友人が、長年勤めた会社を辞めることにした。深く深く深く考えた末での決断である。ようやく心が決まり、社内関係者に伝えたところ、上司が「泣いてすがって引き留めた」という。そんなことをされた彼女は、「ばかみたい…」と思ってしまったとか。
この話を聞いた私の胸中に、ある記憶がよみがえった。ああ、すれちがう者たちよ、汝の名は「男女」なり。。。 彼女と上司の感情のすれちがいは、一体どこに原因があるのか。それまでの仕事上のもろもろ・二人の人間関係は個人情報に抵触するので脇に置いたとして、普遍的といえる原因は、上司が「オンナ」だった、ということである。オンナの上司にオンナの部下。女性上司に男性部下、あるいは男性上司に女性部下なら、この手のすれちがいはなかったはず。 いつもながらのステレオタイプ、勝手な決めつけ、かもしれない。でも、「泣いてすがって引き留め」る、という全く同じ台詞を、何年も前に言われたことを思い出したのだ。 好きな人から別れ話を持ち出されて右往左往していたとき。男心はオトコに訊こう、と相談を持ち掛けたら、彼に言われたのが「オマエ、泣いてすがって引き留めたのかよ。好きなら、そのくらいやれよ」という言葉だった。確かにそんな作戦はまだ実行していなかったし、言われた後も、結局実行しなかった。そんな「みっともないこと」できるわけないじゃん、という気持ちだった。 オトコはそういう演歌みたいな場面が嫌いではないのだろうけど、そしてオンナのほうも、与えられた役割を卒なくこなすことで世の中うまく収まるのだろうけれど、私は真っ平御免である。そういうプライドがあるからフラれるんだよね、ということも心のどこかで分かっていた。女らしくないのだ。 だから、私の友人に泣いてすがった女性上司は、押しも押されぬ立派な「オンナ」だった、と言える。ただ、相手を間違えた。その作戦が功を奏するのは、相手がオトコだった場合に限る。男性部下なら、「やっぱりオレって頼りにされてたんだなあ」と、悪い気はしない(むしろ、何も言われないといじける)。別れたいくせに、「行かないで」と言われたい、そしてそれをあえて振り切って去っていく、「シェーン」(古すぎ。)みたいな役柄を演じたいのだ。 でも、かの女性上司の部下は、女性であった。オンナが別れを口にするときは、既に熟考に熟考を重ねた末のことであり、正直、心ここにあらず。目線は次のステップに向いている。ナタでスパーンと切り落とすような別れを望んでいるのに、今更修羅場演じないでよ、てね。 もうすぐ3月末、別れの季節。色々な名シーンが繰り広げられるのだろう。振る(出て行く)のが男性の場合は、残される側は大いに「泣いてすがって引き留めて」あげましょう。逆に出て行く女性に対しては、にっこり笑ってGood luckの一言を。それがあなたのオトコ(もしくはオンナ)を上げます。くれぐれも逆をやらないように。
by miltlumi
| 2013-02-25 12:18
| マンモス系の生態
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