ミニスカートが好きだ。大学のとき、チアガールみたいなスカートをはいていて、彼氏がそばにいた友達に「あれはちょっと短すぎるよな」と眉をひそめた、という経験がある。運動音痴な自分の潜在意識の中に、テニスコートや神宮球場への憧れがあったのかもしれない。
社会人になると、さすがにオフィスでは節度をわきまえ、公序良俗に反しない(と自分で判断した)程度の長さにした。自由で平等な職場では、お局様にも上司にも何の文句を言われるわけもなく、彼氏にも別にしのごの言われず、20代は平和に過ぎていった。 ところが30代も後半になると、状況が変わってきた。「年甲斐もなく」と眉をひそめられたわけではない。マンモス狩り系の男性陣が、ミニスカートというファッションアイテムを、自分には絶対に使用不可能の武器と見做したのである。それをネタに、ネット上で誹謗中傷を受けたのだ。 人間というのは面白いもので、他人も自分と同じ思考回路を備えていると、無意識のうちに思い込んでいる。そしてその他人との距離が短ければ短いほど、自分の考え方との相似傾向も強い、と思いがちである。 だから、中堅管理職の男性から距離の遠いキャピキャピ新人女子社員ではなく、自分と同じラダーに乗っかっている女性(もはや女子、ではない)社員は、自分と同じようにマンモス狩りが大好きに違いないと、彼らは信じ込んだ。日夜狩りの腕を磨き、権謀術数を巡らして出世を目指す彼らにとって、異性のライバルがはくミニスカートは、色仕掛けでエラい人に取り入って出世せんとする反則行為の武器、と映ったのだ。 マンモス狩り=食べ物獲得する手段そのものに夢中になってしまう、「手段の目的化」が「マンモス狩り系」の特徴だが、ここでは、ミニスカートで可愛く装いたいという女性の単純な目的を出世の手段と見做す、つまり「目的の手段化」という誤解が生じている。女性たりとも、会社という狩場に存在している以上、我々と同じ思考回路を働かせて、あらゆる手段を使って上に昇ろうとしているに決まっている、という思い込み。 かくして、ミニスカートをはくと立場がややこしくなることに気づいた私は、ばかばかしくなって(他にも色々理由はあったが)会社を辞めた。天下晴れて、的外れな誤解を受けずにミニスカートをはける身分になった。 先日、昔よく行ったアウトレットに10年以上ぶりに出掛けた。期待通り、好みのデザインの服がお安かった。「ワンサイズ上げれば、もう少し裾が長くなりますよ」と言う店員を無視して、ぴったりサイズを購入した。うちに帰ってもう一度はいてみると、…短い。膝上4㎝が、どうも気恥ずかしい。 あの頃でさえ着用を止めなかったミニスカートに、ついに一瞬の躊躇を感じるようになってしまった。 時は流れる。躊躇が諦観になり、断念になるまであと何年だろう。ミニスカート正否の理由は、時と共に変わる。
by miltlumi
| 2012-07-14 21:43
| マンモス系の生態
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