先週から今週にかけて、気の重い一連の会議があった。やだなーやだなー出たくないなー、と心の中で何度もつぶやく。出たくない、と言っても、自分自身が首謀者なんだから、出ないわけにはいかない。まあ始まれば終わるのだから、と自分に言い聞かせる。
そして実際に、始まったものは終わる。どうにか結論めいたものが出て、ちょっと気まずい空気が漂う中、会議室を退出する。ビルの外はもう真っ暗。はあ、どうにかなった。まあこんなもんでしょ。ほっとする解放感。 こんな気分を、ずっと昔に味わった。そう、高校の期末試験だ。 几帳面で気の小さい(?)私は、一夜漬けという大勝負に出るほどの度胸がなかった。だから、試験前2週間から14日間の毎日の予定表を作成して、ちまちまと試験勉強に勤しんだ。 それでもやっぱり試験直前はどきどきする。政治経済でどうしても腑に落ちない民主主義の仕組みや、丸のみに記憶するしかない意味不明な物理の公式を強引に頭の中に詰め込みながら、やだなーやだなーと思っていた。 そんな時、決まって想像したのは、試験が終わったときの解放感。始まってしまえば、あとは終わるだけだ。あと72時間たてば、泣いても笑っても試験明け。あと48時間、30時間…。最終日の朝は、むしろ解放感が先に立って、あとたったの4時間!とるんるんしながら学校に向かった。 晴れて試験明けのご褒美は、友達と一緒に私鉄1駅分の柳並木をのんびり歩いて(彼女は逆方向に住んでいたので、定期券がなかった)、本屋さんでマンガ本を買って、喫茶店(カフェ、ではなく)でチョコパフェやプリンアラモードを食べること。それぞれ買ったマンガは翌日交換するから、2倍楽しい。 それから、15年近く前のこと。大規模な社内コンフェレンスのモデレーター役を務めた。本番前3週間で体重が3kg減るという、人生最初で最後の「身を粉にする」経験だった。あの時もやはり、あと72時間で終わる、あとXX時間、とひたすらカウントダウンしていた。 本番3分前は、心臓が口から飛び出るような緊張状態だったが、ステージに上って最初の一言を発した途端、胃痛は消し飛んだ。そして、終わった時の爽やかさと言ったら。 終わる喜びは、苦しいこと、つらいことだけではない。楽しくて楽しくて、もう帰りたくない、と思うような旅も、本当に終わらなかったらちょっと困る。いつか終わるとわかっているから、余計に大切に過ごそうと思える。 人生も同じかもしれない。不老不死の仙薬を追い求めた始皇帝の気持ちは、私にはよくわからない。末期癌患者を数多く看取った医師から聞いた、「人生に終わりがあるのは、いいことだと思う」という言葉は、手のひらにずっしりと重い。 ただ仕事や旅と違って、人生は、終わってしまった後で、その解放感を味わえるのか、「よかったねえ」と振り返ることができるのかどうか、誰も知らない。
by miltlumi
| 2011-11-25 21:15
| 私は私・徒然なるまま
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