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しかし、これって確かにちょっと外交に似ている。先に手を出したのはあっちだこっちだというのもどっちもどっち。それさえタダのきっかけに過ぎなくて、裏には積もり積もった根本的な価値観の相違が横たわる。そもそもあの時…と大昔の事件を引き合いに出すと「今はそんな話をしてるんじゃない!」と逆ギレされるが、わだかまりは、お互いの関係が始まった歴史の長さに応じて積もり積もっているのだから、仕方ない。 しかしながら、成熟国の国際社会では、こちらが火星に移住でもしない限り、完全に縁切りすることは不可能。結婚ほど強固なつながりでもないけれど、恋愛のように終わったらもうそれっきり金輪際おつきあいしない、という割り切りができるわけでもない、微妙な永続関係にある。だから、結局ほとぼりが冷めるのを待って、しばらくしたら国際会議場で「や、元気?」とにこやかに握手を交わす。でも眼だけは笑ってなくて、「覚えてるよな、あの貸し」「まだ完全に許したわけじゃないからね」と無言のメッセージを送る。 そういう緊張関係があったほうが、まったり平和に惰性でケッコン生活を続けるよりも、ぴりりとしててよい。まさに、解決しないことが解決とは、言い得て妙。ずるずる引き伸ばす優柔不断も、ポリティカルな計算に基づいたちゃんとした戦術のひとつということだ。 ところが、馬鹿正直に国連とかハーグの裁判所に駆け込んじゃうのは、それこそ「弁護士から連絡させますから」という最後通牒と同じだ。自らを「振り上げた拳を降ろせない」状態に追い込む。こうなると関係修復は不可能となり、「離婚」がほぼ既成事実化、あとはいくらふんだくるか、という条件闘争になってしまう。 そこまで行く前に、中途半端なところでうまくお茶を濁すのが、オトナ同士のつきあいというものである。離婚は、お互いエネルギー使うからね。避けられるなら避けた方がいいのです。 白黒はっきりさせないままで乗り切ってしまう戦術は、男女間だけでなく企業内でも散見される。例えば、結論が出たのか出ないのかわからない意味不明の会議。対立意見が出てもどちらに軍配が上がったのか、議事録には「玉虫色」と言われる折衷案みたいな文章の羅列。 企業合併した後の「たすき掛け人事」というのも、このバリエーションですね。外野から見たら、どっちがどっちを飲み込んだのか明白なのに、新会社発足時の役員人事は、会長・社長・副社長2名、ときれいに按分される。対等合併の場合だと、こういうことが大手を振って何年も何年も続く。人事1部・2部なんて、旧会社の人事部が二つそのまま残存することもある。オトコには、簡素な経営や業務効率の良さより大切にしないといけないものがあるのだ。 ・・・(下)に続く
by miltlumi
| 2012-10-09 08:46
| マンモス系の生態
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