前回のエントリーで女性(といってもサンプル数は3だが)の労働時間に対する考え方を紹介したが、例によって、極私的・極小サンプルによる、男性との比較人類学。
こと報酬に関する限り、男性の辞書には「謙虚」という文字はない。もちろん、だからといって彼らが「水増し請求」をする輩だと告発しているわけでは、決してない。単に、発想がちがうのである。 某グローバルコンサルティング企業で働いていた男性Cの、当時の単価はB女が設定している金額の○倍。その単価×労働時間(水減らし請求ではなく)でクライアントから受け取った大枚は、もちろん丸ごと彼の懐に入るわけではなく、大企業ならではの間接部門人員コストや高級オフィスビルの家賃や引退したおっさんたちへの年金補填に充てられる。つまり、○倍の単価は、彼にとっての「勲章」なのだ。懐に入るか否かは関係ない。 だって、勲章って食べられるわけでもないし、質に入れるのもはばかられるし、壁に飾って美しいようなデザインでもないのに、じいさんになると皆欲しがるでしょ。女性がアレをもらいたがってる、という話はあまり聞かない。 マンモス狩り人種の、もう一つの特徴は「レバレッジ=梃」の発想。いかに少ない時間でいかに大きな獲物をとるか。同じ1本の矢を射るなら、鹿を仕留めるよりマンモスを仕留めたほうが賢いのである。金融業界では、これを「レバレッジ」と呼ぶ。 B女が、友人のD氏に「そんな労働集約的な仕事してないで、レバレッジがかかる仕事をすべきだ」と説教されたという。レバレッジ。最たるものは、他人からお金を集めて運用して儲かったゲインを他人と山分けする、ファンド事業である。D氏はまさに当該業界人。 まあね。私もその業界にいたから、レバレッジ効果の凄さはよぉく知ってるけどね。その分、ハイリスクハイリターン。他人のカネ(って、10万や20万じゃないですよ、10億20億円ですよ)を運用する、ものすごぉい心理的プレッシャーに耐えて around the clock で働かねばならないわけで。 少なくとも女性は、もといA女とB女と私は、No thank youでございます。そういえば、この3人ともう一人、E女の4名は、とりあえずこれだけあれば快適に過ごせるよね、という年収目安が、図らずも全く同額である。 それで思い出したが、最近話をした元金融マン、現在非ファンド業界独立系のF氏も「レバレッジ」という単語を使っていた。そうでもしないと「貧乏」から抜け出せないから…というので、まあ、この人ビンボウなんかしら、心配しそうになったが、よく話を聞いてみると、彼の「貧乏」は、我々の年収目安の2倍であった。扶養家族がたくさんいるのはわかりますけど、ね。 まあ、人生イロイロ、である。とにもかくにも、毎日同じ時間に同じ場所に行くだけで、毎月同じ日に同じ金額が銀行口座に振り込まれる会社員って、ほんっとに羨ましいよねっというのが、男女共通の統一見解である。 そこには、かつての自分たちへの細やかなるノスタルジーと、今の自分たちの何者にも縛られない自由への讃歌が、込められている。
by miltlumi
| 2012-05-09 22:00
| マンモス系の生態
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