震災からこっち、入籍するカップルが増えているという。「明日死んじゃうかもしれないから」好きな人には即プロポーズ!というロマンチックな理由かと思いきや、そういうことではないらしい。
知り合いに聞いた話だが、交通機関マヒによる帰宅困難女性4人が、とあるビルの軒下で夜露をしのごうと新聞紙を敷き始めたところ、そのうちの1人の夫が現れたそうだ。徒歩だか自転車だか知らないが、とにかく彼は彼女の元に駆けつけた。ひしと抱き合う二人を見て、残りの3人は「いいなあ、ケッコン」と垂涎の視線。1人はそれをきっかけに、めでたくゴールインしたとかしないとか。 確かに、瞬間死ぬかと思ったあの地震の直後、ゼッタイ的に頼れる「誰か」がいるかいないか、これは精神衛生上大きな違いだったと思う。つながらない携帯メールに、必死に送信ボタンを押し続ける。ようやくお互い無事を確認し合ったときの安堵感。 ましてや寒空の下で「迎えに来て」と半泣きの妻の訴えに、人混みを乗り越えて息せき切って登場した殿方は、さぞかし頼もしく見えたことだろう。 つまるところ、かの地震は、かよわき女性達の「誰かにそばにいてほしい」シンドロームに火をつけちゃったわけである。 でも一方で、たかだか4kmの道乗りを、自分の足で歩くこともしなければ旦那様が迎えに来ることもなく、赤の他人の店で一夜を明かしたという女性も私は知っている。 だからと言って、彼の愛情が薄いとか二人の関係が壊れているとかいう結論を短絡的に導こうとは思わない。夫婦の関係なんて、外からは決して知り得ぬブラックホールみたいなもんである。それに、迎えに来てもらうことを望む女性ばかりでもなかろう。 「ナイアガラトライアングル」というアルバムに入っている「白い港」という歌の、 ♪スーツケースくらい 自分で持つと 君はいつも強い女だったね♪ というフレーズを、私はこよなく愛している。人間、まず一人で立つことができて初めて、二人の関係もフェアで心地よいものになるのではないか。大瀧詠一には悪いけど、重い荷物を持ってあげることが最大の愛情表現だと思っている男なんて、私には物足りない。…地震当日、誰にも心配されることなく一人ちゃりで帰宅した私の負け惜しみに聞こえるかもしれないけれど(実際半分負け惜しみだし、実際一人で帰れちゃった自分がカナシイ)。 ちなみに、上述の話をしてくれたのは、震災の後に離婚届を出したというホヤホヤの女性である。別に震災がきっかけというわけではないが、そういうタイミングになってしまったそうで。
by miltlumi
| 2011-04-25 23:13
| 機嫌よく一人暮らし
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Comments(4)
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tn8828 at 2011-04-25 23:41
当日は出雲に居りまして、どこへ駆けつけることもできず。おかげで「自分が向かおうとした場所(人)」と「自分を待っていた場所(人)」が異なることに気づかされ、自分が如何に脆弱な人間関係の地盤に立っていたかを思い知らされたのでした。最近はカフェで腕時計巻きながら飲むコーヒーが苦いっす。
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miltlumi at 2011-04-26 17:09
この震災で、人生見つめなおした人は多いですよね。
それにしても、手巻きの腕時計はエコだから今の時代にぴったり(笑) コーヒーはお砂糖たっぷり入れて飲んでください!
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mimi
at 2011-05-03 17:29
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はじめまして!まさに昨日友人と同じ話になっていました。私も震災でつきあっている彼とのこと考えました。いざ、というときにどう思ってくれるか。私の場合彼の言動は期待とはまったく違ったもので電話で喧嘩。でも、その後いてくれるだけでも”本当にありがたい”存在だと確認しました。相手はどう思っているか今となってはわかりません。周りでは震災のことが発端で”別れる“人のほうが多かったです。人生色々ですね。
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miltlumi at 2011-05-03 18:20
Mimiさん、初コメントありがとうございます! 確かにあの震災が別れるきっかけになっちゃったカップルもいるでしょうね。Mimiさんは「いてくれてありがたい」ということに気づけてよかったですね。恋人とうまくつきあう秘訣は(いい意味で)相手に期待しないこと! がんばりましょー。
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