することは、人生においてとても大切だと思う。でも、それでもまだ足りない。最近読んだ「食べて、祈って、恋をして」という本(ジュリア・ロバーツ主演の映画はミーハーっぽかったが、原作はなかなか深い)に、「人間が不満足な状態に陥るのは、自己認識の誤りによるもの」という一文があった。せっかく客観視したのに、見たと思ったそれが間違っていたら…。
 はああ。道のりは長いのだ。


by miltlumi | 2013-03-12 17:54 | マンモス系の生態 | Comments(2)
Commented by やませみ at 2013-03-15 08:37 x
Happiness consists in contentment... やや年寄り臭いですが高校を卒業した頃からの座右の銘です。自信とは対極の概念ですね。客観視の行き着く先はこっちじゃないですか。原始を含めたルール無用の自然界では勝負師なんて生き残れません。案外「勝負」なんて誰かが作った枠の中でルールに疎い人びとから搾取するだけの行為かもしれませんよ。
Commented by miltlumi at 2013-03-15 12:40
やませみさん、コメントありがとうございます。「勝負師」云々といった低い(?)次元を越えた、根源的な人間の在り方ですね。
私が言う「自信」も、あるがままの自分を受け入れて納得するといった意味も含めれば、共通する部分があるような気がします。
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