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好きで楽しくてシアワセなこと

 動画投稿による広告収入で生計をたてる若者が増えている、というTV番組をやっていた。奥さんが、娘のために工夫をこらした幼稚園弁当を趣味で投稿するうち、アクセス数が膨大になって数十万円単位の広告収入が入ってくるようになり、ついにだんな様が会社を辞めて二人でそれを専業にするようになったとか。

 今さらながら、時代の流れを痛感する。「インターネット」という言葉を、実感を持って受け止めたのが、私の場合たしか1995年。先見の明を持つ日本の経済評論家が、「これは世界を変える」と興奮を抑えきれぬ口調で本を書いていた。
 あれから18年(…と文字にすると、さすがに長いな)。世界中の情報収集や不特定多数の人たちとのコミュニケーションはもとより、ネット通販による消費パターンの変化の波には、保守的な私もすっかりどっぷり浸かっている。そしてついに、消費、つまり一般大衆にとっての需要サイドのみならず、一般大衆がお金を稼ぐ、いわば供給サイドにも根源的な影響を与え始めた、ということか。

 最も心を打ったのは、化粧好きが高じて“カワイイ”メイクや髪形を自分撮りした動画投稿でびっくりするような収入を得ている女の子の発言。
 「好きなことやって楽しく過ごして、それでお金がもらえたら、シアワセじゃないですか~」

 やばいな、と思った。おっしゃるとおりである。好きな仕事しかやらないで、苦手な仕事や苦手な人は避けて、毎日を機嫌よく楽しく過ごすこと、それがシアワセ。私とおんなじじゃないか。
 とはいえ、やっぱりどこか「旧人類」の私は、「だってこれまで20うん年間、頑張って来たんだもん。この歳になれば、少しくらい好き勝手させてもらってもいいでしょ」という言い訳を常に引き出しに用意している。
 就職活動を始めようとする大学生に対して、「仕事が楽しくないからって、すぐに辞めちゃだめ。最初の仕事は面白くないもの、くらいに割り切って、でもその中に面白味を見つけて」などとエラそうな訓示を垂れたりもした。

 しかし、TV画面いっぱいに映し出された長いつけまつ毛に金髪の鬘の彼女は、どうなるのだ。まだ20代で、既に毎日楽しいことばっかやって、しっかり生活している(少なくとも今は)。かなわんなあ。こうしたネット世代にとっては、「仕事」や「お金を稼ぐ」意味が、明らかに違ってきている。情報社会が本格化してくると、社会の基本単位が分散型の個人になって、“仕事”というよりもヒマと能力を生かしたゲーム感覚の活動を楽しんで、結果的にそれでお金が稼げるようになる、という情報社会学の説があるらしい。
 多様な価値観の存在を認める(賛成するかどうかは別として)だけの許容力は具えているつもりである。しかしやはり、箸の上げ下ろしも丁寧に指導された新入社員時代を経験した旧人類の脳裏には、若いうちの苦労は…などという言葉が去来している。
by miltlumi | 2013-03-05 21:06 | マンモス系の生態 | Comments(4)
Commented by zelan at 2013-03-05 23:30
もうけかたは変わろうとも、結局のところそれなりに「精進」しないともうかんないよ、と至極まっとうなことを考える自分はやっぱり旧人類なのかしらん・・・。
Commented by miltlumi at 2013-03-06 09:10
しょうじん!! それこそまさに旧人類的発想。。。(笑) でも、精進とか下積みとか修業とか丁稚とか、人生早いうちに経験しといたほうがいい、と思ってしまうよね。。。
Commented by zelan at 2013-03-06 23:58
「精進」てば自分の日常語だが、ちゃんと実践するとなるとそれなりに難しいなりね(だってなかなか実践できないよ・・)。でも基本精進を完全肯定している自分、やっぱり旧人類なのかしらん。でもそれなら別にいいや、旧人類で・・(笑)。
Commented by miltlumi at 2013-03-07 15:12
うん。私も最近は自分が旧人類に属するという確信と開き直りのもと、別の人種の方々に対する文化人類学的考察に勤しんでおります。。。
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