この歳になると、色々と来し方を振り返って、自分の至らなさを反省したりその時は気付かなかった人情の機微に思い当たったりする。でも、そうやって考えてみても、どうしてもわからないこともある。あれって、ナンダッタンダロウ…
20代前半の頃、私は田舎に住んでいた。勤務先も田舎と東京の中間に位置していたから、普段の生活は支障なかった。でも大学の友達や勤務先の「本社」の友達と遊ぶ時は、東京まで鈍行で片道2時間。だから、飲み会が金曜日だと嬉々として東京のホテルに泊まった。せせこましいビジネスホテルなんかではなくて、新宿副都心や品川や赤坂の一応ちゃんとしたホテル。スポンサーなしでは泊るのが憚られるような外資系の超高級なホテルは当時はまだ存在せず、どんなホテルもまだ良心的な値段だった。 私だけでなく、飲み会メンバー全員で宿泊、なんてイベントも時折やった。スイートルームを借りて、3名宿泊と言いながら男女7・8人が五月雨式に集まる。ベッドは3つしかないけど、朝まで飲んでしゃべって騒ぐだけだから全然問題ない。 そんな仲間の一人と、どういう成り行きだったか、「じゃあ今度は2人で泊ろうか」という話で盛り上がった。 「どのホテルにする?」 「○○さんのお気に入りはどこ?」 「新宿ヒルトン!」 「じゃあそこにしよう」 「でも勿論部屋は2つだよ」 「そんなのあるわけないだろう」 あれが若さというものだったのだろうか。彼は数ヶ月後に大学の同級生と結婚することが決まっていた。私もつきあっている彼がいた。冗談をどこまで通せるか、お互い肝試しみたいなノリだったかもしれない。当然、ダブルのシングルユースを2部屋予約した。 約束の日の夕方、ホテルのロビーで落ち合う。2部屋分をチェックインして、彼に鍵を渡す。 「え、そうなの?」 「当然でしょ」 お互いちょっぴり複雑な、でもあっけらかんとした笑いを浮かべて、隣同士の部屋に荷物を置く。 レストランで食事をした後、自然の成り行きでちょっと部屋で飲もうよ、ということになる。その結果。何も起こらなかった。しばらく彼の部屋で飲んで(あの頃は私も結構お酒が飲めたのだ)、じゃあおやすみなさいって、私は自分の部屋に戻った。彼もそれを強引に引き止めたりはしなかった。 翌朝、同じ時間にドアを開けて廊下で合流し、一緒に朝食を食べた。昨晩の延長みたいに、他愛もない仕事の話や学生時代の話や彼女・彼の話で盛り上がった。12時を待たずにチェックアウトして、「じゃあね」って言って、土曜日の冬の朝の光の中で別れた。 彼とはその後もいい友達である。でも、あれは一体、なんだったんだろう。
by miltlumi
| 2010-12-10 17:24
| 慣れてない男たち
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