人気ブログランキング | 話題のタグを見る

男の嫉妬

 会社にいた頃、男性上司から言われたことがある。「男の嫉妬ほど恐いものはない」 この頃、男性に嫉妬された私は(…といっても、別に私がその男性から男性を、もしくは女性を奪ったわけではなく、仕事上の嫉妬である)、ちょっといやな思いをしていたのだ。
 一方、おかげさまというかあいにくというか、女性から嫉妬されたことはない(と思う)。記憶している限り、嫉妬のせいであからさまな意地悪をされたことはない(気付かなかっただけかしら)。そして言うまでもなく、女性に嫉妬したことは、一応ある(でもあからさまな意地悪はしなかった、と思う)。
 これらの数少ない経験、及び耳年増になってあれこれ聞きかじった話を総合すると、明らかに女性の嫉妬のほうが「陽」である。一方男性の嫉妬は、陰にこもるというか間接的というか、何しろ手が込んでいる。

 「女は『愛』と呼ぶものによって動き、男は、権力によって動く」という言葉が、坂東眞砂子さんの著作の書評に載っていたが、なるほど。女の嫉妬は愛を巡ってのみ繰り広げられるが、男性の嫉妬はむしろ権力闘争の中で熾烈に燃え上がる。だから、そこに「愛」の要素まで加わったら、それはもうおっそろしいことになるのだ。

 例えば、ノーベル数学賞がない理由をご存じだろうか。それは、ノーベル氏が、当時美人数学者のソーニャ・コワレフスカヤをめぐり、スウェーデンで著名な数学者であったミッタクレフラー氏と恋愛争奪戦をしていたためと言われている。数学賞を創設したら、にっくき恋敵にみすみす塩を送るようなもの。なんだかねえ。恋愛の恨みを、仕事で晴らすのって、どうかと思う。女性なら、恋敵と仕事の敵は別物として扱うと思うけど。
 自慢じゃないが私は、中学3年のときの憧れのO君が、いつも私と期末テストの順位を争っていたKさんを選んだとき、職員室にかけこんで「Kさんはカンニングしてましたよ!」などと学年主任の先生に訴えたり、そういうせこい手は使いませんでした。

 知人のアメリカ人男性が、離婚した妻に引き取られた小学生の息子と数カ月に1度の面会をした。久しぶりに父親らしさを誇示しようと、トイザラスに連れて行って、「この店にあるおもちゃ、なんでも買っていいよ」と言った。それを聞いた息子、「この店は、ママの彼氏が持っているんだ
 …ゴールドマンサックスで辣腕を振るうお母さんは、トイザラスを買収した巨大バイアウトファンドKKRのKのうちのどちらかと恋愛中だったそうだ。彼は、欧州系の投資銀行から日本の事業会社に転職したくちである。KKRとは(少なくとも年収の面では)敵にもならない。その場で気絶しなかったのは、父親としての最後のプライドか。
by miltlumi | 2010-09-27 07:42 | マンモス系の生態 | Comments(0)
<< ほほえましきもの 土曜日の無駄づかい >>