「孫子の兵法」をネタに事業経営について議論(言いたい放題、ともいう)する勉強会で、「兵は詭道なり」という有名な一節に端を発して、なぜに昨今の我が国の企業はダメなのか、という話に発展した。
最近の若い者は、自ら考えて戦おうとせず、論点も整理しないまま安直に上司に上げて解決を仰ぐ、と元役人が嘆くと、オレなんてライバルがいる時が一番燃えて、やってやろう、という強い気持ちが湧いたけどな、と(案の定)元金融マンが憤慨する。 「競争に対する耐性が弱くなってきているのではないでしょうか」最近の子供や若者について、マスメディアと知り合いしか情報源のない私が、単なるフィーリングを口にすると、現役金融マンに「競争、というより勝負、ですね」と正された。(余談だが、競争と勝負の違いってなんだろう。辞書を引いてもあまり相違がわからない。ただのフィーリングだが、「競争」は大勢でやるもの、「勝負」は1対1のがちんこ、というニュアンスの違いでは、との結論に達した) もとい、勝負氏が言いたいことはコトバの定義ではなく、一番大切なのは、競争とか勝負とか他人の存在を前提とすることではなく、他人は関係なく「自分」の想いに忠実になって、自分ならではの「何か」を創造する能力ではないか、と。 つまりSteve JobsがiPodを創造したように。ソニーのWalkmanを超えたいという競争意識は、Jobsの最大のモチベーションだったわけではなかろう、ということ。 平たく言えば、限られたパイを奪い合う競争戦略か、パイそのものを大きくする独自(市場創造)戦略ということだろう。 独自戦略をとれるに越したことはないが、ちゃんとお金になるほどクリエイティブな思いつきをほいほい出すとか、思いつきをお金にするまでしつこく洗練させていくとか、凡人にはなかなか出来るものではない。訓練すれば出来るようになる、とマーケティングの専門家がのたもうていたが、それで成功するのは、ほんの一握りだろう。 とすれば、やはり競争戦略(勝負戦略と呼んだほうが正確か)に邁進するほうが、相手が見えていてわかりやすいし、アドレナリンもじゃんじゃん出るし、手っ取り早いかもしれない。でも、最近の若者は競争嫌いだというわけで…。 クリエイティビティーはもとより、他人と競争して勝ちたいという意欲も欠落している私は、思考停止状態に陥った。 問題の本質は、独自戦略を打つほどクリエイティブでもなく、かといって競争意識も薄い(私のような人間、はどうでもよくて)最近の若者をどうモチベートするか。 ふと思い浮かんだのは、「意義戦略」。自分のやっていることにどんな意義があるか。仕事の、より大きな意義と、自分が今やっている業務が、どうつながっているか。アポロ計画遂行時、宇宙センターを訪れたJ.F.ケネディー大統領に対して、建物の掃除夫が「私も国家プロジェクトのために働いています」と胸を張ったと言う。 今日から新年度。新入社員が配置される。ささやかな仕事に意義を持たせ、若者に理解させるのは、我々の重大な仕事である。
by miltlumi
| 2012-04-02 22:56
| マンモス系の生態
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