人気ブログランキング | 話題のタグを見る

親族が集まる日

 日本列島が寒波に見舞われた日曜日。関ヶ原以西の大雪を気にしながら新幹線に乗り込んだ。ピリッと冷えた青空、期待通り富士山が見え隠れする。10日前に届いたパナソニックFZ100を構えて、意味もなく連写なんぞをしてみる。小田原で母が合流する。親族が集まる日_a0165235_9153643.jpg
 浜松を過ぎたあたりから曇りがちになり、三河安城からは畑に昨晩の残り雪。名古屋に近づくにつれ、予報通り雪が舞い始める。駅のタクシー乗り場手前の青天井から、ぼたん雪がさんさん降っている。雪国生まれの母は、「こんなに雪見たのは7年ぶりだわ」とはしゃぐ。既に積もり始めた雪に足をとられないよう慎重に横断歩道を渡り、ビルの3階に足を踏み入れると、名古屋に住む父のすぐ下の叔母の日本画が40点、ずらりと出迎えてくれた。
 かれこれ30年以上前から日本画を習い初めた叔母は、8年前にも銀座で個展を開いた。といっても親戚や親しい友人だけを招待し、「これいいね」と言えばその場で値段の書かれていない題名ラベルに丸いシールを貼ってくれる、贈与が基本の非営利個展。今回のテーマは「華」。

 個展会場には、3年前に年下の日本人男性と結婚してNZに住んでいる従姉が手伝いに来ていた。前回会った時はまだ私が結婚していたから、もう10年以上たつ。義叔父は今日はお留守番。親族が集まる日_a0165235_9174299.jpg
 関西にいる父の一番下の叔母とその孫(先週成人式だった)は昨日から泊りがけで、今は松坂屋にショッピングに出かけたという。
 「そういえば、お姉さんも出て来るって今朝電話があってね」
 父のすぐ上の伯母は、息子のお嫁さんの実家の近くに2世帯住宅を建てて東北に住んでいる。東北・東海道新幹線を乗り継いで来るから、85近い伯母でなくても相当な旅だ。
 ほどなく、神奈川県に住む父の兄のお嫁さん(主役の叔母と女学校の同級生である)も、もう一人の女学校の同級生(偶然だが、父の弟のお嫁さんにそっくりだった)と連れ立ってやってきた。
 結局、父の弟のお嫁さんを除き、父方の姉妹・義姉妹全員が勢ぞろいした。6日間の個展期間中の唯一の日曜日。示し合わせたわけでもないのに。
 「いやあ、みな会えてよかったなあ」
 叔母の絵を褒める暇もなく、故郷のなまり丸出しで写真におさまる5人。前回彼らが集まったのは一番下の叔母の旦那さんの告別式で、その前が私の父の一周忌。「葬式でもないと会わへんようになってしもたね」と淡々と語っていた叔母は、今日は自作の花々に囲まれて、満面の笑みだった。

親族が集まる日_a0165235_918328.jpg 帰りの新幹線のダイヤの乱れを気にした義伯母に急かされて、母と3人で一足先に帰路に着く。来ないタクシーを諦めて、地図が読めない老婆二人を先導しながら地下鉄に乗る。 「私一人だったら絶対迷子になるわ」とうなづきあう二人を、1時間遅れのひかり号自由席に押し込んだ。3分後ののぞみ自由席にどうにか座れた私は、車窓からの雪景色にカメラを向ける。
 いい日曜日だった。
by miltlumi | 2011-01-17 09:21 | フォトアルバム | Comments(0)
<< 「一応」という不思議な言葉 真冬の青春 >>