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オトコのおしゃれ

 年末の研修仕事で、ついでにその会社の納会にも参加させてもらった。指名された年嵩の男性が乾杯の音頭をとるべく檀上にのぼった時、外野から「いよっ、ポケットチーフ!」という声が上がった。
 研修中、どちらかといえば浪花節風で、フーテンの寅さんみたいにステテコはいて将棋でも打ってる姿が似合いそうな人だったから、ちょっとびっくりした。たしかに胸ポケットにパープルのチーフ。研修中は上着を脱いでいたから気づかなかったのだろう。そうして見ると、恰幅の良いダブルスーツがなんとなくおしゃれに思えるから、面白い。

 男性のポケットチーフというのは、不思議なものだ。なければないで「ないな」とは感じない(逆にネクタイは、していなければ、明らかに「してないな」と思う)。でもしゅっと入れてあると、必ずや「あ」と気づくほど、その存在感は絶対である。  
 しかもその「無用」度合が、女性のジュエリーの比ではない(ちなみにあれは元はと言えば魔除けもしくはパワーアップの源泉ですからね。すんごい実用的なんです)。チーフといいながら、おトイレに行ってあれをポケットから引っ張り出して手を拭くことはありえないだろうし(シルクだから、おそらく吸水性は高いだろうが)、公園のベンチに女性のために敷いてあげるには小さすぎる(あ、もしかして、あんな小さな布の上にお尻が乗っかるような、選ばれた淑女のためのものなのかしら。シンデレラのガラスの靴みたいに)。

 「おしゃれグッズ」と称するものが無限にある女性とちがって、男性は身に着ける装飾品が限られている。数少ない遊び道具であるポケットチーフは、「おしゃれ」かどうかの入場券みたいなものだろう。
 自他ともに認めるファッション好きの知り合いの男性は、ポケットチーフを50枚だか60枚だか持っているそうだ(参考までに、私は普通のハンカチーフでさえ20枚くらいしか持っていない)。そんなにたくさんどないすんねん、と思いたくなるが、通常ポケットチーフはネクタイと対で装うことを考えれば、まあ、ありえないことではなかろう。
 …と何気なく書いたが、ネクタイの平均所持数ってどのくらいなんだろう。父と元の夫くらいしかデータがないが、普通は20本くらい?おしゃれな人は50本以上とか? ネットで調べたら、「日本人は8本」というデータが。まさかね。スーツにネクタイが仕事着でない人まで含めたら、こうなっちゃうのかも。

 日頃スーツを着ない人は、ポケットチーフでおしゃれ度アップできない。でもご安心。ポケットチーフの発祥は、農民の日除け手拭だったそうで、我が国でも江戸時代、いわゆる「遊び人」の町人の間で、帯に手拭いを挿すのが粋な服装の着こなしとして流行した。ジャパニーズな柄の「腰手拭」。ポケットチーフの向こうを張れるか。
by miltlumi | 2012-01-11 23:40 | マンモス系の生態 | Comments(0)
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