マウンテンゴリラの生態をTVで見た。群れのボスの地位争いは雄ゴリラの宿命だが、彼らはとても力が強いので、よほどのことがない限り、身体と身体を張った戦いをすることはないのだという。
挑戦者は、慎重に回りの状況を観察して自分に地の利があるかどうか判断する。行ける可能性があるときのみ、奪おうとする敵陣に乗り込む。それも、最初の睨みあいで静かに互いの力量を値踏みし、ほとんどの場合闘うことなく、弱い方が目を逸らして退散していく。 むやみと喧嘩して無駄な血は流さない。究極のエコ。さすがゴリラ。頭がいい。 わが人間界においても、このようなエコな行動は目撃される。 結構なボス猿的存在である男性が、ある女性にねだられてディナーをすることになった。せっかくなら、ということで、同じコミュニティーに属する女性3人にも声をかける。1:4。悪くない。 当日の2日前、女性のうちの一人が、やはり同じコミュニティーに属する男性にたまたま会った。こちらの男性も、前者に勝るとも劣らぬボス猿系だが、前者とは時系列がずれている。つまり次世代グループに属するのである。大勢ならもっと楽しかろうと、女性は男性に2日後のイベントを告げ、深く資料することもなく「来ない?」と誘う。 ところが、第二ボス猿はしぶい顔で「No」の答え。そりゃそうだろう。1:4のパーティに闖入するなんぞ、馬鹿げたことである。第一ボスの座を奪わんと覚悟を決めるか、あるいは第一ボスの引き立て役として、尻尾を丸めて4人の美女(?)の前で毛づくろいにでも勤しむしかない。 翻って女性は、全く逆の発想をする。本命男性とのディナーならともかく、とりあえず怒らせたくはない、そこらの強力ゴリラに対しては、集団で対応する方を好む。何しろ相手は天下のボスゴリラ(と自分で思い込んでいるの)だから、少々人数が増えたくらいで、1人当たりディナー予算を目減りさせるはずがない。同じ美味しいご飯を食べられるなら、そのお返しとしてのグルーミングの手間は少ないほど効率的。ディナーの間じゅう一人でボスの世話をするより、複数で分担したほうがそれだけ自分の役回りが減る。 しかも女性同士でボスのオトコらしさについて勝手におしゃべりすれば、1+1=2以上になること請け合い。ゴリラと人間の大きな違いは、コミュニケーションの高度さにある。直接グルーミングされるより、第三者同士が自分を讃える会話を横で聞くという3者間関係のほうが、高次元の喜びを覚えるのである。 かくして、第二ボスは無駄な戦いはしない。勝てない戦場には近づかない。ゴリラ的エコ行動。そして、女性に代替案を提示する。「今度、別のところでやろうよ」 同じコミュニティーに属する4人の女性は、自称ボスゴリラの饗応のハシゴをすることで、栄養満点となる。たまに女性だけで集まると、「ゴリラの品定め」会話に花が咲く。
by miltlumi
| 2011-02-21 09:02
| マンモス系の生態
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