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甥っ子の自慢話

 身内の自慢をするのは気が引けるが、この春大学3年生になった甥っ子は人間ができている。齢20にして、「怒らない」ことがモットーなのだ。スマナサーラもびっくりである。

 珍しく二人きりで電車に乗ったときに発覚した。「どうして?」と訊くと、小6から中3にかけて、「人の間でうまく生きるにはどうしたらいいか」を毎晩のように考えたという。そして、「怒ったら負けだ」という結論に達した。まわりでどんな子が友達に好かれているかを観察したところ、後藤君という子は、穏やかで絶対に怒らないせいか、誰からも好かれていることに気づいた。小さい頃からそうだった後藤君は、きっと天然だと思うが、甥っ子はちがう。小学校低学年の頃は、しょっちゅうキレてたと自ら認めている。ティーンエイジャー前半でそこまで自己分析ができたなんて。
 しかも、「怒らない」ための具体的スキルも自ら編み出した。
 「それはね、自分の言いたいことを言う前に、相手の言うことをよく聞くことなんだよ」
 …心理カウンセリングの基本中の基本、「傾聴」というやつだ。相手に言いたいだけ言わせて、そしてどういう立場で言っているか考える。と、大体はそれなりに納得できて、腹も立たないという。

 彼の父親(つまり私の兄)は最近、おじいちゃん(私の父)と同じく仕事の話をしたがり、多くの場合それは自分の活躍話とほぼイコールなわけで、そういう時は「ふんふん」と聞いてあげるのがコツなのだ。
 「お父さんがよくおじいちゃんの部屋に行って話聞いてあげてたでしょ。あ、オレ、あれと同じことやってるなあ、と最近思うんだ。みんなめぐりめぐるんだね。」
 それって、4年前くらいにようやく私が理解し、実行し始めた親孝行の手段だというのに、この子は私より数十年も早くそこまで悟っているとは。私って、甥っ子よりもコドモなんだわ。。。
 「そしたら、Sちゃんも自分の子供にそれ、やるのかしらね」と茶化すと、
 「そこなんだよ。今の時点ではそういうふうになる気はしないけど… でもどうなのかな」

 皆の聞き役・まとめ役を買って出ているせいか、サークルの代表に選ばれたそうだ。
 「オレって、大人っぽく見られててさ。よく25、6?って言われるんだよね」という彼に、
 「じゃあ私は?」とおどけると、如才ない彼は間髪いれず答える。
 「○○ちゃん(『叔母さん』と呼ばせたことは、当然一度もない)はボクと3歳くらいしか変わらないように見えるよ」
 なら、こうして荷物抱えて二人並んで小田急線に乗ってると、同棲始めた恋人同士みたいじゃない、と言いかけて見つめた彼の横顔は、自分に少し似ていた。子供の頃、私は兄によく似ていると言われ続けていたのだ。
 これじゃ誤解されようがない。とすれば、姉か。人間ができていない私は、性懲りもなく考える。
by miltlumi | 2011-04-19 18:01 | 私は私・徒然なるまま | Comments(4)
Commented by tn8828 at 2011-04-20 01:26
彼よりコドモなら妹!
Commented by miltlumi at 2011-04-20 09:40
やっぱり~?(笑)(笑) 私もそう書こうかと思ったんですが、さすがに理性が働きました。。。
Commented by ちい at 2011-04-20 17:38 x
彼は将来、まず穏やかに妻の話を聴いてあげる夫になるのでしょうか。いるんだね、若くても大人な男って! 彼はしかも秀才で長身のイケメンだというから天は不公平なのだ。
Commented by miltlumi at 2011-04-20 20:55
ホント、彼の恋人(妻)になる女性が羨ましいわ~ 小姑にならないよう気をつけなきゃ。
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