(男の視点からのエントリーはこちら)
「自分を確立しないと、男にとって魅力ないぞ」 男性が言った。彼にとって「確立」の基盤となるべきものは、仕事。それも、不特定多数から注目を集め、社会に(できれば世界に)影響を及ぼすような仕事(Thank god, いくら儲けるか、という世俗的な項目は彼のクライテリアには含まれていない)。 彼の回りにいる女性といえば、子供連れて米国に自費留学して会社興して上場させたとか、何代も続く伝統芸能の家元を継いで古い世界に新風を吹き込んだとか、ヘッドハンターとしてがんがん稼ぎながら10歳以上年下の彼に触発されてレスリングを始めたとか、すごい行動派ばかり揃っている。 でも、と私は思う。「自分を確立する」というのは実は、状態(=be)であり、行動(=do)ではない。私にとって、その状態とは、be happy, be pleasant。幸せであること、機嫌良くいること。仕事はそのための手段の1つに過ぎない。もちろん、仕事=人生の幸せ、という幸せな人もいる。それは素晴らしい。たまたま私がそういう人種ではないというだけのこと。 昔つきあっていた人は、心理学やカウンセリングはもちろん、星占いもおみくじも嫌いだった。「あなたって、こういう人じゃない?」と言われると、完璧にその言葉を無視した。自分が取り組んでいる仕事や趣味のことばかり、とても楽しそうに話していた。 あの頃、幸せになりきれなかった私が悩んでいると、必ず「じゃああなたは何をしたいの?」と聞かれた。ちがう、doではなくbe。「自分らしく、機嫌良くありたい」というだけだったのに。 今、あえて言えば、その状態を保つための一番大切なdoは、仕事ではなく物書きである。気持ちよくブログを書けるかどうかが、幸せかどうかのバロメーター。仕事が忙しくなり過ぎると、心の余裕がなくなって書けなくなる。本日の幸福度、計測不能。最も危険な兆候だ。そうならないよう、仕事は選んで、そこそこの時間だけ割くようにしなくてはならない。 でも彼に説明する気はない。doこそ全て、と思っている人には、仕事が手段なんて言っても、負け惜しみだと逆説得にかかられるのがおちだから。そこまで考えて、黙って微笑んだ。目と目があった。彼も黙って微笑んだが、口元が少しだけ歪んだ。 勝った、と思った。 結局のところ私は女なので、男の人の気持ちはわからない。 機嫌のいい女性より、仕事をしている女性のほうが魅力的なのか。 仕事をしている女性より、機嫌良く仕事をしている女性のほうが、より魅力的ではないか。 それより、仕事をしながら機嫌のいい女性はどうか。 私は、3番目を目指している。
by miltlumi
| 2010-12-16 11:19
| 忘れられない言葉
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