甥っ子が大学に合格した。
父親(つまり私の兄だ)と同じ大学の、同じ学部の、同じ学科。 昨日、連絡が来た。甥っ子の次に電話口に出た兄は、本人より嬉しそうな声だった。 その私大は、兄が入った学部だけが千葉のほうにあって、 彼はものすごいボロ家に下宿していた。 周辺にそれしか大学はないから、同窓の先輩後輩が住んでいて、 うららかな五月晴れの日曜日など、 「サイコーの麻雀日和だぜっ」と言っては、4人で卓を囲んでいたらしい。 大学のまわりは畑が広がっていて、土手がコンクリートで固められていない川がある。 私は結局いちどもその地に足を踏み入れる機会がなかったが、 くっきりと田園風景を思い浮かべることができた。 春になると、川べりにはきっと菜の花が咲き乱れていると、かたく信じている。 兄はいつも、千葉から神奈川県の西の端まで、450㏄のバイクを飛ばして帰省していた。 今日が公立大学の試験で、それが最後で、あとは晴れて春休みだという。 その公立大学と、受かった私大と、どちらがヘンサチが高いのか。 学費は当然公立のほうが安いだろうが。 でもそんなこととはカンケーなく、無責任な立場の私は、 勝手に彼が父親の母校に行くことを願っている。 3月になったら、上の甥っ子とふたり東京に呼んで、焼肉食べ放題に連れて行こう。 4月になったら、一人暮らし用買い物につきあって、かっこよく支払いを引き受けてやろう。 5月になったら、川辺はまだ土のままか、本当に菜の花が咲いているか、確かめに行こう。
by miltlumi
| 2012-02-26 20:54
| 私は私・徒然なるまま
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