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褒められたい症候群

 とある勉強会で経営者の資質について話が及んだとき、何気なく「男性は、偉くなるとどうして『よいしょ』に弱くなるんでしょうか」と発言した。すると参加者からは、
 「男は小さいときから褒められずに育つから、慣れてないんだよ」
 「地位が上に行くほど、諌めてくれる人が減って、『よいしょ』しかされなくなる」
 「女性だっておべんちゃらに弱い。偉くなる女性が相対的に少ないだけじゃないか」
などなど、百家争鳴。最後は、全国有数の弁護士事務所の売れっ子弁護士(多分いつも褒められてる)が、
 「でも、褒められれば誰だって嬉しいでしょ」
という鶴の一言で、議論が終わってしまった。

 たしかに、それは真理である。たしかに、ゴマすりに騙されない冷静な女性社長や、揉み手のおべんちゃらおっさんにコロっと騙される男性社長の例を実際見たわけではない。前言撤回。ごめんなさい
 とすると、何が私の不用意な男女差別発言を促したのだろう。

 わかった。男性の方が女性より「褒め言葉」へのハングリー度が高いのである。一見その理由は、女性は、同性同士でお腹を満たしあうのに対し、男性はそんなことをしないせいと思われる。
 「わあ、今日のセーターの色、素敵」「髪型変えた?すっきりしていいね」こんなプチ褒め合いの一つや二つ、女友達とのデートはもちろん、オフィスでも毎朝「おはよう」代りに交わされる。
 かたや男性部長と課長で「キミのネクタイはいい配色だね」「いやや、部長のスーツのストライプこそ品格がおありで」なんて、男性トイレの中でだって交わされているはずがない。
 ましてや女性は、たとえ心の中で思っても、へたに男性を褒めてオレに気があるのかと勝手に勘違いされると困るので、不用意な発言は慎む。結果、同性からも異性からも美味しい言葉を与えてもらえず、常にお腹がすいている。

 だが、より深遠な理由は、男性のほうが女性よりグルメなせいではないか。色んな食べ物、つまり「色んな人から色んな褒め言葉」をもらいたいのだ。
 何の係累もない男性から、褒め言葉を求めてでかい口をあんぐり開けられたことが、少なからず、ある。欲しければ家に帰って奥さんからもらいなさいよ、と思うが、どうも奥さんじゃない女性からも、もらいたいらしい(私なんて、好きな人から一言褒めてもらえば、もう十二分に満たされるのに。もちろんカンケーない男性から褒められるのも嬉しいけれど、強要したりはしない)。
 しかも、社長もしくはそれに準ずる社会的地位の高い男性は、冒頭のコメント2番目にある通り不特定多数からちやほやされ慣れている分、満腹中枢が破壊されるのか、より「もっともっと」となる傾向があるように思う。

 嗚呼、「足るを知る」精神はどこへ。これもまた、自らの遺伝子繁栄確率を少しでも高めるため、不特定多数とまぐわりたいという男性の性(さが)の現れ、と見るのは発想の飛躍し過ぎか。
by miltlumi | 2012-02-11 21:59 | マンモス系の生態 | Comments(0)
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