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33年

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高校の修学旅行で訪れたことのある浄瑠璃寺。
バスを降りてから、畦道みたいなところを延々歩いたことと、
鄙びたお堂の前に大きな池がしぃんと静まり返っていたことがとても印象に残って、
いつかまた訪れたいと、ずっと思っていた。

その畦道で地元の人が売っていた焼き芋を、
当時憧れていた同級生の男子生徒が買い食いしていて、
お芋に注がれた強い視線を感じたのか、「やるよ」と食べかけをくれたことも、
このお寺の思い出を忘れ難いものにしていた。

あれから、20回以上は京都・奈良を旅行したが、
最初のうちは浄瑠璃寺がどこにあるのか地図で探せず
(あの頃はYahoo!地図もHPも存在しなかった)、
ガイドブックの地図の端っこに見つけてからも、なんだか遠そうで足を向けることがなかった。

そして今日、ついに。
近鉄奈良からバスで20分強、こんなに近かったんだ。しかもバス停は山門のすぐ近く。
1時間に1本、小ぶりのバスが折り返し運転をする駐車場は、
さすがに540人の高校生を乗せたバスの群れを収容するには小さすぎる。
だから遠いところに停まったのか。おかげで焼き芋にありつけたわけだ。

撮影禁止のお堂に入ると、9体の阿弥陀仏。
一人一人微妙にちがう表情を浮かべておられる。ゆっくり時間をかけて眺める。
高校のときの思い出には、全然登場してこられない、
でも今なら、何時間でもその前に座っていられそうな仏様たち。
正面の仏様の前に座って手を合わせ、「ようやく来られました」と心の中でつぶやく。
そして、あれが33年前であることを、知る。
33回忌、という単語は何やら縁起が悪いようで、実は命の一区切りであることに、思いを馳せる。

次の33年。
もう一度、ここに座ることは・・・
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(こちらは浄瑠璃寺から岩船寺に行く田舎道沿いの、小さな磨崖仏です)
by miltlumi | 2012-05-18 21:23 | フォトアルバム | Comments(0)
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